http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/617.html
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DOMOTO
http://blogs.yahoo.co.jp/bluesea735
【目次】
【1】 年金積立金とジョージ・ソロス
【2】 ソロスのアジア・ヘッジファンド
【3】 プレイアドの投資戦略
【1】 年金積立金とジョージ・ソロス
英エコノミスト誌によれば、ジョージ・ソロスは2014年1月22日、ダボス会議で安倍首相と短時間の会談をし、「日本の巨大なGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)はもっと大きいリスクを取る必要があった」とおどしつけた(“hectored”)そうだ。GPIFは世界最大の年金基金である。
Risk on ― Japan’s pension giant − (2014/03/15 Economist)
http://www.economist.com/news/finance-and-economics/21599056-worlds-largest-pension-fund-changing-way-it-invests-big
日本の年金基金:リスクを取り始めた巨大基金 (2014/03/20 邦訳版:JPpress)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40220
これはソロスが、2013年から安倍政権が変更の見直しを進めているGPIFの資産運用について、国債売却と株式購入の速度をもっと速め、もっと大きいリスクをとるように安倍首相に迫っていたことを伝えたものだ。「GPIFは、ポートフォリオの中で日本国債のウエートを2013年3月の62%から2013年末に55%まで減らし、減らした分のほとんど―約8兆円―を代わりに日本株と外国株に投資している。」
4月22日、田村厚生労働相はGPIF 運用委員会の委員7人を任命した。「うち3人は国内債中心の運用見直しなどを提言した有識者会議のメンバーで、安倍晋三内閣が求めるGPIFの資産配分と組織の改革が加速する可能性がある」(4月22日ブルームバーグ)。
この人事でGPIFの運用委員を退任した慶應大学大学院の小幡績准教授は、ほぼ全員を入れ替えたこの人選の基準は、「改革に積極的な人、株式投資に積極的な人を入れた」と「BLOGOS」のブログで述べている。
この人選発表の前日、ジョージ・ソロスが香港を拠点とした、日本と中国をフォーカスするヘッジファンドを立ち上げたことを、ロイターとブルームバーグが伝えていた。人選の情報を、いち早くソロスが入手していたことは想像に難くない。それは麻生太郎財務相の発言から推測できる。
Former Soros team to start $150 mln Hong Kong-based hedge fund 4月21日 ロイター
http://uk.reuters.com/article/2014/04/21/hedgefunds-asia-pleiad-idUKL3N0NC0MP20140421
HS Group Backs Ex-Soros Specialists for New Asia Hedge Fund 4月21日 ブルームバーグ
http://www.bloomberg.com/news/2014-04-21/hs-group-backs-former-soros-specialists-for-new-asia-hedge-fund.html
麻生太郎財務・金融相は4月16日の衆院財務金融委員会で、6月の成長戦略改定で、GPIFの運用の在り方が議論されることになっていることを踏まえ、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の動きが6月にも出てくると、外国人投資家が動く可能性が高くなる」と述べている(4月18日ロイター)。
GPIFは今年6月までに公表される年金の財政検証の結果を受けて、資産構成の修正・見直しを始める(4月16日日経)。
財務相、GPIF「動き6月に出てくると海外投資家が動く」 (4月16日 日経)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL160II_W4A410C1000000/
ソロスが新しくヘッジファンドを立ち上げるのは、今年の「第三四半期」である7〜9月(ロイター英語版)。投機筋の本当の恐ろしさを知らない麻生財務相や安倍首相が期待する6月以降の株式相場に、ソロスのヘッジファンド立ち上げは時間的にピッタリと間に合う。
今年1月のダボス会議で安倍首相に、「GPIFはもっと大きいリスクを取る必要がある」と強く求めたソロスの計画は順調に見える。
【2】 ソロスのアジア・ヘッジファンド
前出のロイターとブルームバーグの記事をもとに、主に日本と中国を標的とした、ソロスが新しく立ち上げるヘッジファンドの概要をまとめてみた。
ジョージ・ソロスの「ソロス・ファンド・マネージメント」のアジア・チームの元(もと)投資策定幹部(investment executives)であるケネス・リーとマイケル・ヨシノが、今年の第三四半期(7〜9月)に、香港を拠点とするヘッジファンドを立ち上げる。ファンドの名称は「プレイアド・インベストメント・アドバイザーズ」(“Pleiad Investment Advisors”)。
4月21日のブルームバーグでは、「ソロス・ファンド」の中国と日本のスペシャリスト達によって設立された「プレイアド」が、アジア全域を対象としていると伝えているが、ロイターでは4月21日・24日の両記事で、「プレイアド」は中国と日本に(当然)焦点を合わせるだろうとしている(“is expected to”)。
「プレイアド」は「ソロス・ファンド・マネージメント」からスピンアウトしたヘッジファンド。つまり「ソロス・ファンド」の一部門であるアジア・チームを、外部からの資本導入により独立させて別会社にした(主にHSグループからの資本導入;後述)。
この「プレイアド」はジョージ・ソロスのヘッジファンドである。
ヘッジファンド業界で10万人以上のプロフェッショナルのネットワークを持つ「ヘッジファンド・グループ」(米国)のウェブサイトでは、「プレイアド」を「ソロスのアジア・ヘッジファンド」であるとし、「ソロス・ファンド・マネージメントは、香港を拠点にしたヘッジファンドを立ち上げている」と見出しで扱っている。
