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「低インフレ容認せず」 欧州中銀 来月に追加緩和検討 金利据え置き
【ブリュッセル=赤川省吾】欧州中央銀行(ECB)は8日の理事会で政策金利を過去最低の年0.25%で据え置くことを決めた。ユーロ圏18カ国の物価上昇率は1%を下回る状態が続き、ECBは警戒を強めている。ベルギー中銀で開いた理事会後の記者会見でドラギ総裁は「低インフレの長期化を容認しているわけではない」と語り、6月の理事会で金融緩和を検討する姿勢を示した。
仮に6月に金融緩和に踏み切れば、昨年11月の利下げに次ぐ政策変更となる。
「景気の回復力が弱い」。ドラギ総裁は、なかなか物価があがらない理由をこう説明する。4月の消費者物価上昇率は前年同月比で0.7%にとどまった。どんどん下がるという状況にはないが「経済の体温」とされる物価の動きは鈍い。
南欧を中心に内需が盛り上がりに欠ける。4人に1人が失業しているギリシャでは財布のひもが固く、モノが売れない。危機前は高級車ポルシェの販売台数は年400台以上だったが昨年はわずか8台だったと伝わる。
通貨高でエネルギー価格が下がっていることも物価が上がらぬ要因のひとつ。ドラギ総裁は「(通貨高を)非常に心配しており、理事会でも議論した」と口先介入した。
そこにウクライナの政情不安が忍び寄る。「潜在的には景気を脅かす恐れがある」とドラギ総裁は前回の理事会よりも表現を強めた。
そうした状況を踏まえてECBは6月に改定する経済予測で年1%と見込んでいた2014年の物価上昇率を下方修正する公算が大きい。さらに15年以降にどこまで物価が上がるのかも改めて精査する見通しだ。
この予測改定に基づいて、どんな金融緩和にいつ踏み切るか判断するというのが今回の決定事項。「予測の改定後に行動するということで一致した」とドラギ総裁は語り、「非伝統的な緩和策の導入で意思統一できている」とも言い切った。
だが「次の一手」を何にするかが見えているわけではない。
理事会では景気刺激のための小幅利下げなどが議題になったもよう。銀行に融資を促すための長期資金供給や、余剰マネーをECBに滞留させた場合に手数料を徴収する「マイナス金利」と呼ばれる奇策も浮かぶが、いずれも効果が限定的との指摘がついてまわる。
かといって強力な緩和策には賛否が割れる。特に国債などを買い取って資金供給量を大幅に増やす量的緩和では理事会内の意見の隔たりが大きい。「実施のタイミングではない」とノボトニー・オーストリア中銀総裁は地元紙に語っている。
ドイツなどの景気が底堅いため「想定よりも遅れるが物価は徐々に上がる」というシナリオはまだ崩していない。しかも欧州北部でデフレの兆しがないため強力な緩和がやりにくい面もある。
[日経新聞5月9日朝刊P.7]
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