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記事中に、「異次元緩和の目的はマネタリーベースを増やすことにあり、国債の購入そのものではない。日銀がGPIFから国債を買っても、マネタリーベースが増えるわけではなく、実際の効果のほどは疑わしい」とあるが、民間銀行や投資家ではなく日銀がGPIFから国債を買えば、その分日銀券の発行(流通)残高が増えるのでマネタリーベースは増加する。
(民間銀行から国債などの債券を買えば、日銀券ではなく民間銀行の日銀当座預金残高が増加する)
むろん、その取引に限らず、マネタリーベースの増加が直ちに円安化や物価上昇に効果があるとは言えない。
マネタリーベースの増加よりも、貸し出しの増加すなわち実体経済で使われるおカネの増加を意味するマネーストックの増加のほうが物価や円レートに与える影響は大である。
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マネー底流潮流[日経新聞]
日銀が追加緩和に動く本当の理由
編集委員 越中秀史
2014/5/12 7:00
こんなはずではなかった――。ほぞをかんでいる市場関係者は多いだろう。日経平均株価は年初から4カ月連続で下落。同様のケースは戦後では1990年と1992年の2回しかない。年初に市場を覆っていた強気ムードはどこかに吹き飛んでしまった。
連休明けの5月7日には424円安と急落し、日経平均は安倍政権が発足して以来、初めて前年同日を下回った。仮に5月も下落すると5カ月連続安となり、過去に例のない事態となる。
いうまでもないが、日本経済のファンダメンタルズが悪いわけではない。決算発表シーズンを迎えている日本企業の2014年3月期の経常利益 は全体で3割超増える見通し。15年3月期の予想については経営者は慎重なものの、増益基調が崩れるわけではない。マネックス証券の広木隆チーフ・ストラテジストは「米国の景気が回復しても長期金利が上がらず、ドル高・円安シナリオが遠のいてしまった。割安な日本株に買いが入るカタリスト(きっかけ)がない」という。
それにしてもなぜこうも日本株はさえないのか。ある資産運用会社のトップはこう解説する。
「1月のダボス会議で安倍首相とヘッジファンド業界の大物、ジョージ・ソロス氏が1対1で約20分間会った直後です。ヘッジファンド業界にうわさが流れました。『ソロス氏との会談中に安倍首相がトイレに立った』と。もちろんデタラメですが、安倍首相の健康不安をあおるようなうわさでヘッジファンド勢が日本株をこぞって売ったのです」
外国人は昨年、15兆円超を買い越したが、そのほとんどが逃げ足の速いヘッジファンドであることは周知の事実。「中には日本のことなど全く知らず、小泉元首相のことすら知らない運用担当者も多かった。グローバルマクロのヘッジファンドといっても昔の仕手筋と変わりません」。海外勢が今年になって一転して1兆円超の売り越しになっているのには、こんな事情がある。
英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は3月、ヘッジファンドに振り回される日本の株式市場についてこう皮肉った。「金融観光客がチェックインすれば株価が上がり、チェックアウトすれば下落する」。日本の株式市場の構造問題の是非を論じるのは別の機会にするとして、日本株の復調には外国人の買いが必要なのは明らかだ。
「金融観光客」が再びチェックインするカタリストは何か。即効性があるという点では日銀の追加緩和に尽きるが、黒田総裁は4月30日の金融政策決定会合後の記者会見でも2%の物価目標は達成できるという強気な姿勢を崩さなかった。黒田総裁の自信に満ちた態度に「追加緩和はない」とみる市場関係者もじわりと増えている。QUICKの4月調査では9%が「追加緩和なし」と答えた。
それでも「7〜9月に追加緩和」というのが株式市場のメインシナリオであることに変わりはない。民間エコノミストの間では、物価目標の達成を懐疑的に見る向きがなお多数派だ。
最近よく耳にするのが、年金積立金管理運用独立行政法人 (GPIF)の運用資産の見直しに合わせて日銀が追加緩和するというシナリオ。GPIFが国債を日銀に売却し、その代金で株式の保有を増やすという「ウルトラC」だ。安倍政権の新しい成長戦略が発表される6月にも実施されるという観測が浮上している。
ただ、これは厳密な意味では追加緩和とはいえない。異次元緩和の目的はマネタリーベースを増やすことにあり、国債の購入そのものではない。日銀がGPIFから国債を買っても、マネタリーベースが増えるわけではなく、実際の効果のほどは疑わしい。
ウルトラCの火元はどうやら海外との見方もある。ヘッジファンドが好む「追加緩和」と「GPIF」というキーワードを組み合わせて作った新しい日本株ストーリーなのかもしれない。
それにしても日銀は動くのか。動かないのか。日銀の有力OBが興味深い見方を示してくれた。「黒田総裁が追加緩和に動くとすれば、15年10月に予定されている2回目の消費増税が危うくなった時だろう」
振り返ってみよう。昨年夏に今年4月からの消費増税の先送り論が強まったタイミングで強く異を唱えたのは黒田総裁だった。「財政に対する信認が傷付けられて国債価格が下落した場合は金融政策で対応するのは困難」。周囲も驚くほど強い調子で、予定通りの増税を繰り返し訴えた。
「黒田さんは財政規律を重視している。円安・株高の流れをつくって増税できる環境を整えたという自負もあるだろう。増税実現のために追加緩和に踏み切る可能性はある」
いうまでもなく黒田総裁は財務省の出身だが、直前まではアジア開発銀行 の総裁だった。「中央銀行 の枠を超えた大きな視野で考えると思う」という日銀の有力OBの解説には、それなりの説得力があった。
再び4月30日の記者会見。2回目の消費増税の景気へのインパクトについて質問された黒田総裁はこう答えた。「法律で定められた2回の消費増税を前提に経済や物価の見通しを作成しており、潜在成長率 を上回る成長が続くと見通している」。黒田総裁にとって2回目の消費増税の先送りは起こりえない事態なのだ。
安倍首相は7〜9月の成長率を見極めてから2回目の増税について最終判断するとみられている。夏場にかけて増税の是非を巡る議論が高まってくることになるだろう。その議論の行方が株式相場のカタリストになる可能性がある。
http://www.nikkei.com/money/column/teiryu.aspx?g=DGXNMSFK0903M_09052014000000
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