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日本企業“対中ジレンマ” 強まるリスクに先走る期待感
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140506/frn1405061012001-n1.htm
2014.05.06 夕刊フジ
【上海=河崎真澄】対中進出している日本企業の間に「チャイナリスク」への警戒感が一段と強まっている。日中関係の悪化が続く中で、訴訟や法的手段の行使、マスコミを駆使した攻撃など、日本企業をターゲットにした“対抗措置”がエスカレートしてきたからだ。一方、高い成長を見込める中国市場を切り捨てることもできず、日本企業はジレンマに陥っている。
1930年代の「中華民国」時代の船舶貸借をめぐる訴訟で、商船三井が上海沖で先月、大型船舶を一時差し押さえられた上、約40億円もの供託金を支払う事態になったことは、日本企業に強い衝撃を与えた。
「行政や立法、司法まで中国共産党の指揮下にある中国が、“法治”も全て党の意向次第だと国際社会に明確に示した」(銀行大手幹部)と受け止められた。法に従って対処する形を取りながらも、“対日制裁”の気配が強く漂う。
商船三井の船舶差し押さえと供託金の支払いで、中国ネット世論は“抗日戦勝ムード”に沸いている。
中国当局も、戦後賠償の放棄をうたった1972年の日中共同声明に、「民間賠償は含まれない」(中国外務省)と立場を変えた。
こうした中、戦時中の「強制連行」をめぐる損害賠償請求では、山東省で三菱グループの現地法人2社がヤリ玉に挙げられている。判決次第では、2社の現地資産の差し押さえも考えられる深刻な事態だ。
違法行為との関係は不明ながら、山東省青島市の税関当局は先月、丸紅の関連会社の中国人従業員3人を密輸容疑で拘束。3月には、ニコンのデジタル一眼レフカメラが国営中央テレビの特番で欠陥製品と名指しされ、回収など対応に追われた。
現地資産から従業員、製品に至るまで「次はウチの会社が狙われるかもしれない」との疑心暗鬼が、中国に進出する日本企業の間で広がるのも当然といえる。
だが、「すでに売上高の50%超を中国市場で得ている以上、リスクよりも利益が大きいと判断できるうちは、中国大陸の土俵際で踏ん張るしかない」と建材メーカーの幹部は話す。
中国全土125以上の都市で起きた2012年の反日デモでは、自動車業界が大きな被害を受けた。それでも「世界中にリスクのない市場はない。中国の消費者は政治問題とは切り離して優れた製品を選ぶ」とメーカー幹部は断言する。
世界の主戦場となった中国市場からの撤退は、経営の判断としては難しい。
成長市場への期待感が先走る中で、いかに中国ビジネスでリスクを回避していくか。日本企業はギリギリの選択を迫られている。
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