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4月景気ウォッチャー調査について
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52583421.html
2014年05月13日 在野のアナリスト
内閣府から4月景気ウォッチャー調査がでました。消費税増税の影響をみる、最適な指標として注目されましたが、現状判断DIが41.6と、前月より16.3ptの下落となりました。一方で先行き判断DIが50.3と、前月より15.6ptの改善であり、市場は早期改善傾向として、好意的にうけとめています。ただし、これは統計上の癖であって、50.3は横ばいなのですから、消費税増税後の影響はそこまで続く、決してプラス圏ではない、という意味にうけとれます。中身をみても、『変わらない』が49%とほぼ半数であり、増税の影響がある4月から2〜3ヶ月後まで、改善はしていない、と見ていることになります。決してまだ増税の影響を相殺できているわけではありません。
雇用関連が55.9と高水準、といっても前月差では6.9ptも落ちこみます。駆け込み需要への対応需要が一巡した、とみることが可能で、さらに雇用関連の先行きも54.4。前月差では7.3ptの改善ですが、こちらも4月とくらべてほぼ横ばい、ですから、決していい数字ではありません。
最近、時給を上げても人が集まらない、という記事を多くみかけます。明らかに政府が景気回復を喧伝するため、より良い条件の職をさがす、という傾向であり、建設業などの財政出動の恩恵をつよく受ける業種ばかりでなく、飲食業が苦境に陥っている。しかも、これが長期化し、本当に景気が持続的に回復するなら、ここで時給をあげたり、待遇を改善するなどしてもよいのですが、仮に一時的だと、将来にわたって負担が重しとなってくるので、企業も踏み込みにくい。何しろ、今回の回復局面は一時的なバラマキにより押し上げられている側面が否めないので、尚更対応しにくい。しかも食材の高騰ばかりでなく、業績圧迫要因となるので、Wパンチです。
さらに先行き判断DIで大きな問題となるのが、小売関連の50.1、これは前月から24.5ptの改善となり、大きく寄与していますが、前述しているように50は横ばい圏。即ち6、7月も小売は回復していないことになります。小売は3月の駆け込み需要から、4月は大幅値引きで対応していますが、いつまでも続けられるものではない。しかも小売とて、人件費増の影響は甚大です。
つまり、景気ウォッチャー調査の中身を精査してみれば、まだ日本経済が増税の影響から脱却できる、とは全く読み解けないのです。それなのに新聞各紙の字面だけ追うと、早期に回復できるとしか書かれていない。ミスリードが顕著なのです。あくまで7月まではまだ、日本経済は横ばい圏であり、回復していない、そう考えておいた方が間違いも少なくて済むのでしょう。
ミスリードは、財務省発表の国際収支状況の速報でも顕著です。経常収支の黒字が7899億円と、85年以降最小という報じ方が多く、その中で『燃料輸入がふくらんだ』ことが主要因と報じられ、それも原発停止の影響とします。しかし輸入量なのか、輸入費なのか曖昧にしており、前者なら原発停止の影響で構いませんが、後者なら安倍ノミクスによる円安の影響です。安倍ノミクスを悪者にしないため、そうした書き方をしている時点で、安倍ノミクスは害悪でしかありません。
駆け込み需要で輸入増、というのも安倍政権下でおきたこと。即ち、安倍政権で日本が稼げるはずの外貨が、大きく目減りしてしまった、ということを国際収支状況は示しているのです。日本の稼げる力が変化、と報じるところもありますが、今さらそんなことを語る時点で、手遅れということに気づくべきです。そうした負の報道を抑えたいのか、業績発表の話が盛んに紙面をおどりますが、株価は反応していない。5月15日までは、短期売買の多いヘッジファンドの解約売りとみられますが、ここから6月後半にむけて、海外年金などの長めの資金のポートフォリオの変更、が入ってきます。今はまだ、下がると買いのこの資金が、昨年買い過ぎたからと日本株比率を低下させれば、今より大きな売り浴びせが起きてきます。そのとき、喧伝されていたことと違う、と気づく日がくるのかもしれません。何より統計資料でさえ正しく分析して報じられないメディアと、政府によりつくられた景気回復だけに、横ばいのマインド面の影響が今後、懸念されるのでしょうね。
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