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[ポジション]長期金利、下限は0.6%? 日銀シナリオに投資家歩み寄り
長期金利の下げ止まりが鮮明だ。指標となる新発10年物国債は0.6%に厚い壁があるかのごとく、このところ何度も跳ね返されている。日銀が大量に国債を買うのに金利が下がらない状況は投資家心理の変化を映し出している。
8日実施された10年物国債の入札。平均落札利回りは0.602%とかろうじて0.6%を上回った。ただ約2000億円を落札した大和証券債券部の山田孝志副部長は「地銀などから一定の需要があり応札したが、0.6%以下では買い手が姿を消す」と話す。他の証券会社からも同様の声が聞かれ、投資家の購入意欲は明らかに鈍っている。
投資家が少しずつ日銀の物価シナリオに歩み寄ろうとしていることが背景にある。市場では年初まで日銀の物価シナリオに懐疑的な見方が大勢だった。だが、足元の物価上昇率が徐々に拡大する中、雇用情勢も改善。投資家の間で「追加緩和見送りを視野に入れる必要が出ており、現在の金利では国債を買いづらい」(損害保険ジャパン・日本興亜損害保険の黒田泰則運用企画部長)といった声が出始めた。
日銀は毎月7兆円近くの巨額の国債を買い入れ長期金利を人為的に押し下げている。だが、こうした緩和が縮小に向かうとの思惑につながれば金利が上昇し、保有債券に評価損が発生する。そうしたリスクを投資家は徐々に意識し始めている。
それゆえ消費者物価指数(CPI)の行方に関心が集まる。日銀は雇用改善や期待インフレの高まりを強調する。一方、円安の一服で物価押し上げ効果は弱まるため、2015年度にかけ2%へと物価上昇基調を強めるとの日銀のシナリオへの懐疑論は根強く残る。3月時点で1.3%だった上昇率がどちらの方向に向かうかによって追加緩和を巡る思惑は揺れる。
銀行や生命保険の運用原資はなおも潤沢だ。国債に代わる投資先も限られ、国債を慌てて売ろうとする動きにはつながりにくい。ただ、そんな環境下でも金利が下げ止まったことは投資家の金利先高観を物語る。
過去6年以上にわたってトレンドとして金利低下が続いてきた日本国債。市場の不気味な静けさの中には緊張感も芽生え始めている。
(後藤達也)
[日経新聞5月9日朝刊P.5]
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