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デフレ脱却は物価だけで判断できない 【高橋乗宣の日本経済一歩先の真相】
http://gendai.net/articles/view/news/149905
2014年5月2日 日刊ゲンダイ
コストアップと需要増は違う
日銀が半年ごとにまとめる経済・物価情勢の見通し(展望リポート)が明らかになった。それによると物価上昇目標の2%は来年度中に達成するとある。再来年度は2.1%に到達するシナリオだ。
黒田総裁は会見で、「目標達成は道半ば」と強調。物価上昇の見通しに狂いが生じれば、追加緩和に乗り出す構えを示したようだ。「出口の時期を特定するのは時期尚早」とも言ったらしい。ただ、シナリオ通りに推移すれば、出口戦略に軸足を移す考えだろう。
さて、これは正しい判断なのか。
物価は確かに上がっていくだろう。異次元緩和によって円の力は弱まった。食料品や燃料など、暮らしに直結する輸入品の価格はじわじわと上がっている。
家畜の飼料も輸入頼みだから、国産の牛、豚、鳥、乳製品も値上がりが避けられない。原材料を輸入に頼る中小零細企業がコストを吸収するのは難しいため、価格に転嫁されていく。円安による物価上昇が続けば、目標とする2%の達成は高いハードルではないのかもしれない。
だが、物価だけを見てデフレ脱却と判断するのは間違いだ。輸入品の価格が上がっても、需要が弱ければデフレの状態は続いている。これは経済学の基本だ。
物価は需給の関係で決まる。供給が需要を上回れば物価は下がるし、需要が供給を上回れば物価も上がるというメカニズム。デフレ脱却が達成したかどうかは、需給関係を見なければ分からない。需要が供給に近づいているのか、それとも超えた状態になったのか。物価は単に結果である。そこだけを熱心に見るのではなく、なぜそうなったのかを分析する必要があるのだ。
日銀は昨年10─12月期の需給ギャップをマイナス0.1%と試算している。内閣府は同期間をマイナス1.6%とはじいた。算出方法によって数字は違うが、需要が供給を下回った状態は続いている。
駆け込みの反動減が予想される4月以降は、さらに供給超過となる公算は大きい。その間も円安が進んで物価が上昇し、目標達成として政策転換すれば、経済はガタガタになる。日銀が買い入れない国債は価格が下落するだろう。一方で金利は上昇するから、経済活動はますます停滞することになる。
コストアップによるものなのか、需要増によるものなのか、同じ物価上昇でも中身によってまったく違うものになるのだ。
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