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就学支援廃止、扶養義務強化…今後加速する貧困の「悪循環」
http://gendai.net/articles/view/newsx/149951
2014年5月6日 日刊ゲンダイ
新井直之氏/(C)日刊ゲンダイ
ネット経由で子供を預かったベビーシッターが子どもを死なせる事件がありました。「なぜ実家を頼らなかったのか」なんて声も聞かれましたが、非難されるべきはお母さんだけでよいのでしょうか。受け皿がない社会に目を向けるべきです。女性の社会進出に対する企業の理解も進んでいません。守ってくれる実家や親族がいるのは、すごく恵まれたことなのです。
厚労省が発表した相対的貧困率は15.7%。子どもの6人に1人、323万人が貧困層にカウントされるのです。破綻した家庭はそこらじゅうにある。2年間、車上で生活していた子や、唯一の食事が給食だった子どももいました。
家庭の中のことはナイーブな問題で閉ざされてしまう。自分の経済状況を相談する親も、子どもの状況は隠したがります。子どもたちもけなげなほど親をかばう。だから周囲もなかなか気づきません。不登校、ひきこもり、非行の子どもは分かりやすい。泣いているわけでもないし、友だちとアニメやゲームの話もする普通の子どもが、よくよく見ると靴がボロボロだったり、毎日同じワイシャツを着ていたりするのです。歯の治療ができず虫歯だらけというケースもある。表面化しにくいだけで、実際は深刻なのです。
今年1月に「貧困対策法」が施行されましたが、一方で打ち切りや縮小となる支援も少なくないのです。生活保護の基準引き下げに伴い、就学援助の縮小に動く自治体も増えている。支給対象の小中学生は156万人もいて、ギリギリやってきた層がさらに追い詰められていきます。
引きこもりの子どもの就学支援を行っている「地域若者サポートステーション」は子どもの貧困対策としても一定の成果を挙げ、全国で160カ所に増えました。ところが行政改革推進会議によると、来年度以降は廃止の可能性が出ている。
生活保護費の増大を抑えるための扶養義務の強化も事態を悪くしかねません。貧しい家庭に生まれながら、努力してなんとか暮らしていけるようになった人が親や兄弟の扶養義務に縛られ、結局、貧困から逃れられなくなる。そんな事態も想定されます。
普通の暮らしが送れている人からすれば、貧困は遠い問題に思えますが、誰もが直面する可能性があります。ちょっとしたことの積み重ねで、気づいたら、どん底に落ちていた。そんな家庭はたくさんあるのです。
▽新井直之(あらい・なおゆき)/1982年生まれ。NHK報道番組ディレクター。仙台放送局を経て、「おはよう日本」でニュース企画や震災関連を特集、12年から「特報首都圏」で報道番組を企画制作している。
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