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[エコノフォーカス]日中、金融は急接近
4大銀、日本で預金調達1兆円 運用難の生保・邦銀から
領土や歴史問題を巡って冷え込む日中関係。この数年、ヒトやモノの往来は増減を繰り返すが、お金の流れから見た日中関係は伸びが目立つ。中国本土系の四大銀行が日本国内で調達した預金残高はこの3年弱で3倍以上になり、昨年9月末時点で1兆円規模に膨らんだ。日中の金融の現場で何が起きているのか。(玉木淳、森本学)
まずはデータから見てみよう。日本経済新聞が日本に支店を置く中国、建設、工商、交通の4つの大手銀の財務諸表などを集計。日中金融関係を表す指標として、四大銀が日本国内で調達した預金の推移を調べてみた。
尖閣後でも増加
1000億円未満だった四大銀の預金は、2011年3月期以降に増加基調が強まった。12年9月には沖縄県・尖閣諸島の国有化で日中関係が悪化したが、13年3月期の預金は1年前と比べ6割増えた。13年9月末時点での預金は9925億円に膨らんでいる。
日本の銀行が集める600兆円強の預金と比べると小規模だが、日本に進出する外国銀行の日本支店が集めた国内預金は約6兆5千億円。四大銀預金は15%を占める。
モノやヒトの流れと比べると日中金融関係の拡大がはっきりする。日本から中国への輸出額は伸び悩んでおり10年の水準まで回復していない。日本を訪れる中国人の旅行客も12年10月から13年8月までほぼ一貫して前年を下回り、最近ようやく回復し始めた段階だ。
お金を預けているのは誰か。経営状況を聞こうと四大銀日本支店に取材を申し込んだが「難しい」との回答。わずかに工商銀行が公表資料で「金融機関から短期資金を調達している」とする。
「中国を含む外国銀行への預金は運用多様化の方策として意識し始めている」と語るのは大手生保の関係者。国内大手銀に1000万円以上のお金を預けた場合の標準金利は年0.025%。金利低下に伴い生命保険各社は契約者に約束する運用利回りを稼ぎにくくなっている。別の生保も「四大銀なら、邦銀より金利が高い」と証言する。
ある大手銀行は数百億円を四大銀に預けた。運用の多様化の一環だが、中国四大銀と関係をつくっておけばアジアでの金融事業拡大の布石になるとの計算もある。
金融庁も調査
危うさもある。中国の金融システムは盤石ではない。足元では、銀行以外の金融機関が不動産開発などの融資を膨らませたシャドーバンキング(影の銀行)問題がくすぶる。個人や企業が中国の銀行で預金をした場合、現地法人が日本の預金保険に加入しない限り、預金保護の対象外だ。
四大銀の一つは日本支店の13年4〜9月の利払い費用が前年同期比で7倍弱になった。一方、この銀行の13年9月末と12年9月末の預金残高の伸び率は3倍強にとどまっている。高金利で預金を集めた可能性がある。
加藤隆俊元財務官(国際金融情報センター理事長)は「世界で経済規模が第2位の国と第3位の国同士の金融取引が安定的に拡大するのは双方にとって好ましい」とする一方、「足元で日本からの資金調達が急増しているのは、中国当局が金融を引き締めている影響も大きい」と指摘する。
有利な運用先を探す日本のマネーと、危うさをはらみながら7%成長を維持する中国経済。金融面での日中急接近はどこまで本物か。関係筋によると、金融庁も実態調査に動き始めたという。
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中国勢、海外進出急ぐ 金融の自由化に備え
【上海=土居倫之】中国の大手銀行の日本での預金調達が増えている背景には、国際展開を急ぐ中国側の事情もある。中国国内の預金金利の自由化が進めば収益力が低下するのは確実。円を含め海外で資金調達し海外事業で稼ぐ体制を強化している構図だ。
中国工商銀行など国有大手銀行5行の2013年末の国外総資産は前年比30%増の1兆1100億ドル(約113兆円)と初めて100兆円を超えた。国外資産規模で3位の中国建設銀行は昨年、ブラジルの銀行を買収。欧州で富裕層向けにプライベートバンク業務を始めた銀行もある。円での預金調達拡大もこうした流れに沿った動きだ。中国人民銀行(中央銀行)の周小川総裁は3月、預金金利自由化について個人的な見解としたうえで「1、2年で実現できる可能性が高い」と述べた。自由化が実現すれば銀行にとって預金金利の低下が進み、銀行の資金調達コストは増える。
中国国内では不良債権の発生確率も高まっている。国外資産残高トップの中国銀行の陳四清行長は「中国経済は構造改革の途中。国内業務のリスクは大きい。今後は国際業務への投資を増やす」と話す。
[日経新聞4月28日朝刊P.3]
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