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日本抜きのアジアインフラ投資銀行を創設しようとする中国の矛盾
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140505-00035056/
2014年5月5日 11時36分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
中国主導のアジアインフラ投資銀行が来年設立されることが判明した、と朝日新聞が報じています。
アジア諸国の開発を支援する開発金融機関としてはアジア開発銀行があるのに、その上さらにアジアインフラ投資銀行というようなものが必要なのか? 私は、そう思ってしまいました。
但し、この銀行にはアセアン諸国や韓国など16か国が参加するが、日本とインドは外されているのだ、とか。
日本が外されていると聞くと何やら面白くない気がするのですが、その一方で、中国が何をするのも自由であるし、むしろ日本は参加しない方がいいという気にもなってきます。
いずれにしても、何故中国はそのような開発金融機関を創設しようとしているのでしょうか? しかも、日本抜きで。
中央日報が報じるところによれば、ある元中国人民銀行のトップが次のように述べているのだとか。
「アジア地域のインフラ建設資金を供給できる銀行を設立するために、中国政府内にタスクフォースチームが設けている」
「これは昨年11月の中国共産党3中全会での決定事項でもある」
「日本とアメリカが主導しながら、日本が総裁の席を独占している現在のアジア開発銀行(ADB)では限界がある」
「中国が主導する新しい投資銀行の設立が必要だ」
「モンゴル・北朝鮮などで道路や港湾などを建設する仕事が多い」
「インフラ建設銀行を設立すれば中国が500億ドル程度は簡単に出資できる」
ふむふむ‥中国の考えていることがよく分かりました。アジア開発銀行の実質的スポンサーである日本の意向を気にせず、自分たちの思いどおりに動かすことのできる財布(銀行)が欲しいということなのでしょう。
しかし、考えれば考えるほど中国の主張は矛盾しているとしか思えないのです。
誤解のないように言っておきます。アジア開発銀行があるのだから、そのようなものを中国が創設してはいけないと言っているのではないのです。しかし、どう考えてもおかしい!
何がおかしいのか?
そのことについて述べる前に、参加する16か国がどのような国なのかをみてみることにします。
中国、韓国、スリランカ、パキスタン、モンゴル、カザフスタン、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、ブルネイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー
このなかにどれほど真のスポンサーになれる国が参加しているというのでしょうか?
正確を期すために、1人当たりGDPの多い順に並び替えて見たいと思います。
世界8位:シンガポール
世界22位:ブルネイ
世界33位:韓国
世界58位:カザフスタン
世界67位:マレーシア
世界84位:中国
世界93位:タイ
世界108位:モンゴル
世界116位:インドネシア
世界125位:スリランカ
世界127位:フィリピン
世界135位:ベトナム
世界145位:ラオス
世界147位:パキスタン
世界158位:カンボジア
世界162位:ミャンマー
このうちお金持ちと言えるのは、シンガポールとブルネイくらいのものなのですが‥ブルネイは、ご存知のように石油や天然ガスを産出するために豊かではありますが、人口が40万人ほどの小国にしか過ぎません。また、シンガポールにしてもGDPは、日本の6%程度しかないのです。
要するに、どう考えてもお金を出せる国が思い浮かばないのです。
一体中国は何を考えているのでしょうか?
アジア地域におけるインフラ整備事業にお金を融資する機関としてアジアインフラ投資銀行を設立したいというのが中国の考えのようなのですが、そもそもアジア地域にはアジア開発銀行という歴史も実績もある開発金融機関が存在しているのです。その上、何故新たにインフラ整備支援を専門とする金融機関を設けなければいけないのでしょうか。
これが、例えばアジア開発銀行の資金が枯渇していて、地域の開発ニーズに十分に応えられないとか、或いは、政治的判断が優先されて公平に資金が配分されていないなどの事情があるというのであれば、それならそれで少しは理解できない訳でもないのですが‥
現実は、その逆なのです。
アジア開発銀行の資金が不足しているというような事実はないと思います。それに仮に資金が不足するような事態になれば、これまでも増資等で十分に対応することができたのです。
さらに言えば、中国が考えているような開発金融機関ではむしろ中国の存在が大きすぎて公平な資金配分が却って損なわれてしまうでしょう。
繰り返しになりますが、そもそもどこの国がスポンサーになるのでしょうか。
中国は500億ドル程度だったら簡単に出せると言っていますが、バカを言ってはいけないと言いたい。
だって、おかいでしょう?
確かに、中国は世界一の米国債の保有国でもある。だから、お金がないことはない。それは分かります。しかし、そのような中国がアジア開発銀行の最大の融資先であるのです。つまり、一番アジア開発銀行にお金を借りているのが中国なのです。
中国がアジアインフラ投資銀行を設立したいというのであれば、先ず今までアジア開発銀行から借りたお金を返済すべきであるのです。仮に一度に返済しなくても、今後はアジア開発銀行からの融資を受けないと明言すること位はすべきなのです。
それからの話ではないでしょうか?
自分たちがアジア開発銀行からお金を借りる立場であるのにも拘わらず、その一方で、アセアン諸国にお金を融資したいという矛盾した考えを持つ中国。
それはおかしい、と誰かが言ってやる必要があるのです。
中国が他国にお金を貸すのであれば、アジア開発銀行が中国にお金を融資する必要はないのです。
以上
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