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1、デフレ下の消費税引き上げにより日本で現実に起こること。
現状(デフレ下)での消費税3%引き上げで実際に起こること。
消費税引き上げによって市場から資金が奪われ、所得線の角度が低下する。さらに低下した所得線が支配する経済市場とはどんなものであろうか。探って見よう。
(始めに、市場から資金が減少した場合、なぜ消費不足が顕著に現われ、所得線の角度が低下するのかを説明しよう。
現在は物々交換の時代ではなく、貨幣が流通している
時代だ。人々は、物やサービスを販売して貨幣をより多く得ようと努力している。物やサービスの提供は今は、お金を得るための手段になっている。
人々はまた生産者であり、消費者でもある。
消費税などの増税などにより市場から資金が減少した場合、先ず、普通の多くの人々は同じように、生産を今までどおり行い、その後消費をする段取りをします。
私の経済学の基本は、経済人をこのような、物やサービスを通じて貨幣をより多く得ようと努力する人であり、また市場から資金が減少した時、先ず生産を優先し、その後に消費をするという人を前提にしています。
すなわち全体の資金量が1億で、生産に7千万掛かっていて、3千万が消費に使っていたとする。その時突然、例えば消費税の引き上げなどにより資金が1千万減少したとする。
その結果全体で資金が9千万なった場合でも、経済人は先ず生産に優先してお金を使うため、7千万を生産に当てる。残りが2千万になりこの分が消費に当てることになる。
このため、資金の減少が生産や消費に平等に割り振られるのではなく、生産に多く割り振られるため、消費不足を起こし、生産力過多から、不良在庫が残ることになる。
そのため販売競争が激烈にならざる負えず、低価格競争、過剰サービス競争が起こり、その結果利益額の縮小、生産コストの増大が生じ、付加価値が減少する。
それが低所得化をもたらすことになる。
その結果市場は、産出した生産量をすべて消費することができず不良在庫が残るという縮小循環に陥いります。これがデフレスパイラルの根本原因です。
このような状況でさらに生産量を増強しても資金がさらに製造に片寄ることになり、消費額が少なくなるため、生産量が増えても売上が上がらず、所得が上がりにくい状態になる。
それを図示すると縦線に所得又は資金量を取り、横線に生産量を取ると、生産量に比べ、所得が増えにくい、角度が45度より下がった線が描かれます。
この均衡点は、資金量が減少すると、生産量が増え、付加価値が低くなる事が示されます。)
特徴:利益を上げるのが難しい。資金と生産の割合が1対1の正常な市場に比べ、付加価値を得るのが難しい。デフレ市場は生産に多くの資金を要しているため、生産のための資金量に比べ消費の資金量が著しく減少している。
そのため生産量(産出量)とそれに対する消費資金の割合が不均衡になっており、生産物に対して消費の資金が著しく少ない状態になっている。消費に回る資金と生産量の割り合いが、1対1以上になっており、少ないお金でたくさん買える状態すなわちデフレ市場なのである。
正常な経済市場と同じ利益を得るのに生産費用がより多くかかる。簡単に言うと、同じ1万円紙幣を手に入れるのに1990年のバブルの頃に比べると、極端に難しくなっているということだ。
デフレ下の競争は、過剰サービスに現われ、その分、製造コストが高くなり、しかも安く売らなければならない。そのため利益額が少ない。しかも公共料金、医療費、その他の国民負担が増えているため、ますます手取り資金が少なくなっている。
製造コストの増加は当然、企業の損益分岐点を高くする。
損益分岐点が高くなることは、企業の負債や損失に対する抵抗力が弱まり、脆弱な経営状態であることを意味する。わずかな経済変動に大きく左右され、倒産しやすい状態になっている。
また、利益を得るのに生産費用が多く掛かることは、企業の起業が難しく、市場への新規の参入が少ないことを意味する。
日本の場合、新規参入や、起業の多くは、豊富な中小零細企業が担ってきたが、今やその大半がデフレの直撃を受け、廃業、撤退が多く、新規の起業などはほとんどない状態である。
