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危険な食物アレルギー、対策ビジネス普及なるか?企業が患者を顧客として獲得する活用例も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140515-00010000-bjournal-bus_all
Business Journal 5月15日(木)3時0分配信
食物アレルギーで苦しむ子どもはどのくらいいるのだろうか。文部科学省の調査によれば、小中高生の4.5%が食物アレルギーに罹患しているとの結果が出ている。40人学級であれば、1クラスに1〜2人いる計算になる。この数字は決して大きいとはいえないが、アレルギー患者は、アレルゲン【編註:アレルギー症状を引き起こす原因物質】を取り込むと発作を起こし、最悪、死に至ることもあるのだ。また、大人でも突然アレルギーを発症し、死に至る事例も起きている。そのように危険をはらみ、絶対的な予防が求められるアレルギーに関する分野で、社会貢献しつつビジネスを展開している企業がある。
株式会社ウィルモアは、代表取締役である石川麻由氏が2009年2月に立ち上げた、食物アレルギーに特化したサービスを展開している企業だ。今回は、同社が運営するサービス「アレルギーチェッカー」「クミタス」を紹介したい。
●アレルギーチェッカーとクミタス
スマートフォン(スマホ)のiPhone/Android用アプリで、製品のバーコードをスキャン、または製品名を入力すると、その製品に含まれているアレルギー成分を検索できる。例えば、スーパーマーケットなどで、商品を購入する前のチェックツールとして重宝しそうだ。
アレルギーチェッカーが、一製品ごとにアレルゲンがあるかチェックできるのに対し、特定のアレルゲンを含まない製品を検索できるウェブサービス。検索結果から、AmazonなどのECサイトに遷移し、そのまま買い物することができる。ECサイトごとの価格比較も可能だ。メインサービスはPC版だが、スマホでも利用可能だ。
アレルギーチェッカーとクミタスは、共通のデータベースを使用しており、5万件の製品が登録されている。クミタスのユニークユーザー数〜重複登録を除いた正味利用者は約3万5000人で、男女比は35:65。20代後半〜40代前半の子育て中の女性か、働いていて健康意識の高い女性が多いという。
現状では、アレルギーチェッカーとクミタスは相互に連携していない。従って、アレルギーチェッカーで調べた製品をクミタスで続けて購入したり、クミタスで購入した製品をアレルギーチェッカーのブックマークに保存することはできない。
「いずれ連携させる必要があるが、アレルギーチェッカーとクミタスで、ユーザーの利用目的が異なるため、どのように接続するかは引き続き検討している」(石川氏)と、アプリの機能やビジネスモデルについて目下思案中らしい。
●今後のビジネス展開は?
「ヘルスケアの分野でビジネス展開し、出資を受けようとすると、ベンチャーキャピタルなどから『スケーラビリティ〜拡張性が見いだせない』とよく言われる」(同)と、ヘルスケア分野への投資に積極的ではない現実を目の当たりにするという。
確かに、小中高生のアレルギー罹患率は4.5%しかないので、母数が限られているように見える。しかし、アレルギーは一生ついて回るもの。継続期間が長く、かつ反復利用されるビジネスの展開が可能なのだ。
「医薬品ビジネスは同様のモデルです。例えばリウマチの薬を使う人は少ないけれど、慢性疾患だから、繰り返し同じ人に販売されます」(同)
また、同社が展開するビジネスモデルは、チェックアプリとEC連携だけでは終わらない。B2Cビジネス〜企業から個人消費者への商取引を例に考えてみよう。小売店が店舗にアレルギーチェッカーを導入し、レジカウンターで顧客が購入した商品のアレルゲンを一覧できるようにすれば、顧客満足度の向上につながり、その企業のCSR(社会的責任)実現にもなるだろう。また、クミタスのユーザーに対して、食品メーカーがアレルギー対策商品のキャンペーンを行ったり、マーケティング活動の一環として、ユーザーから意見を吸い上げることも可能だ。
このようなビジネスモデルは目新しいものではないが、絶対の予防が必要なアレルギー対応を積極的に行っている企業はほとんどないだろう。せいぜいアレルゲンを製品に表示して事故を予防するくらいで、アレルギー患者を顧客として獲得しようとは思っていないはずだ。
ウィルモアは、近いうちに食品メーカーに新商品のサンプル提供を求め、それをユーザーに還元できるようなサービスを導入したいという。同社の提供するサービスは、ITを使ってアレルギーと積極的に向き合う希少なものであり、広く普及してアレルギー患者の発作予防に役立つことを期待する。
久我吉史
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