http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/585.html
Tweet |
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4DALQ6JIJUV01.html
5月8日(ブルームバーグ):中国のアリババ・グループ・ホールディングの上場による最大の勝者は、アリババを創業したジャック・マ(馬雲)会長ではなく、株式の3割余りを保有するソフトバンクの孫正義社長ということになりそうだ。
ソフトバンクは2000年、海外の投資家とともに2000万ドル(約20億円)でアリババの未公開株を取得した。当時、無名だったアリババは中国最大の電子商取引運営会社に成長し、ソフトバンクの保有株式の現在の価値は600億ドル(約6兆円)以上と見積もられている。
アリババ上場に伴う利益は、孫社長の投資家としての手腕をさらに際立たせることになる。孫社長は買収した米通信会社3位のスプリントに加え、同4位のTモバイルUS買収にも意欲を見せているほか、フランスのメディア企業ビベンディ傘下のユニバーサル・ミュージック・グループ(UMG)を85億ドルで買収することを提案するなど、規模拡大に躍起だ。
クロスパシフィック・キャピタル(米カリフォルニア州)のマネージング・パートナー、グレッグ・タール氏は孫社長を「アジアのウォーレン・バフェット」と評する。バフェット氏は米投資・保険会社バークシャー・ハサウェイを率いる著名投資家で、長期投資手法を取ることで知られる。タール氏によれば、ベンチャーキャピタル投資の成否は、当初の投資額に対し、どれぐらいのリターンを得られたかで決まるが、アリババのように価値が膨らむ投資となることはまれだ。
こういったベンチャーへの投資に加え、ソフトバンクは外部からの資金調達による買収で、自社を進化させてきた。1981年、パソコン用パッケージソフトの流通事業会社として創業した同社だが、現在は、日米の携帯通信会社のほか、ゲーム会社ガンホー・オンライン・エンターテイメントや検索サイト国内最大手ヤフー・ジャパンなど1300社超のグループ企業を抱える。
負債で規模拡大
ソフトバンクが保有するのはアリババ株の約34%。アリババのマ(馬雲)会長はソフトバンクの取締役を務めている。
SMBC日興証券の菊池悟アナリストは、上場によりアリババ株が市場で売却しやすくなることで担保としての価値が上がり、ソフトバンクとしては資金調達がしやすくなると指摘。借金をして企業買収しビジネス機会を増やしてきたソフトバンクにとって、「借金ができればできるほどよい」と話した。
ソフトバンクは06年には1兆2800億円を借り入れ、ボーダフォン日本法人を買収。孫社長の下で改革を行い、ソフトバンクの発表資料によると、昨年4−12月期の携帯電話事業からの営業利益は、買収前の9倍に達している。
昨年7月のスプリント買収をめぐっても総額約1兆2900億円の借り入れを実行した。Tモバイルの買収に関しても、孫社長がゴールドマン・サックス・グループやみずほ銀行など複数の銀行に接触し、買収資金調達について協議していることを、複数の関係者が明らかにしている。
財務に懸念も
SMBCの菊池氏は、次の投資対象としてインターネット関連やゲーム分野などを挙げる。ソフトバンクの知名度が世界的に高まった結果、多くの案件が寄せられることで、「これまでよりも成功するチャンスは高まるかもしれない」と同氏は述べた。
一方で財務状況を懸念する声も根強い。スプリント買収を受け、同社の有利子負債は12月末で9兆2000億円に到達。長期債の格付けはスタンダード&プアーズ(S&P)がBB+、ムーディーズがBa1とともに投機的水準(ジャンク級)だ。
BGCパートナーズ の日本株セールス担当マネジャー、アミール・アンバーザデ氏(シンガポール在勤)は「負債のレベルは天文学的だ」と説明した上で、「ソフトバンクは世界中で最もレバレッジの高い会社の一つだ」と話す。SMBC日興証券の菊池氏も、市場がリーマンショック時のように崩れた場合は、借金をして事業を拡大するソフトバンク流が「逆に回転することもある」と、債務拡大の危険性を指摘している。
ソフトバンクはスプリント買収に続いてTモバイルの買収も目指している。しかし、関係者によれば、米規制当局はソフトバンクがTモバイルを傘下に収めれば大手携帯通信事業者は3社に減ることになり、競争が損なわれるとみている。
孫社長は3月、米PBSのテレビ番組「チャーリー・ローズ」に出演し、Tモバイルの買収が実現すれば、米市場に「大胆な価格競争」を持ち込むと述べた。4月15日にもブルームバーグ・ニュースなどの取材に米での競争は事実上、寡占化されているとして、「構造問題の議論を進めていきたい」と意欲を見せた。
エース経済研究所の安田秀樹アナリストは、Tモバイル買収が不調に終わった場合の代替策として、孫社長が欧州各国の携帯通信会社の「2番手や3番手」の買収を念頭に置いているとみる。日本のシェアは改善して上限が見えており「考えているのは世界的なシェア拡大だ」と話した。
岩井コスモ証券の川崎朝映アナリストも、Tモバイル買収が進展しない場合、アリババ上場により余裕ができた資金で、ヨーロッパの携帯電話会社に出資する可能性もある、と分析している。
記事に関する記者への問い合わせ先:東京 天野高志 tamano6@bloomberg.net;東京 Jason Clenfield jclenfield@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:Michael Tighe mtighe4@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net中川寛之, 上野英治郎
更新日時: 2014/05/08 05:00 JST
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。