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増税後景気、減速小幅か
消費税8%1ヵ月、賃金増が下支え 生産減少は緩やか
4月1日の消費増税から1カ月が過ぎ、景気の一時的な減速は小幅にとどまるとの見方が広がってきた。4月の鉱工業生産の減少は緩やかで、1997年の前回増税時のような急激な減産は避けられそう。労働者の賃金増も景気を下支えする。ただ住宅建設にはブレーキがかかり、企業も5月以降の再増産には慎重だ。当面の景気指標は強弱の材料が入り交じりそうだ。
経済産業省が30日発表した鉱工業生産統計によると、大企業を中心に聞いた先行きの生産予測は4月が前月比1.4%減、5月は同0.1%の増加だった。自動車や電子部品は4月に減産した後、5月には増加に転じる。化学メーカーは設備の定期修理で5月に6.1%の減産となるが、こうした特殊要因を除けば多くの企業は生産の急減は避けられるとみている。
消費の落ち込みも「想定内」との声が強い。内閣府によるとスーパーでの飲料・食料品(生鮮食品除く)の売り上げは4月に入って前年を下回っているものの、月後半にかけてマイナス幅が縮んでいるという。大手百貨店も「売り上げの減少幅は週を追うごとに縮んでいる」と指摘する。
背景には消費を支える賃金の明るさがある。厚生労働省がまとめた1人あたり給与総額の平均は、3月に前年同月比0.7%増えた。増税前の駆け込み需要で仕事が多くなり、残業代が増えたようだ。4月には大企業を中心に賃金のベースアップがあり、夏の賞与も多くの企業が昨年より増やす。賃金増が続けば、景気は緩やかながらも回復軌道を保てそうだ。
消費税率が前回上がった97年の鉱工業生産は、4月に2.6%減少し、5月に2.8%増えた。実際の生産は予測に比べ下振れする傾向があるものの、今回は予測通りであれば増税後の減産も回復も前回より緩やかになる。景気の落ち込みは「浅めで長め」といえる予測値だ。
5月の回復が鈍いとの見方について、みずほ総合研究所の山本康雄シニアエコノミストは「企業がまだ様子見をしている」と指摘する。97年は増税後に在庫が積み上がり、その後の大きな減産につながった。今回は現時点では97年より在庫が少ないものの「6月にかけて在庫が増えないかが大きな焦点」(シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト)だ。
2013年まで景気を支えてきた住宅市場は大きく減速しそうだ。国土交通省が30日発表した3月の新設住宅着工戸数は前年同月比2.9%減と、19カ月ぶりに減少に転じた。13年度全体では98万7254戸と前年度比10.6%増になったが、足元ではブレーキがかかった。
ニッセイ基礎研究所は14年度の着工戸数が、前年度比約14%減の85万戸になると予測する。ただ97年度は同17.7%減とさらに大きな落ち込みだった。今回は住宅ローン減税の拡充などが下支えするとの見方もある。
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政府の視線、早くも再増税 新成長戦略、株価を意識
消費増税から1カ月、政府の目線は早くも来年10月の再増税に向けられつつある。重要な指標となるのが株価。堅調なら安倍晋三首相が税率10%への再引き上げを今年末に決断しやすくなるとの見立てがある。
「ちょっと言っただけで株価が400円も上がった」。麻生太郎財務相は最近、まんざらでもない様子でこう繰り返している。日経平均株価が大きく上がったのは今月16日。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)について財務相が「6月以降に動きが出る」と語り、株買いの期待を高めたことがきっかけだった。
企業統治の強化、リスク資金の供給、労働市場改革――。新成長戦略に盛り込まれそうな政策にも、市場を意識したものが多い。財務省幹部は「もっと株価に訴えかける政策はないか」と主要省庁に催促する。
