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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140510/dms1405101100002-n1.htm
2014.05.10 「日本」の解き方
牛丼チェーンのすき家や居酒屋のワタミが人手不足のため一部閉店したり、ユニクロが従業員の正社員化を進めるなど、デフレ下で成長した企業で人手不足の影響が出たり、人材確保を急ぐケースが相次いでいる。
人手不足によって生じる時給の上昇や正社員化は多くの人に良いことのはずであるが、一部メディアでは「企業が悲鳴」という形で報道されている。それらの報道では、人手不足や時給上昇の原因といえる「金融政策による景気回復」についてはほとんど触れないのも奇妙である。
デフレ下では、モノの価格が低下していくので、名目賃金などのコストを低下させられる企業が相対的に強くなる。その場合、正規社員は賃下げをやりにくいので、非正規社員が多いほうが対応が容易だ。名目賃金のコスト低下を過度にやると、「ブラック企業」というありがたくない称号をもらうこともある。
一方、マイルド(ゆるやかな)インフレ下では、コストの調整はそれほど難しくない。名目賃金を低下させる必要はなく、上げ幅の調整が中心となる。そして動かしにくい固定賃金ではなく、ボーナスや残業代などで柔軟に対応できるからだ。
マイルドインフレ下で有利な企業は、正規社員が多く、社員のスキルを長期的に活用できるところだ。業績のアップは、ボーナスや残業代によって労働者にすぐ還元される。こうした現象は、かつての日本の高度成長期では当たり前の姿だった。それと全く同じことはありえないが、似たようなものだ。
インフレ率2%になるまで、日銀は金融緩和を続けるというのであるから、人手不足は多くの業界にまで広がるはずだ。ただ、雇用は、景気に対して遅行する指標であるので、幅広い業界で人手不足を実感できるまでには少なくともあと1年を要するだろう。
当初は非正規社員が多いサービス業などで正規社員が増えてくるだろう。そうしないと、人手不足で将来の展望が持てなくなるからだ。ちなみに、厚労省が発表している職業安定業務統計によれば、今年1〜3月の複合サービス事業、サービス事業の新規求人数は対前年同月比で2割近い高い伸び率になっている。それとともに、求人難の業者では、時給がますます上昇する。
これに対し、デフレ下で賃金カットに依存して成長してきた企業は、雇用方針で大転換しないと、人手不足や時給上昇への対応が後手に回るだろう。つまり、マイルドインフレ下では、一部報道のいう「企業の悲鳴」とは、デフレ適応企業の悲鳴であって、そうでない一般企業にとっては求人のチャンスである。
そもそも、賃金カットが得意な企業がデフレ下で有利というのはおかしい。だから、企業にそのような行動を強いるデフレが問題だといわれるのだ。
デフレ下では元気がなかった製造業でも、人手不足が目立ってきた。今年1〜3月の新規求人数は対前年同月比で2〜3割の極めて高い伸びになっている。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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