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中国 過大な投資のツケ重く:量から質、転換に時間
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投稿者 あっしら 日時 2014 年 5 月 05 日 11:28:24: Mo7ApAlflbQ6s
 


[核心]中国 過大な投資のツケ重く
量から質、転換に時間 本社コラムニスト 脇祐三

 公共投資と製造業の設備投資を成長のけん引役とする中国の経済モデルが、大きな壁にぶつかっている。巨額の投資を続けた結果、地方政府や企業の借金が膨らんだ一方、成長が減速するにつれて買い手や借り手のいない不動産が増え、生産設備の過剰も目立つようになったからだ。

 中国政府も金融のリスクを認識し、量的な拡大から質と効率の向上へと経済政策の転換をめざしている。それでも足元では、投資による景気の下支えになお頼りがちだ。構造改革は急速には進みそうもない。

 2008年のリーマン・ショックで世界景気が冷え込んだ後、中国は財政出動と金融緩和で投資を加速させた。中央政府、地方政府、企業はインフラ整備、不動産開発、設備投資に突き進んだ。公共投資と企業の設備投資を合わせた固定資産投資額は、09年以後の5年間に150兆元(約2500兆円)を超えた。
 建設機械や資材、製造装置などの輸入が増え、中国の投資は日本企業の生産回復の支えにもなった。

 中国では、13年半ばの時点で中央政府の債務は国内総生産(GDP)の14%程度だが、地方政府の債務は36%前後に急増している。
 企業の借金も増えた。米国の格付け会社スダンダード・アンド・プアーズは、金融以外の中国企業の昨年末の負債がGDPの120%を超えたと推計する。中央政府傘下の113の国有企業の負債を自己資本で割った比率は、08年の0.4から13年の1.92へと急上昇したとの報道もある。財務体質の悪化は急だ。

 投資した固定資産が活用され、利益や便益を生み出すなら、問題は小さい。だが、一部の地方政府が開発したニュータウンには人けがほとんどない。生産能力を増やした産業で多くの企業が赤字に陥っている。これでは、投資の結果が将来に向けた重荷になる。

 中国の生産能力の拡大はすさまじい。鉄鋼産業は03年に日本の約2倍の粗鋼を生産していたが、13年の生産量は7倍以上だ。アルミニウムの生産量は03年から13年の間に4倍に増えた。
 鉄鋼もアルミも、03年に約2割だった世界生産に占める中国の比率が今は5割前後。これほど生産が増えているのに、どちらの業界でも設備の3割近くが遊んでいる状態だ。
 中国は世界最大の消費国にもなったが、内需の伸びは鈍った。中国の過剰設備と過剰生産が国際市況に影響を及ぼす。3年前に1トン2600ドルを超えていたアルミの国際相場が今は1700ドル台に下がっている。

 中国で積み上がった在庫は国外に流れる。高級鋼板を収益源とする日本の大手鉄鋼メーカーへの影響は比較的小さいが、世界の鋼材相場は下げ圧力を受け、韓国のポスコも主力の鉄鋼部門は減収減益が続く。
 中国政府も過剰設備の問題に目をつぶっていたわけではない。胡錦濤政権時代にも老朽化した設備を中心に削減を進めたが、一方で地方の中小メーカーなどの設備の新増設は続いた。
 その背景には、地元の雇用機会を増やし、経済成長率もかさ上げしようとする地方政府の思惑があった。中国共産党は昨年12月、経済成長率を重要な基準とする地方幹部の人事評価を改め、債務の管理などを重視する方針を打ち出した。
 習近平政権は昨年来、鉄鋼、アルミなど5つの業種について、17年まで生産能力の新規拡大を認めない方針を繰り返し示している。李克強首相は「市場原理による企業の淘汰」に言及し、政府はアルミなどで事業継続不可能とみなす企業のリストもつくった。

 とはいえ、発想の転換が浸透するには時間がかかる。国営メディアは「設備は簡単には壊せない」「淘汰には法律や行政手段も必要」といった政府高官の声も伝えている。
 製造業を中心に固定資産投資の全体の伸び率は徐々に下がっているものの、昨年後半から鉄道などインフラへの投資は再び加速しつつある。これには、鉄鋼などの過剰在庫を吸収する意味もあると、世界銀行は指摘する。その結果、GDPの伸びへの寄与度で投資が再び消費を上回り始めた。

 国営通信社の新華社は、「成長を適正なゾーンに維持すること」が新たな経済運営の理念だと指摘。今年の成長率目標である7.5%のプラス・マイナス0.5ポイントの範囲で上の方にあれば構造改革推進に、下の方にあれば景気下支えとリスク制御に力点が置かれると解説している。

 インフラ投資や不動産開発に伴って債務が膨らんだ地方政府が短期の資金の借り換えや、高利回りの金融商品などを通じた「影の銀行」の資金に頼る。この構造は、中国経済の大きなリスクだ。地方政府や企業の債務の抑制、削減を進めたい中央政府が、一方で投資による目先の景気てこ入れに頼ると、長期の安定をめざす構造改革の推進をあいまいにしかねない。
 ただし、地方政府が早急な債務削減を迫られたり、不動産市場の調整が急激に進んだりすると、そのショックは広い範囲に及ぶ。
 過去10年あまりの間に賃金水準は実質で3倍以上に上がり、消費は2ケタの増加を続けている。投資主導の成長から脱却し、消費主導の経済への移行を進める道筋は見えてきたが、経済モデルの転換は徐々に進んでいくのだろう。

[日経新聞5月5日朝刊P.4]

 

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