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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 景気失速はこれからが本番
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週刊実話 2014年5月22日 特大号
消費税引き上げの影響に関する世論調査が複数発表された。毎日新聞が4月21日に報じた世論調査では、消費税引き上げの負担を感じている人が61%となった。一方、消費を抑えたかどうかについては、「抑えた」が44%に対して、「抑えなかった」が54%と過半を占めた。ただ毎日新聞は「実際に支出を抑えた人が4割以上になったことは懸念材料」と景気への影響を懸念している。
一方、同日に発表された日本経済新聞の世論調査では、消費税引き上げで支出が「変わらない」が66%で、「減らした」の31%を大きく上回り、消費税引き上げによる景気への悪影響は小さいとの見方を示した。
しかし、私は景気への悪影響がないという見方は間違っていると思う。第一の理由は、物価上昇がまだまだ続くということだ。
今後一番大きな物価上昇は、電気代だ。電気代は消費税引き上げの特例が適用されていて、8%の消費税率が課せられるのは、5月の支払い分からになる。モデル世帯の電気代は、消費税引き上げ前の8111円から5月は8541円と、430円、5.3%も上昇するのだ。値上がりの内訳は、消費税率変更による影響が230円、燃料費調整による影響が84円、再生可能エネルギー発電促進賦課金による影響が116円となっている。また、6月には燃料費調整によって、さらに値上がりすることがすでに決まっているのだ。電気代だけではない。これから多くの小中学校で給食費の値上げが行われ。銭湯の値上げも予定されている。
物価は上がるが、給料は増えない。新聞の世論調査が行われた時点では、まだ4月分の給料が支給されていなかったため、そのことにほとんどの回答者は気づいていない。年金は、偶数月の15日に、前々月と前月の2カ月分を金融機関に振り込むことになっているので、4月から年金が0.7%カットされたことに年金生活者が気付くのは、実に6月13日になるのだ(6月15日が日曜日のため)。
また、物価が上がる中で、給料が横ばいにとどまったり年金が減ったとしても、消費行動はすぐには変えられない。いままでのペースで消費を続けてしまうのだ。実際に本格的に消費が絞られ始めるのは、預金残高が減って、支払いに行き詰まってからだ。
だから、本格的な消費低迷が起きるのは、夏以降になる。ところが、政府や日銀や御用学者たちは、消費増税で一時的に低迷している消費が、夏以降本格回復し、日本経済は再び力強い景気回復軌道に戻るといった超楽観論を振りまいているのだ。
そうした中で、政府は今年度予算のうち公共事業などの経済効果の高いものについては、9月までに6割以上を執行しろと指令を出したり、児童手当を受給している中学生までの児童1人につき1万円の「子育て世帯臨時特例給付金」を支給しようとしている。表向きは消費税増税の影響を緩和する目的だが、これが支給されるのは1回だけだ。それも消費が低迷するとみられる夏に支給される。
どうやら政府は7〜9月期のGDPを無理やり持ち上げ、それを根拠に来年10月の消費税再引き上げにつなげようとしているようだ。これは国家ぐるみの粉飾決算といえるのだ。
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