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日本人の「カネと幸せ」 資産運用のプロが価値観の変化を危惧
http://gendai.net/articles/view/news/149947
2014年5月5日 日刊ゲンダイ
「カネ遣いという教養」という著書も/(C)日刊ゲンダイ
大学卒業後、農林中金、野村投資顧問、クレディ・スイス、日興アセットマネジメントと、いくつかの機関投資家でファンドマネジャーをしていた私は、40代の頃は億を超える収入があり、ずっと長者番付に名前が載りつづけていました。
でも、もともとカネへの執着がなく、すべて使い切っています。靴、文具、オーディオ、時計……、自分ほど無邪気にカネを使った人間は、そう多くないでしょう。多額のカネを使ったことで、初めて分かったこともあります。
仕事柄、数百億円の資産を持つ大富豪たちと接する機会もありました。彼らに共通するのは、誰も信用しない、ということ。カネはあるのに幸せそうには見えませんでした。資産を守るプレッシャーに支配されていた。
では、カネと幸せの関係をどう考えればいいのか。機嫌よく生きるためにはカネは必要です。カネが幸せをつかむ手段なのは間違いありません。でも、多くの日本人は「目的」と「手段」を間違えているような気がします。
もちろん、アングロサクソンもカネに執着しますが、彼らはその先にある自分の幸せを考えている。1億円のカネをためたら、こういう生活をしたいというビジョンがある。日本人は目的もなくカネをためようとしているように思う。自分にとって何が幸せなのか突き詰めていないのでしょう。
私が、日本人らしいな、と思うのは、最近増えている京都を旅行する団塊カップルのカネの使い方です。タクシーを使って観光すれば名刹を3カ所、見て回れるのに、タクシー代がもったいないからと電車とバスを使い、1カ所しか見られない。カネは、自分が幸せと思う「時間」を買うために存在しているという感覚がない。
この先、日本人の幸せのモノサシはどう変わっていくのか。最近、怖いなと感じるのは、20代の若者の感覚です。ユニクロの服とカップ麺で満足している。ある公的機関が「いまあなたは幸せですか」と調査したら、「幸せ」と答えたのは20代が一番多く、50代が一番少なかった。ブラック企業だ、就職氷河期だ、と騒がれているのに、本人たちは、いまの生活を「幸せ」だと感じているのです。もちろん、ユニクロとカップ麺の生活を幸せと感じることは、悪いことじゃありません。
でも、あまりに狭い世界、狭い価値観のなかに閉じこもり、ほかの世界も知らずに「幸せ」と信じ込まされているような気がします。本当に、今の若者たちが幸せなのか。もっと大人が「人生は楽しいぞ」と若者に伝えることが大事だと思います。
▽藤原敬之(ふじわら・のりゆき)/1959年生まれ。一橋大法学部卒。近著に「カネ遣いという教養」がある。
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