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なぜあの店では無駄な物を衝動買いしてしまうのか?店側が仕掛ける“無意識”のワナ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140502-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 5月2日(金)3時0分配信
夕食に必要な食材や生活用品を買うために利用するスーパーマーケット。だが、実はそこで購入される商品の5割以上が「衝動買い」によるものなのだという。
こんな衝撃的な事実を明らかにするのは、世界的なベストセラー『なぜこの店で買ってしまうのか ショッピングの科学』(パコ・アンダーヒル/ハヤカワ文庫)だ。同書は消費者の購買行動を徹底的に観察してヒトの習性を分析した結果、消費者の多くの購買決定は店内の状況に左右されると指摘している。
「何を買うかの決断が、店の外の状況に左右される可能性はますます低くなっているということだ。多くの購買決定が店のフロアでなされ、あるいはそれに強く影響される。買い物客はブランドへの忠誠や、何を買うべきかを広告に頼るよりも、店内での印象や情報に左右される」
看板、棚の配置、ディスプレイ空間、備品……店舗という空間、そこで展開されるすべての装置には、こうすれば客が商品に手を伸ばしたくなるという「ショッピングの科学」がある。そして、利益を上げている店ほど、その科学を追求し、最も効果的な手法を実践しているのだという。
●客が店のメッセージを受け取るタイミング
例えば、窓や入り口のすぐ内側の案内板は効果的だが、せいぜい数語のワン・センテンスで瞬時に読めなくてはならない。というのも、入り口近くでは消費者は当初の目的の商品を目指して、早足で入ってくるために、視野が狭くなるからだ。
「見えないかもしれないが彼らは慌ただしく自分を適応させようとしている。ペースをゆるめると同時に、目を明るさとスケールの変化に調整し、首を伸ばし、見るべきものをすべて見て取ろうとするのだ。その一方で、彼らの耳と鼻と末梢神経がそれ以外の刺激を識別している。音やにおいを分析し、店内が暑いか寒いかを判断する。(略)彼らはまだ本当に店内にいるのではない。見たところいるにはいるが、あと何秒かしなければ本当に店にいる状態にはならない」
この店に入る前の移行ゾーンには何を置いても役に立たない。販売員が心をこめて、「何をお探しですか?」と尋ねても「いや、別に」と拒絶するだけだ。だから、この移行ゾーンでは、店内案内図を渡す、買い物カゴを手渡すなどの足取りを緩めさせるバリアをつくる必要がある。
そして、客が奥に入ってきたら、今度は店側の商品に関するメッセージを増やしていく。例えば、ファストフードでは、何を注文しようかと思案しながら入ってくる客はカウンターに一目散で、当初はメッセージが届きにくい。しかし、目の前の行列に並び、大きなメニューボードでお目当ての商品を探す段階になると、メニューをじっくり読み始める。
「注文を伝えたあとも、メニューボードとカウンターの案内文はまだ客の注意の的となる。マクドナルドの研究では、75%の客が注文を終えたあともメニューを読んでいた。注文した商品が出てくるまでの時間、つまり『調理待ち』の時間は、平均して1分40秒だ。これはかなり長い時間で、たいていのメッセージが読める」
さらに、ファストフードの客は1人が多く、食事の間も気晴らしを求めているため、トレーの下敷きの文章を読みふける。よそでは見向きもされないメッセージも、読まれること請け合いなのだ。テーブルには、小さい文字が何行も書かれたナプキンを置くのもいい。
つまり、メッセージを読み取る余裕ができるのは、消費者が当初の目的を達成した(注文した)後なのだ。入ってくる客よりも、注文を終えた客へのメッセージ(食後のデザートの広告)が店内では効果的なのだ。
●滞在時間が長くなるほど多くの商品を買う
ショッピングの科学で重要なのは、客が店で費やす時間(ショッピングしている時間のみ、列に並ぶ時間は除外する)を把握し、いかに長くさせるかだ。
「われわれの調査が証明したところによれば、買い物客は店にいる時間が長くなるほどたくさん買う。客が店内に滞留する時間は、その場がいかに快適で楽しいかによる」
ある電器店では、非購入者の滞店時間は5分6秒、これに対して購入者は9分29秒だ。「玩具店では、購入者が17分以上、非購入者が10分。店によっては、購入者が費やす時間は非購入者の3倍から4倍」にもなり、購入者が会計を済ませるまでの平均時間は、スーパーで25分、大型スーパーや百貨店では30分だという。
そのため、スーパーではほとんどの客が手にする乳製品を店の奥に置き、買い物客を通路奥におびき寄せる。そして、そこまでの途中には、つい手に取りたくなるような商品を置き、買い物カゴを店内に分散して配置する。さらに、購入後も、レジと出口までの間に商品を置き、最後まで買い物客に「ついで買い」させるための仕掛けを怠らない。
私たちがスーパーから家に帰った後、「なんでこんなものを買ってしまったのだろう」と不思議に思うことがよくあるのは、こうした仕掛けにまんまとはまっているからだ。
物価高騰の折、無駄な買い物を避けるためにも、消費者自身がまず、このショッピングの科学を研究しておくべきかもしれない。
編集部
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