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消費者金融、なぜ息吹き返す?横行する借り手の申請書類偽造、ノルマ優先で甘い審査
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140430-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 4月30日(水)3時0分配信
2010年6月に貸金業法が改正され、消費者金融業者は借り手の年収総額の3分の1以上の額を貸し付けてはならないという、いわゆる総量規制が敷かれた。これにより新たに借り入れることができない消費者が増え、消費者金融業界全体として貸付額が激減し、苦境にあえいでいるとの声をよく耳にする。
しかし、ある大手消費者金融の社員は、こうした声に異を唱える。
「確かに、総量規制は業界にとっては痛手だった。だが、貸金業法改正から間もなく4年がたち、振り返ってみると、むしろ消費者にとって消費者金融を利用しやすい環境が整ったのではないだろうか。かつての消費者金融は俗に“サラ金”と呼ばれ、ともすれば声に出しては語れないイメージがあった。しかし今では銀行との関係が密接になったので、利用者が消費者金融に対して抱いていた悪い印象は薄らいできた感がある」
06年ごろから過払い金返還請求が急増して経営が破綻する消費者金融が続出し、各社は銀行の傘下に入った。その後、銀行と合弁会社を設立し、「フリーローン」「カードローン」などの名称でその合弁会社が個人を対象に実施している融資業務を実質的に行っている。つまり表向きは銀行系ローンと思われているが、実態は消費者金融が下請けをしている格好だ。
「銀行ローンは、総量規制の対象外。したがって消費者金融で借りられなかった人も、銀行系ローンに申し込めば、融資を受けられる可能性がある」(同)
このことから、借入額が年収の3分の1を超えた人は、月々の支払いが苦しくなった時に、その受け皿として銀行ローンを用いて当座をしのぐ人も少なくないだろう。
「改正貸金業法が施行された当初、『なんて迷惑な制度を設定してくれたんだ』と思ったが、この制度によって、借り手が消費者金融で融資枠いっぱいまで借りて、それを返すために銀行を利用するという流れができた。裏を返せば、銀行と消費者金融の棲み分けをうまくさばいてくれたものだと思える」(同)
●申込人のウソに気付いていても融資する消費者金融
消費者金融の窓口で、新規借り入れの申し込みがあった場合、他の消費者金融や銀行でいくら借りているのかなど、審査のために聞き取りを行う。もし、他社から総額100万円以上の借り入れがあれば、収入証明書などの提出を求める。
だが、この収入証明書にはちょっとしたカラクリがあるという。会社員はもちろん、自営業者や自由業者、さらには主婦、フリーターといった固定収入がない人にも多額の融資をしている裏を、前出の消費者金融社員は次のように語る。
「自営業者などの収入証明書としては、原則、確定申告書の写しを求めている。写ししか求めない銀行や消費者金融業者としては、借り手であるお客が提出した書類を信用するしかない」
銀行も消費者金融業者も、内心、「この人は自営業と称しているが、実際はフリーターだろうな」と感じていても、確定申告書に個人事業主として屋号も表記され、かつそれなりに収入があるのならば、それに基づいて融資する現実がある。
「仮に、確定申告書の写しが偽造であったとして、それが発覚した時には偽造したお客の責任。融資をした担当者は詐欺被害者でしかない」(同)
あるフリーター男性は、消費者金融で融資枠一杯まで借り受け、さらに銀行ローンを利用したが、収入は増えず、消費者金融と銀行への返済が難しくなった。そこで、確定申告書に記載する額を実際の年収額よりもかなり上乗せし、この確定申告書を基に消費者金融と銀行に融資枠の見直しを求めたところ、融資可能額は大幅に増加したという。その時のことをこの男性は次のように語る。
「融資枠が増えて一時的には助かったが、国民健康保険料や市県民税額が跳ね上がったので、支払いに難儀した。やむを得ず翌年の確定申告書は、さらに収入を水増しして提出した。銀行や消費者金融に提出する書類を偽造するのは気が引けるが、確定申告の際に収入を過大申告するのは比較的やりやすい」
消費者が、まず消費者金融で借り、その後に銀行系のローンを利用する。そして確定申告時、収入を前年よりも過大に申告する。この時の確定申告書の写しを消費者金融と銀行に提出し、融資可能額を上げてもらっている流れが見えてくる。このような不正な手口は珍しいことではないと、前出の消費者金融社員は言う。
「今は銀行より消費者金融のほうが提出する書類も多く敷居が高い。だからあえて先に消費者金融から融資を受け、これを毎月きちんと返済していれば信用が上がる。この信用を基に銀行で『借り換え』目的でローン商品の審査を申し込めば、ほとんどの審査は通る。銀行の下請けである消費者金融業者にもノルマがあるため、『できるだけ借りてほしい』というのが本音だ」
果たして、こうした個人レベルの“粉飾”がいつまで続けられるのだろうか。景気動向に回復の兆しが見えてきた今、銀行・消費者金融側も手を打たなければ、もし景気が冷え込むような状況になった時に、かつてアメリカで起きたサブプライムローンショックと同様の事態が日本でも起こる可能性がある。
編集部
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