Pleiad Investment Advisors | Hedge Fund Group Association
http://hedgefundgroup.org/tag/pleiad-investment-advisors
初期資本金は1億5000万ドル(約154億円)を下らないとされ、今年のアジア地域でのヘッジファンドの立ち上げとしては最大規模の一つ。
潜在的な資産運用能力は15億−20億ドル。この潜在運用能力は、あくまでも「プレイアド」に大半の資金供給をしたHSグループの最高投資責任者(CIO)であるギャロウ氏が、ブルームバーグの電話インタビューで答えた数字だ。
HSグループはブラックストーン・グループ出身のマイケル・ギャロウ氏とゴールドマン・サックス・グループ出身のヨハネス・カプス氏が、アジアでの新興ヘッジファンドの立ち上げに長期資金を提供する目的で設立した企業。
そしてロイターの4月24日の続報では、「プレイアド」は7月〜9月の立ち上げ準備のために、ゴールドマン・サックスのプライム・ブローカレッジ業務の重役ビエン•チウを最高財務責任者(CFO)として雇ったと報じている(ビエン•チウは4月にゴールドマンを退職している)。
Pleiad Investment Advisors, a hedge fund spin-out from Soros Fund Management, has hired former Goldman Sachs prime brokerage executive Vien Chiu as its chief financial officer, as it prepares to launch in the third quarter of 2014.
Soros Asia hedge fund spin-out hires ex-Goldman exec as CFO 4月24日 ロイター
http://www.reuters.com/article/2014/04/25/pleiad-goldman-idUSL3N0NH0VG20140425
【3】 プレイアドの投資戦略
4月24日の方のロイター記事では、「プレイアド」はロング・アンド・ショートの株式ヘッジファンドであろうと書かれている(※ ロングは買い、ショートは売り)。
Pleiad, …, is expected to launch a long/short equities hedge fund with a focus on China and Japan …
このことを更に説明した箇所が4月21日のブルームバーグの記事の方にあり、「プレイアド」は<空売り>を含めた「全天候型戦略」をとると、元ブラックストーンのギャロウ氏は説明している。
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Pleiad will maintain a “moderate” net exposure, the difference between long and short investments, said Garrow, setting it apart from the typical long-biased Asian equities fund that makes most of its money in a rising market. Shorting involves selling borrowed stocks, betting on their prices to decline.
“We think it’s an all-weather strategy,” Garrow said.
『プレイアドは「中程度」のネット・エクスポージャーを維持するだろう。ネット・エクスポージャーとはロング・ポジションとショートポジションの差額。プレイアドは、上昇相場でその大部分を儲ける、標準的な買いに偏ったアジアの株式ファンドとは異なる。』とギャロウ氏は言った。ショーティング(売り)は、値下がりする株価に賭けるために借りた株式を売ることを含む(◆訳注-これは「空売り」のことを指している)。
「私たちは、(プレイアドは)全天候型戦略をとると考えている。」とギャロウ氏は言った。
HS Group Backs Ex-Soros Specialists for New Asia Hedge Fund (4月21日 ブルームバーグ)
http://www.bloomberg.com/news/2014-04-21/hs-group-backs-former-soros-specialists-for-new-asia-hedge-fund.html
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今年に入り日経や一部週刊誌で、ソロスが日本株を売り仕掛けているといううわさ記事が掲載されたが、実際にその一部が確認されている。
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「今年1月の日本株の急落場面では、『ソロス氏が売りに回った』といううわさが世界の金融市場を駆け巡ったが、米証券取引委員会に提出した2013年10〜12月期の報告書から、この期にソロス氏が日本株の売りに転じた事実が浮かぶ。」(下記記事を要約)
「日本株を売ったソロス・ファンド、世界景気減速を先読み」(2014/02/20 日経)
http://www.asyura2.com/14/hasan85/msg/750.html
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ソロスは、2013年4月の、日銀の黒田総裁による「異次元緩和」発表の直後、「円は雪崩のように下落するかもしれない」と米国メディアのインタビューで答えていた。あるブログで、「ソロスの予測は外れたじゃないか」という記事を読んだが、ソロスの予測が外れたのは、翌月5月22日のバーナンキ元FRB議長のQE縮小示唆の発言、それに続く秋の米国のデフォルト騒動、新興国の経済不安、ウクライナ情勢などの海外要因が大きく影響している。
◆終わりに◆
ギャロウ氏が短く答えた「全天候型戦略」ですが、この言葉は意味深長であり、ただ単に株式市場の下げ相場のなかで最大限の利益を獲得するという意味だけではないと考えます。いわゆる「日本売り」としてそれを考えるとその説明が長くなるので、別稿で扱う予定です。
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