デフレの所得線の均衡点は、不安定で、下振れしやすい。均衡点は、正常な市場の均衡点に比べ付加価値の低い低価格商品が多く占める。そのため生産物1単位辺りの付加価値も小さくなる。
このことは、各企業が正常な市場に比べて価格を安くし、正常な市場より多く生産していることを意味する。低価格なため、生産販売量を増やさなければ、運営資金が出て来ないからである。
これは各企業の労働者が、安い賃金で、より長く働かなければ、十分な生活費を確保できない事も意味している。
この上記のことが、消費税引き上げによりより顕著に、より厳しく経済に反映される。
高い消費税率により起こる現象
1、日本のブラック企業化、
デフレ下の消費税引き上げは、市場の貨幣量の減少をもたらすため、付加価値が低下し十分に利益を確保できない。
(生産性が悪くなる。これは生産効率が悪くなるのではなく、消費者の購買力がにぶるため生産物単位の稼ぎが減るという意味。)
企業は消費不足の市場に対応するため、製品価格を引き下げ、販売量を増加することによって利益を確保しようとする。
デフレ下では、正常な市場で得られた同じ利益額を確保しようとすると、企業は、製品をより低価格にして、より多く売らなければならない。
このことは賃金を少なくして、より長く働らかせることが市場から求められている事を意味する。
そのためデフレで生き残る企業は、仕入れ商品を買い叩き、協力会社をいじめ、低賃金で労働者を
雇い、できるだけ安い製品を作り、それをより多く生産するため長時間労働をさせることが重要な戦略になる。
経営者はこのような運営を忠実に続けることを市場から要請されており、利益額を得るために、低賃金の労働強化をせざる負えない。
正常な市場であれば、労働者は低賃金で長時間労働を強いる会社を辞め、より条件のよい会社へ移動し、ブラック企業が淘汰される運命にある。
しかしデフレのような下へ下へと下降を続ける経済市場では、ブラック企業の方が生き残り、正常な企業が淘汰される経済環境が整う。
ブラック企業でなければ生き残れない市場になっているのだ。
最適適合は低賃金で労働時間が長い企業。
例えば、最低賃金以下で働かせる企業、研修と称し最低賃金以下で低開発国の労働者を雇う企業、経済特区とか称して、残業をカットする企業。厚生保険を国民保険に代えるような企業
あるいは業績不振のため毎年毎年大幅なリストラを行う企業、海外で安い製品を作り国内で売りさばく企業
このような企業の不当に安価な製品が国内で流通すると、他の正常な労働形態の企業は立ち行きできなくなっていく。しかし彼らの方がデフレ市場に最適適合しているため、どんどん占有率を高めて行くことになる。
その結果ますます正当な企業が立ち行かなくなり、倒産が増え、それが経済をさらに縮小させていく。それがさらにブラック企業化を招いていくのである。
そしてますますデフレが進行していく。
正常な経済市場であれば、労働環境の悪い企業からよいところへ労働者の移動が起こり、自然と労働環境の悪い企業は淘汰されることになる。
しかしデフレ市場では、低賃金でより多く働かせている企業の方が優位にあり市場を制圧して行く。
デフレの深刻化は、悪化が良貨を駆逐するようにブラック企業が優位に立つ。
2、奴隷労働化
ここで言う奴隷労働とは、報酬が少ないため長時間働かなければ満足な生活費を稼げない労働をいう。本来の労働価値より少ない賃金で働かなければならないものをいう。
そのため1日8時間の労働や、週5日の労働では、十分な生活費が稼げず、時間外労働や休日出勤が常態化し、副業、内職などをせざる負えなくなる。
このおよそ20年間、バブルが崩壊してから後、我々の民間の給料が下がっています。
それは企業が十分に儲けられなくなって、賃金抑制、労働時間の短縮、労働者の削減、仕入れ業者への値引き、下請け企業への値下げ要請、倉庫や、設備装置の売却などのあらゆる方面のリストラにより、生き延びようとしたからです。
派遣や非正規従業員が増えたからではありません。派遣や非正規従業員という名の廉価な労働者が必要だったからです。
