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国際市場での生き残りかけ、各業界で高まる再編機運 「官主導」再編では歪み露呈も
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140508-00010006-bjournal-bus_all
Business Journal 5月8日(木)3時0分配信
産業再編に国が乗り出してきた。日本企業の国際競争力が低下したのは、同一業界に企業が乱立して過当競争になっていることに原因がある、と考える経済産業省は、官主導で業界再編を図る。
官主導の「再編上場のモデルケース」となったのが、14年3月に東京証券取引所に上場したジャパンディスプレイ(JDI)だ。スマートフォン(スマホ)などに使われる中小型液晶パネルで世界トップの16.2%のシェアを持つ。同社は12年4月、日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶パネル子会社が統合して誕生した。その際、中心的役割を果たしたのが産業革新機構だ。経産省主導で09年に設立された官製ファンドで、革新機構はJDIの設立に当たって2000億円を出資した。
JDIの株式は革新機構と日立などメーカー3社が保有していた。上場に先立ち1億4000万株の公募増資を行い、公開価格は900円に決められた。3月19日、JDIは東証に株式を上場。ところが、初値は公開価格の900円を15%近く下回る769円だった。上場前に900円で買っていた個人投資家は大損した一方で、革新機構は保有する株式の半分近くを売り出し、出資額2000億円の8割に当たる1600億円を回収、売却益は700億円に上った。
JDIは官製ファンドによる産業再編のモデルケースとなるはずだったが、株価は公開価格(900円)を下回ったままで700円台の低空飛行を続けており、官主導の歪みが株価にあぶり出された格好だ。
●動きだす電炉メーカー再編
国際競争力強化のための業界再編は必至だ。鉄鋼業界では高炉メーカー1位の新日本製鐵と住友金属工業の合併により新日鐵住金が誕生。高炉4位の日新製鋼とステンレスメーカーの日本金属工業が経営統合して日新製鋼ホールディングスとなった。大型再編は一段落といっていい。
しかし、電炉メーカーの再編は進んでいない。電炉は鉄スクラップを原料として建設用鋼材を製造する。全国に大規模な製鉄所を展開する高炉に対し、電炉は地場メーカー、40社近くがひしめき合い、かねてから再編の必要性が指摘されてきた。再編が進まない理由としては、電炉再編の第一歩と目された統合計画が頓挫したことが大きい。国内棒鋼シェア1位の共英製鋼と同3位の東京鐵鋼は10年4月に経営統合する計画を進めていたが、中止に追い込まれた。公正取引委員会が棒鋼の中でも溶接が不要なネジ節鉄筋のシェアが8割に達することを問題視し、統合できたとしても事業売却などの厳しい条件が付けられかねないとして両社は統合を断念した。これにより、電炉再編の気運は一気にしぼんでしまった。
しかし、高炉の新日鐵住金の誕生で、再び電炉再編への期待が高まってきた。新日鐵住金系列の電炉再編だ。新日鐵住金の出資比率が高い順に並べると、大阪製鐵が60.6%、共英製鋼が25.8%、合同製鐵が14.9%。経営再建中の中山製鋼所にも16.9%出資している。再編の口火を切るのは、この中で大阪製鐵と共英製鋼の統合との見方が有力だ。鋼材市況の低迷が長引く中、電炉業界の再編は各社の生き残りの必須条件であり、両社の統合を突破口に封印されてきた再編が進むとみられている。
●造船業界の新たな再編の軸
14年、国内の造船会社の受注がゼロになり、つくる船がなくなる--「造船業界の2014年問題」として、世界不況と円高の影響で受注がゼロになるという悲観的な見通しが、13年夏ごろまで広がっていた。造船業界は00年代半ばから続いた海運・造船バブルが終わり、新造船の受注量は急減。一方で韓国のみならず、中国勢の台頭が著しかった。13年の受注シェアは中国42.4%、韓国35.4%だったのに対し、日本は13.2%にとどまった。
ところが安倍政権誕生後の円高是正で海外から受注できる環境が整い、受注ゼロどころか14年は受注量が例年より増加する見込みとなった。とはいえ、世界的に供給力が新造船の需要を大きく上回っている状態は続くため、業界としては再編の必要に迫られている。13年春には、川崎重工業と三井造船の合併交渉が表面化した。三井造船は先行きが厳しい造船を主力とするため、川重側の役員の大半が合併に反対。合併推進派の社長らが解任される事態となり、合併交渉は白紙に戻った。
造船業界の新たな再編の軸と目されているのがIHIだ。IHIは13年1月、造船子会社をJFEホールディングスの造船子会社と統合させ、国内2位のジャパンマリンユナイテッド(JMU)が発足したが、これに続くM&Aの標的が三井造船だ。IHIはブラジルの新興造船会社に経営参画して掘削船などの海洋資源分野に進出するが、そのブラジルで海洋資源開発で先行しているのが三井造船の子会社である三井海洋開発だ。三井海洋開発がJMUに合流し、今後の成長が期待できる海洋分野にIHIと三井造船が経営資源を集中させるというのが、新しい再編のシナリオである。
編集部
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