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安倍首相の欧州歴訪
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52582811.html
2014年05月07日 在野のアナリスト
GW明けの日本株市場は、大幅下落となりました。深刻なのは、欧州歴訪中の安倍首相が、投資を呼びかけ、何度も「改革を怖れない」と発信したのに、欧州投資家は売りで応えたこと、です。原因ははっきりしていて、昨年は期待で買った、今年は結果なり、形で示すべきであり、さらに期待を…と言われてもそっぽを向きます。しかも、安全保障上で中国との対決姿勢を示す安倍氏に、中国との結びつきが強い欧州が警戒した、というのもあります。日中がコトを構えれば、欧州とてタダでは済みません。つまり、安倍氏の態度は総じて欧州投資家にとり、失望なのです。
4月米雇用統計は好結果でしたが、中身が悪い。労働参加率の低下と、賃金の横ばいが顕著であり、雇用者数や失業率では計れない、米労働環境の深刻さを浮き彫りにします。将来的に改善される見込みはあっても、今のFRBのテーパリングを変えるほどではない。ウクライナ問題、西沙諸島での衝突、などの地政学リスクの問題もあって、相場にはリスクオフムードが漂います。
それでも、日本市場の下落率は突出しています。休暇中の注文を処理した部分があり、売買代金は久しぶりに2兆円に乗せましたが、ほとんどが売りです。一部、海外の年金などロングの資金が入っている、ともされますが、これは株価下落により、低下した保有比率をもどすための年金特有の動きであり、今後の戦略によっては日本株の比率を下げるかもしれません。その契機となりうるのが、安倍首相の欧州歴訪となるかもしれない、それほど中身がありませんでした。
以前から指摘していますが、法人税減税も特区構想も成長戦略ではありません。再配分、もしくは付け替えに該当します。日本全体を底上げするような代物ではない。そもそも「改革を怖れない」と言ったところで、「改革する気がない」と、言葉の意味としての違いはありません。政権を担当して1年半、何年までに、どういう形で、ということを述べない限り、新たな期待は生まれません。もう言葉を飾って、人を躍らせるようなタイミングではないのです。
一方で、原発政策や安全保障の問題では、欧州とは価値観を共有できず、懸念として映ってしまう。投資家は敏感に、日中衝突のシナリオも読んでいるかもしれません。今の国粋主義に凝り固まった世界で、『核心的利益』なる怪しい言葉をつかい、国内の支持のためにも衝突をくり返す国々に、日本も参戦する恐れ、です。安倍政権は経済優先ではない、その印象は一層強めたでしょう。
残念ながら、年後半に株高という人もいますが、その頃に買う主体がどこか? それが問題なのです。恐らく業績が10%上昇、という水準はすでに織り込んでしまったので、20%、30%というサプライズでもない限り、安倍政権下で最早株を買う外国人はいないのです。日銀もGPIFも織り込んでいる。後、サプライズをだせるのは政府だけなのですが、その期待を剥落させてしまった。歴訪が、まったく実がとれずにレクリエーションに見えてしまう今回の外遊は、国内には海外と全く異なる見方を伝えるのと同様、さらに海外勢の見方を悪化させることとなり、日本から逃げだす海外勢を増やすだけ、に終わってしまうのでしょうね。
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