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無策の行き着くところが「経済は気合だ!!」という黒田日銀的姿勢(アベノミクス)である。(むろん、黒田氏などは、気合がないよりあるほうがいいとは思っていても、そんなことだけで経済が回復するというブードゥー的理論を信奉しているわけではない)
黒田総裁は、物価が上昇しているだの、需給(デフレ)ギャップが縮小しただの説明しているが、どちらも、現状ではロクでもない傾向である。
設備投資も輸出量も拡大せず可処分所得も増加せずに円安と消費税増税で物価が上昇する経済状況はスタグフレーションであり、需要の増大ではなく供給力の減少で縮まった需給ギャップは、さらに進む超長寿命社会での悪性インフレを予感させるものである。
転載する記事にあるように、「設備投資は13年全体で前年比1.6%減とマイナスを脱しない」、「主要国でみると米国は同2.8%増と設備投資を積み増している。新興国はさらに投資が進み、国際通貨基金(IMF)によると、国内総生産(GDP)に占める投資比率は中国で48%、インドネシアで34%と、日本の21%に比べ大幅に高い」。
極めつけは、「リーマン危機後の5年間で日本の製造業は合計66.5兆円の設備投資をしたが、減価償却費も72.1兆円にのぼった。差し引き5.6兆円分、設備の価値が目減りした計算になる。基幹産業の目減りが目立ち、自動車など輸送機械は5年で1.6兆円分も設備価値が減った。化学は3200億円分、電気機械も3100億円分減った。スマートフォンなどが成長する情報通信機械ですら2900億円分の減少」という供給力と国際競争力の劣化傾向である。
この傾向が、「製造業が自らの設備を使ってどのくらいモノを生産できるかを示す生産能力指数は、2月時点で前年同月比1.9%低下して28カ月連続でマイナスだ。リーマン危機後に低下に転じ、08年末の直近ピーク比では6%縮んだ。業種別でみると輸送機械が6%低下したほか、情報通信は24%、化学工業も2%それぞれ低下した。過剰設備は減ったが、円安でも輸出が伸びないのはこうした生産能力の低下が背景にある」という日本の状況を生み出している。
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高齢設備、成長の足かせ 製造業で使用16年超
日本企業の設備の老朽化が、人手不足と並ぶ「成長の天井」となるリスクが出てきた。設備の更新が遅れて供給能力が落ちているためだ。日本の製造業の設備の価値は5年で約6兆円分も目減りし、使用期間は16.4年と過去で最も長くなった。供給能力の低下は輸出伸び悩みの一因でもある。生産設備が需要に応えられなければ、成長機会を逃しかねない。(松尾洋平)
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストの試算によると、国内製造業の設備の使用期間は16.4年となり、1980年代から2倍近く“高齢”になった。4半期ベースでみても2008年以降、一貫して「設備年齢」は上がり続けている。
国税庁が示す生産設備の法定耐用年数は5〜10年程度が大半だ。「モノ持ちが良い」ともいえるが、企業の多くが長寿設備を抱えながら生産し続けていることがわかる。
安倍政権の発足後、円高修正が進んで企業収益は改善した。消費増税前の駆け込み需要もあり、14年に入ってからの工場などの稼働率は約80%と08年秋以来の高さだ。
ただ設備投資は13年全体で前年比1.6%減とマイナスを脱しない。リーマン危機後の「収縮経済」で過剰設備が重荷となり、思い切った投資に踏み切れないためだ。
主要国でみると米国は同2.8%増と設備投資を積み増している。新興国はさらに投資が進み、国際通貨基金(IMF)によると、国内総生産(GDP)に占める投資比率は中国で48%、インドネシアで34%と、日本の21%に比べ大幅に高い。
財務省によると、リーマン危機後の5年間で日本の製造業は合計66.5兆円の設備投資をしたが、減価償却費も72.1兆円にのぼった。差し引き5.6兆円分、設備の価値が目減りした計算になる。基幹産業の目減りが目立ち、自動車など輸送機械は5年で1.6兆円分も設備価値が減った。化学は3200億円分、電気機械も3100億円分減った。スマートフォンなどが成長する情報通信機械ですら2900億円分の減少だ。
リーマン危機後に過剰設備を廃棄した企業もあるが、更新投資をせずに設備が老朽化して資産価値が目減りしたケースが多い。投資を控えれば企業財務は改善するが、生産設備そのものは古くなり、最新鋭の装置を取り入れた新興国製造業との競争に出遅れかねない。
供給力も落ちている。製造業が自らの設備を使ってどのくらいモノを生産できるかを示す生産能力指数は、2月時点で前年同月比1.9%低下して28カ月連続でマイナスだ。リーマン危機後に低下に転じ、08年末の直近ピーク比では6%縮んだ。業種別でみると輸送機械が6%低下したほか、情報通信は24%、化学工業も2%それぞれ低下した。過剰設備は減ったが、円安でも輸出が伸びないのはこうした生産能力の低下が背景にある。
「需給ギャップはほどんどゼロに近い」。日銀の黒田東彦総裁が4月にこう発言して話題になった。景気の持ち直しで需要が増えてデフレ脱却が近い――。そう市場に受け止められたが「需要の話だけをしたのではない」と関係者は話す。「設備の老朽化で供給力が落ち、それが皮肉にも需給ギャップの縮小につながっている」と指摘する。
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経営者、投資になお慎重 後押しの施策必要
企業の経営者は設備投資に慎重な姿勢を崩していない。内閣府がまとめた2月の機械受注(船舶・電力除く民需)は前月比8.8%減と弱く、基調判断は1年4カ月ぶりの下方修正となった。財務省の今年1〜3月期の法人企業景気予測調査でも、利益配分のスタンスは「内部留保」が「設備投資」を上回る。
企業は国内よりも海外投資を優先してきた。国内製造業の海外生産比率は2013年度で21.6%と、ここ10年で1.5倍に拡大した。
BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「収益性の高い設備投資の案件が国内に乏しいため、投資は低迷せざるを得ない」と分析する。00年代に電機産業を中心になされた過剰な設備が積み上がっており、新たな投資には向かいづらいとの考えだ。
一方で三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の嶋中雄二所長は「今年から本格的に設備投資が増えるだろう」とみる。企業の抱える現預金は149兆円とバブル期並みの豊かさで、長期金利も安定しているためだ。ただ政策の後押しが必要と指摘し「法人税の減税や国家戦略特区を活用した規制緩和、人手不足の解消、円安の定着が欠かせない」と強調する。
[日経新聞5月5日朝刊P.3]
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