http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/624.html
Tweet |
企業決算の前半ピーク
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52583098.html
2014年05月10日 在野のアナリスト
日銀が今年度積み立てる法定準備金を、通常の4倍に積みます申請をだしました。現在、10年債利回りは0.6%辺りにはりついていますが、仮に日銀の想定通りに消費者物価が上昇をたどれば、利回りは上昇し、その分日銀は損失を抱えます。自己資本の目減りにより、日銀がリスクを抱えないようにするためにも、法定準備金などにより資本を手厚くしておく必要を考えたのでしょう。
しかし、いずれ必ず日銀は大きな損失を負います。自らの描くシナリオ通りなら損失を出す、という大いなる矛盾の中で、今の異次元緩和が行われているからです。問題はその損失をどう処理するか? そのとき黒田氏が総裁に留まっているかは不明ですが、将来世代への最大のツケ回しであり、そのとき法定準備金の積み増しで済むのか? その手法についての問題が噴出するでしょう。
上場企業の決算発表の前半の山場が通過し、今年度の見通しも出てきました。製造業では電機、非製造業では海運辺りが牽引し、前期比で約5%の伸び、というのがこれまでのところです。しかしこれにはちょっと癖があり、電機業種は早くから工場の海外移転をすすめ、円安メリットを享受できなかった。逆に、円高へと動きつつある今、電機には追い風と考えられます。海運は、全体的に荷動きが活発になるといった予想は、現時点ではないのですが、地政学リスクの高まりにより、単価が上がるかもしれない。つまり他業種にはネガティブな意味にうけとれます。
トヨタの決算発表でも、円安によるJカーブ効果を否定したように、現地生産が増えた今、輸出の改善は今後も少ないとみて間違いありません。国内でみると、消費者物価に含まれないガソリン価格の上昇が、賃上げ分を喰っており、これが大きな痛手です。メディアは盛んに影響は軽微、高額消費は堅調、と報じますが、過去の消費税増税時も同じような報じ方をしており、ふたを開けてみれば大きな消費の減退を引き起こしていた、という経緯があります。国内景気は、かなり慎重にみていた方がよいのですが、企業側の見通しはかなり強気な印象もうけます。
米株は最高値更新となりましたが、あまり勢いも熱気もありません。モメンタム株の調整には、一部でアリババ上場に備えて現金化する、という動きも考えられますが、今後の成長に期待していない、という部分も当然あります。米経済は堅調でも、今年度大きな期待はできないでしょう。米金融の収益性低下と、米投資家の成績とは密接に連動します。今後、高速取引の規制が強まれば、益々金融部門には逆風が吹き、消費には期待できなくなっていくことが想定されます。
これまで、金融機関の言い分がまかり通ってきた部分もありますが、今年はそうもいかなくなった。引き金は、金融でさえ国家がしばってきた中国や露国が、自国の政情不安を対外的な圧力によりかわす、という行動をとることにあるのでしょう。つまり自由主義経済の恩恵をうけて、新興国として成長してきたはずなのに、今はその頚木から外れようとしている。金融機関の言い分が通りにくくなった。それが昨今の、市場の動きにも現れているのでしょう。日本市場も、今年度に5%増益が維持できるなら、14000円台はよい水準ですが、本当にそうなるか? 地政学リスクの高まりと、その火中の栗を拾いに行こうとする安倍政権の動きとで、今後の動きはまた変わってくるのかもしれませんね。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。