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http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140514/ecn1405141140001-n1.htm
2014.05.14
現役時代に比べ、退職したら生活費はどれくらい減るだろうか。サラリーマン1万人アンケートでは「3割以下に減る」13・4%、「5割以下に減る」29・3%と、合計で42・7%の人が「退職したら生活費は半分以下になる」とみていることが分かった。
一方、50代、60代向けのセミナーでアンケートを行うと、ほとんどの参加者が「変わらない」か「7割くらいに減る」と答える。フィデリティ退職・投資教育研究所が2009年の家計調査をもとに推計したところ、50代後半の生活費に比べて60代後半の生活費は68%の水準だった。すなわち「7割くらいに減る」ということだ。
7割の生活水準とは、退職直前に年収600万円で生活していた人ならば、年400万円以上の生活費が必要ということだ。人は一度身につけた生活水準を簡単に下げられないもの。実際、アンケート結果を分析すると、年収が高い人ほど「老後の生活費は多く必要」と答えている。
注意しておかなければならないのが、「確かに60代なら旅行に行ったり、趣味に時間を使ったり、とお金もいるが、年齢が上がるにつれてそうした支出も減り、徐々に生活費自体減っていくだろう」という見方だ。
答えをみよう。厚生労働省の「老齢年金受給者実態調査(平成23年)」による、5歳刻みの年齢別世帯支出額(月額)だ。60代から90代にかけて、月額ほぼ20万円台後半で推移し、ほとんど減っていない。
減らない理由の1つは医療費の負担増加だ。確かに食費や遊興費などは年齢を重ねるにつれて減少するかもしれない。しかし、医療費は年齢を重ねるにつれ、その支出が増える傾向にある。退職後の費用で最も大きなものは何かを現役世代に聞いたアンケート結果では、62・2%が医療費を挙げている。「年齢を重ねるにつれ生活費が減っていく」という見方は、通常の生活費に関しては肯定できるが、「医療費も含めた全体の生活費」と考えると幻想かもしれない。
60歳まで生きた人はその2割が、男性なら90代前半、女性なら90代半ばまで生きる時代になってきた。すなわち、60歳で退職すると、そこから30年以上生きる人がかなりいるということだ。退職後60〜95歳までの35年間の生活費を表のデータで計算してみると、累計で実に1億1784万円に達する。老後35年、必要資金1億円時代が到来しているのだ。
■野尻哲史(のじり・さとし) フィデリティ退職・投資教育研究所所長。1959年生まれ。一橋大卒。82年、山一証券入社。山一証券研究所でエコノミスト、ストラテジスト、米ニューヨーク在住アナリストなどを経験した。98年からメリルリンチ証券調査部、2006年にフィデリティ投信へ入り、07年より現職。『老後難民 50代夫婦の生き残り術』(講談社+α新書)など著書多数。
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