高齢の労働者の増加、扶養家族の減少。一家の主の稼ぎが少なくなるため、家族全員が働く必要があり、悠々自適の生活が破綻し、専業主婦がなくなり、子供が小さくても働かなければならない。労働の生きがいより、生活の足しの労働が普通になる。
ブラック企業は、このような低賃金なため、生活費を稼ぐために、より長く働かなければならない労働者の期待に応えることができる。それ故、デフレに適応しているのである。
2、企業経営の脆弱化を招く。
利益の少ない、生産コスト増の経営は、企業体質を悪化させる。もはや企業経営をするメリットや、起業のメリットはなくなる。企業経営をしない方が得な社会がやってくる。企業を経営しないことが経済的メリットになる。
公務員や、生活保護所帯、失業者が有利な状況となり、あくせく働く事のメリットが無くなる。勤労意欲、モラル低下が顕著になる。
仕事のあるところは、政府の支出したところだけとなり、民間の活力が失われる。
やがて民間企業が国の投下資本にたかる体質になるいわゆるギリシャ化が顕著になる。デフレのような縮小経済が続く中での公共事業は、乗数が全く機能せず、景気拡大効果のない、単なるインフラ整理に過ぎない。
それが行き着くところまでいくと、ついには、予算がなくなり国の破綻に行き着く。
3、日本の発展途上国化
内需がなく、輸出に頼る発展途上国型の経済構造が顕著になる。中小零細企業の停滞が、最先端技術などの開発力を弱め、大企業や、輸出企業への技術移転がほとんど無くなるため、国内で製造する理由が失われる。その結果、大企業の海外移転が当たり前になる。
内需の停滞は、企業の新規参入や、新製品の開発が行われず、有力な日本の輸出企業が、先進性を失い、競争力を落とし、普通の会社へと落ちぶれる。
国内の空洞化が目立ち始め、必需品の輸入が増える。多くの商品が海外の輸入品で占められるようになり、国内の生産ネットワークが崩壊していく。
4、ジャパニーズドリームの消滅
消費税率5%と8%の間に大きな経済的な段差、断層ができる。日本の経済状況が様変わりする。5%と8%との3%の差が大きな分岐点となる。
8%になると、付加価値を得ることの難しさから、企業の起業率が大幅に下がり、もはやだれも企業経営に対する魅力を感じなくなる。優秀な人材、有力企業の海外移転、移動が増え、国内の大半が低所得層となり、貧困と停滞が蔓延する。
消費税の引き上げは、市場での企業の拡大、成長が難しく、構造的に、新規参入や、起業を難しくする。
成功率が低くなり、利益率も低くなる。企業家の一獲千金の夢が遠のき、そのような人は海外での旗揚げを考え実行する。
このように、
デフレ下の消費税の引き上げの怖さは、単にデフレスパイラルによる大恐慌を招くだけでなく、精神的に企業経営自体のモラルを変え、構造的に産業の新規参入を阻む体質になる。
新陳代謝がなくなり、下へ下へと陳腐化、減退化していき、産業基盤が破壊される。
現在地球のグローバル化が意識される中で、高率の消費税を掛けることは、消費税がない国や、低率の国へ、製造業が移転していくだろう。
消費税は取引毎にかかるため、我々はそのつど有利な取引をお互いにしていても、そのつど政府が介入し、確実に資金が政府に徴収されるため、資金が市場から(我々の社会から)減少する。政府が介入する分だけ、私達は常に不利を被っているのである。
消費税の増税は時間が経つほど資金の流出が激しくなり、経済の縮小がさらなる縮小を呼ぶデフレスパイラルという大恐慌に陥る。
デフレスパイラルは、消費税増税分の資金が市場から流出し、少なくなった消費額と、生産額が一致するまで続く。デフレ下では、消費額に合わせるように生産額(価格×生産量)が決まる。
一刻も早く消費税を引き下げ、国民負担を軽減し、消費者に直接資金を供給する政策を実施するべきである。
アベノミクスや、金融緩和、特別区、移民に日本の未来はない。
一言主。http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
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