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プジョー再建、中国頼み
東風から14%出資/長安と高級車開発 東南ア展開にらむ
欧州2位の自動車メーカー、プジョーシトロエングループ(PSA)の再建計画が動き出した。成否のカギは中国だ。中国自動車大手、東風汽車から14.1%の出資を受け中国生産の拡大や年6億ユーロ(約850億円)のコスト削減に取り組む。もう一つの合弁相手の長安汽車とは高級車を共同開発して世界展開する。欧州の名門は中国頼みで復活の道を探る。
「新車販売が好調で今年から土曜日も出勤。忙しいよ」。中国内陸部の武漢市にある神龍汽車の本社工場。第1工場の製造ライン責任者の陳凡さんは笑顔を浮かべる。
同社はPSAと東風汽車の合弁会社。本社工場には約1万3千人が働く。シトロエンの中型車「C4」やプジョーのセダン「408」などを生産する。
昨夏には第3工場が稼働。2015年までに生産能力は年75万台になるが、「生産が追いつかない」。PSAアジア事業担当のグレゴワール・オリビエ副社長は手応えを感じる。
欧州危機で打撃
両社は第4工場の建設で近く最終合意する見通し。神龍汽車のジャン・ムロ副総経理は「販売車種を広げ、多様化する中国ユーザーの好みに応える」と強調する。長安汽車との合弁を加えた中国の生産能力は20年には120万台強になる。先行する独フォルクスワーゲン(VW、年330万台)を追撃する。
PSAはプジョーが1974年にシトロエンを吸収合併して誕生した。米調査会社IHSによると12年の世界販売台数は約300万台で世界9位。不振の引き金は欧州債務危機。ドイツ勢は欧州外での販売が5割超だが、PSAは6割近くが欧州。消費低迷の影響で12年には仏国内の工場閉鎖決定に追い込まれた。
4月14日、PSAの最高経営責任者(CEO)に就任したばかりのカルロス・タバレス氏は再建計画を発表した。柱は年6億ユーロのコスト削減。東風と車体や部品を共通化。22年までに車種を現状の45から26に減らす。
販売面でも連携が進む。2月半ばからPSAと東風の社員の混成チームが東南アジア各国に飛んでいる。行き先はマレーシアやベトナムなど。将来の進出に備え、どんな車が売れるか現地調査する目的だ。「アジア太平洋は協力の一歩にすぎない」(東風の徐平董事長)とロシアやブラジル進出も視野に入れる。
PSAの弱点は高級車だ。プジョー、シトロエンとも価格帯は150万〜400万円程度。500万円以上の稼ぎ頭が少ない。「勝ち組」のドイツ勢は高級車が業績をけん引。VWの営業利益の4割はアウディが稼ぐ。
ゴーン流採用?
そこで打ち出したのが高級車ブランド「DS」だ。北京国際自動車ショーでは、同ブランドの多目的スポーツ車や高級セダンを初披露した。中国市場向けのDSの開発・生産は長安汽車が協力する。「DSをPSAのアウディにしたい」。タバレス氏は強調する。
タバレス氏の経営手法は「カルロス・ゴーン仕込み」との声が仏自動車業界に多い。タバレス氏は仏ルノー出身でゴーン氏の後継者との呼び声も高かった。ゴーン氏とたもとを分かちPSA入りしたが、再建計画はゴーン氏が日産自動車で策定した「リバイバルプラン」を参考にしたようだ。
仏系証券のアナリストはタバレス氏を「目立ったことを好まず手堅く進める印象」と評する。再生計画のタイトルは「BACK IN THE RACE(レースに復帰する)」。自動車業界の世界競争から棄権しかかったPSAは中国をテコに再参戦を狙う。
パリ=竹内康雄、北京=阿部哲也
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株主「3頭体制」火種に 創業家・東風・仏政府が各14%
プジョーシトロエングループ(PSA)の株主総会が4月25日にパリ市内で開かれ、東風汽車と仏政府からの出資受け入れが承認された。PSAが新たに発行する株式を両者合計で10億5000万ユーロ(約1486億円)で引き受ける。PSAの財務体質は改善されるが新たな株主構成が次の火種となりそうだ。
増資で議決権の4割弱を握る筆頭株主だったプジョー創業家の持ち分は14.1%に薄まる。東風汽車、仏政府は創業家と同率の株式を手にして「3頭体制」となる。
PSAの技術やブランド力を海外展開に生かしたい東風。徐平董事長は「PSAのすべての技術を使える」と強調するが、PSAが受け入れるかは不透明。プジョー家も「今まで通り言いたいことは言う」と息巻く。
何より不安視されるのが仏政府の出方だ。プジョー家は経営に重要な役割を担う監査役会議長のポストを手放し、オランド政権に近いとされる旧EADS(現エアバス・グループ)の元最高経営責任者(CEO)のルイ・ガロワ氏が就いた。
仏政府はルノーの筆頭株主でもある。ルノーが人員削減や海外生産シフトを計画するたびに口を挟み、ゴーンCEOも干渉に手を焼いた。
仏系証券のアナリストは「誰が経営の方向性を決めるのか見えない」と指摘する。タバレスCEOは「丁寧に議論すれば問題はない」と話すが、意見の不一致を不安視する声は消えない。
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東風汽車
東風汽車 前身は1969年設立の第二汽車製造廠。中国では江沢民元国家主席も勤めた第一汽車集団(吉林省)と並ぶ名門企業として知られる。もとは軍用トラックの生産を担い、92年に仏シトロエン(現PSA)と合弁で神龍汽車を設立して乗用車に進出した。現在は日産自動車、ホンダ、韓国・起亜自動車、仏ルノーとも合弁事業を手掛ける。香港上場でグループの大半の資産を抱える東風汽車集団の2013年の売上高は372億6300万元(約6200億円)。
[日経新聞5月6日朝刊P.4]
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