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写真・図版:プレジデントオンライン
不足で資産価値減!? マンション修繕積立金の盲点
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140505-00012418-president-bus_all
プレジデント 5月5日(月)12時15分配信
マンションを購入すると月々発生するのが管理費および修繕積立金だ。管理費は共用部分を維持・管理するためにかかる費用を専有面積の比率により負担するもの。修繕積立金は、購入後12〜13年ごとに行われる大規模修繕の原資で、この修繕積立金が将来の資産価値を大きく左右するという。
国土交通省のマンションの修繕積立金に関するガイドライン(2011年4月)によると、15階未満のマンションの場合、建築延床面積にもよるものの目安となる修繕積立金額は、平方メートルあたり毎月178円から218円。75平方メートル換算にすると1万3350円から1万6350円になる。機械式駐車場がある場合はここにさらに加算される。
しかし「バブル以前には長期修繕計画自体を設定していなかったり、それ以降でも見た目の毎月支払額を抑えるため、70平方メートルで月額修繕積立金が2000円など非常に低く設定されている例があり、積立金が不足しているマンションは少なくないはず」(旭化成不動産レジデンス・マンション建替え研究所・大木祐悟氏)という。
そもそもマンションの大規模修繕にはいくらかかるのか。
「7〜8階建て、50世帯前後なら、通常、1回目、2回目の大規模修繕は4000万〜6000万円程度。ところが、3回目、おおよそ36年後になるとこれまで以上に大規模な修繕が必要になる。エレベーターのかご交換だけでも数百万から1000万円くらいかかり、それまでの倍くらいの額がかかる可能性もあります」(大木氏)
また、築30年を超してくると専有部の給排水管等の交換が必要になるケースも出てくる。築33年経った今でも新築時同様の価格で取引されているパークシティ溝の口(三井不動産)の大規模修繕を手がけたKAI設計の菅純一郎氏によると「本来、大規模修繕は共用部が対象。しかし築30年を超すと、専有部でも漏水などが目立つので、このマンションでは総会決議を得て管理組合事業として専有部の給排水管なども交換しました。費用は一戸数十万円。全1103戸ですから馬鹿にならない額ですが、臨時徴収、積立金の値上げなく賄えました」。
しかし、大半のマンションでは難しいのではないかと菅氏。当初の長期修繕計画が甘い、修繕積立金の額が低すぎるなどで積立金が不足する例や、管理組合の意見がまとまらないなど、大規模修繕にはさまざまなハードルが待ち受けている。そうなると専有部どころか、共用部の修繕すら難しくなる。らに、今後は修繕費等の高騰も懸念される。「震災の影響、また公共事業の増加などで、13年春以降、工事費全体で2割、足場などは3〜4割は上がっています。マンションの長期修繕計画は経済動向に合わせるため、5年を目安に見直すこととされていますが、今後も価格上昇が続けば、多くのマンションで積立金不足が発生する可能性があります」(不動産コンサルティング会社・さくら事務所コンサルタント土屋輝之氏)。
多少先延ばしはできても大規模修繕自体をやめるわけにはいかない。「マンションは適正に管理されていれば50〜60年は十分持つ。ところが、維持管理にお金を使わないため20年で老朽化が目立ち始めるケースもある」(前出・大木氏)のだ。
必要な修繕を適切に行うことがマンションの価値を維持する条件ではあるが、相見積もりも取らずに一社が出してきた修繕計画を鵜呑みにすると、非常階段の壁の塗装など、さほど必要でもない修繕が入り、高くつくことがある。知識のある住民やコンサルタントに精査してもらうことが意外に重要なのである。
土屋氏がコンサルタントをした例では、9500万円の見積もりが6500万円になった。コンサルタント料約100万円としても、十分おつりがくる。
東京情報堂代表 中川寛子=文
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