法人税改革などを巡ってせめぎ合いを続ける首相官邸と財務省だが、株価の維持という一点では思惑が一致している。アベノミクスの成果ともいえる株高は首相の高い支持率を支える生命線。財務省も首相が増税を決断しやすい環境を整えることに注力する。
ただ目先の市場の動きを意識しすぎれば、中長期的な成長への取り組みがおろそかになりかねない。「成長戦略は成果が出るのに時間がかかるもの。市場の反応を気にしすぎるのは本末転倒だ」(BNPパリバ証券の河野龍太郎氏)。肝心の市場にも冷ややかな声が残る。
[日経新聞5月1日朝刊P.5]
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百貨店、売り上げ回復は 賃上げ波及 夏が岐路 高島屋社長 木本茂氏
4月の消費税率アップを前に発生した駆け込み需要の反動減が百貨店を苦しめている。百貨店売上高は再び回復するのか。高島屋の木本茂社長に現状と見通しを聞いた。
――4月の売り上げ動向はどうですか。
「3週間過ぎた21日までの売上高を見ると前年同期比18%の減少です。消費増税前に発生した駆け込み需要の反動です。3月の売り上げは全体で前年同月比32%増えました。想定以上に大きかったのは高額の宝飾品や特選ブランドで、前年同月の2倍超でした」
「ただ反動減の幅が拡大しているわけではありません。3週間を週ごとに分解すると、1週目が26%減、2週目が18%減、3週間目が11%減です。さすがに宝飾品や特選ブランドは低調ですが、ファッション品の回復は早い。4月の3週目で見ると婦人服・雑貨は前年の7%減でとどまり、紳士服は前年並みです」
本物志向下支え
――消費者の購買意欲は衰えていないのですね。
「もちろん反動減対策でセールなどを打っていますが、百貨店が安売りしても意味がない。本物志向が下支えしているようです。京友禅とイタリアのシューズメーカーがコラボレーションして作った着物柄の靴など、特徴的な商品は今も売れています」
「今年は企業業績が好調で、経営側が賃金のベースアップを受け入れ、ボーナスも増やします。これは昨年にはなかったプラス材料です。ですから7月の売上高が前年実績と比べ反転するかどうかの目安になると思います。最終的に今年の売上高は上期が1.4%減、下期が0.6%減、通期では1%減と見ています」
――地域的にはいかがですか。
「日本橋や新宿、横浜など高級品がよく売れる都心の店舗は駆け込み需要も反動減も大きいです。地方店はそもそも高級品の扱いも比較的小さく、駆け込みも反動減も少ないです」
訪日客増も効果
――訪日外国人数の増加も大きいですか。
「効果は大きいです。2013年は外国人客向け売り上げは高島屋全体で70億円強でしたが、今年は100億円に達するでしょう。特に新宿店は大きく、外国人向け売り上げが店舗全体の5%程度に達しています。イッセイミヤケのバッグ『BAOBAO』やサンリオの『キティ』など日本のオリジナル性が強い商品がよく売れます」
「これまでも外国人向けには消費税の免除のほか、現金客向けに5%の割引を実施していましたが、今年からは銀聯カードでも割引できるようにします。10月からは外国人客は化粧品でも消費税が免除されるのでさらなる売り上げ増につながるでしょう」
――百貨店離れは終わったのでしょうか。
「従来型の売り場作りでは目新しさはなく、伸びは期待できません。当社には東神開発というデベロッパーがあり、国内外で専門店施設を運営しています。百貨店本体から人を派遣し、売り場だけでなく、施設全体を見直しており、来店客が長く滞在できる店舗に改革したい。まずは新宿店と立川店を対象に新モデルを作っていきます」
(聞き手は編集委員 中村直文)
きもと・しげる 今年2月1日に社長就任。国内事業の収益改善を急ぐ。57歳。
[日経新聞4月29日朝刊P.5]
- 消費落ち込み「想定内」 増税1カ月:百貨店は1割減、自動車5%:反動減、影響は…「6月まで」8割 小売業100社調査 あっしら 2014/5/03 04:22:52
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