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スマホ、消えた現金還元 総務省がやんわり指導 (真相深層) [日経新聞]
2014/5/13 3:30
ほかの携帯電話会社から乗り換えてくる利用者に何万円もの現金を配るキャッシュバック。この春はかつてないほど金額がつり上がったと思ったら、突然なくなった。NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの携帯大手3社が足並みをそろえてやめた背景には、監督官庁である総務省からの「指導」があった。
総務省の幹部の一人は3月、携帯3社の渉外担当者に個別にやんわりとキャッシュバックの自制を求めた。「委員の先生方がああいう風におっしゃってますんで……」。各社の担当者は「そういう声があるのはわかっています。鋭意検討しています」と応じた。
■部会で集中砲火
「そういう声」とは総務省が開いた「2020―ICT(情報通信技術)基盤政策特別部会」で2〜3月に巻き起こった議論のことだ。
2020年代に向けて便利な通信サービスをどう広めていくかを議論するはずだった。だが、それよりもまず「あまりにゆがんだ競争を何とかしないと未来も描けない」として、キャッシュバックが集中砲火を浴びるという展開になった。
委員の一人である明治大学の新美育文教授は「(乗り換え客ばかり優遇して)長期の顧客ほどサービスが悪いというのは商慣習としてきわめて異常。再検討が必要だ」と声を荒らげた。
野村総合研究所の北俊一上席コンサルタントは全利用者の95%がキャッシュバックのせいで通信料を余計に支払わされていると指摘した。「全体の5%に当たる乗り換え客のために3社合わせて年間3400億円の原資がいる。乗り換えない利用者が年間3千円ずつ上納している計算になる」と解説した。
実はこうした批判を演出したのは総務省だ。北氏はキャッシュバック問題の第一人者として業界内で知られる人物。総務省の担当者は部会の前、北氏に対して「未来のことだけでなく、いまの問題もどんどん取り上げてください」と告げた。
外部の有識者を介して暗に「指導」する手の込んだやり方は、7年前の苦い記憶のためだとみられている。総務省は07年、「ゼロ円」や「1円」で端末を売る商慣行をやめるよう携帯3社を指導した。だがその直後に端末販売が落ち込み、「官製不況」との批判を受けた。
キャッシュバックをやめさせれば端末の販売が落ち込み、また元凶と言われるかもしれない。「なるべく自発的にやめてもらうには……」と考えた結果が、有識者による問題提起だった。
総務省幹部は話す。「3社ともやめたがっていた。強制的にしなくても少し背中を押すだけで効果があると思った」。その言葉通り、背中を押された3社は渡りに船とばかりに、あっという間にそろってやめた。
キャッシュバックはドコモが米アップルのiPhone(アイフォーン)を売り出した昨秋から高額化し、今年3月には5万円以上の現金をわたす販売店が続出した。それが4月以降はほとんどみられない。東京都内のある販売店では、やめた理由を尋ねる客に「国の規制が入ったので仕方ない」と答えていた。
■再燃の可能性
ひとまず落ち着いたキャッシュバックだが、再び過熱する可能性は否めない。07年に指導した端末の無料販売も09年ごろからまたぞろ復活した。今度の指導も「いつか来た道」なのだ。年度初めは販促費を絞ることが多く、キャッシュバックは下火になりやすい。夏商戦で再燃しないかどうかが試金石だ。
キャッシュバックが過熱した背景には、スマホ市場の伸びが鈍化し、3社のサービスに差がなくなったことがある。状況は変わっていない。品ぞろえはiPhoneや米グーグルの基本ソフト「アンドロイド」を搭載したスマホが中心。通話やデータ通信を似たり寄ったりの料金で提供する。
兵庫県立大学大学院の辻正次教授は「シリコンバレーでは機器と機器やモノとモノをつなぐ通信サービスがブーム。日本の通信会社は新しいものを生み出す競争ではなくパイの奪い合いに向かっているのが残念だ」と話す。魅力的な独自サービスを生み出せなければ、キャッシュバックによる不毛な競争は繰り返される。
(江渕智弘)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0800G_Y4A500C1EA1000/?dg=1
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