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テレビ価格上昇をもたらした意外な背景 反転上昇の牽引役は4Kではなかった
http://toyokeizai.net/articles/-/36643
2014年05月11日 許斐 健太 :東洋経済 記者
急激に価格が下落し、デフレの象徴といわれた薄型テレビ。2009年まで10万円以上を維持していた平均単価は、11年末に4万円台まで急落。店頭は安売りテレビであふれ返った。
ところが、12年を底に、足元は6万円前後まで値を戻しつつある。単価反転の要因としてよく指摘されるのが、大型テレビの高付加価値化だ。高精細の「4K」などは、家電量販店の店頭でも目立つ場所に陳列されている。
ただ実際には、テレビ市場全体に占める4Kの比率は1%強(台数ベース)。50型以上の中でも11%にすぎない。13年3月から1年間の単価変動率は40型以上が2%増止まり。一方、30型台以下は10%以上増えている。つまり、足元の価格上昇は大型より中型の寄与が大きい。
そもそも、テレビ市場はブラウン管の時代から、1年間に約900万台の買い替え需要が安定的に発生してきた。この傾向は、市場の主役が液晶やプラズマに移った00年以降も継続した。
流れが一変したのは、2年後に地デジ移行を控え、家電エコポイント制度が導入された09年だった。翌10年には2500万台以上が出荷され、「とんでもない需要の波が来た」(家電メーカー幹部)。
ところが、その後は特需の反動で、12年には645万台まで出荷が急減。一気に“冬の時代”へ突入した。こうした状況下、メーカー各社は型落ちの中型テレビを乱売。価格崩壊につながり、経営難に陥る会社も出た。
■メーカーの姿勢が変化
だが、13年8月には販売金額が前年同月比でプラスに転じ、14年2月には販売台数も上向いた。背景にあるのは、メーカーの姿勢の変化だ。「各サイズ帯でモデルチェンジをしながら価格をコントロールしていこうという動きになった」(BCN総研の道越一郎エグゼクティブアナリスト)。
もちろん、メーカーの思惑だけで価格が上がるわけではない。需要の復調も単価上昇につながっている。
「需要先食いの影響が終わり、徐々に従来のサイクルに戻りつつある」(前出のメーカー幹部)。最近の買い替え客は従来より大型のものを選ぶ傾向があり、単価上昇に寄与している。20年の東京五輪に向けて4Kの本放送開始も見込まれ、メーカーの期待は膨らむばかりだ。
ただ、思惑どおりに復調が続くかは不透明だ。3月までは消費増税前の駆け込み需要が販売を押し上げた面があり、4月以降は反動減が懸念される。スマートフォンやタブレットが普及し、かつてに比べ存在感も薄らいでいる。
さらに、「今の4Kテレビは、既存のフルハイビジョンのコンテンツを高解像度技術の利用で4K並みの画質に向上させている。その技術では日本製に強みがあるが、本放送が始まると強みが薄れ、価格は変化する可能性がある」(BCN総研の道越氏)。回復基調にあるとはいえ、テレビ市場の足取りはまだおぼつかない。
(撮影:尾形文繁 =「週刊東洋経済」2014年5月3日−10日合併号<4月28日発売>の「価格を読む」を転載)
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