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定年後、再雇用される人、捨てられる人
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140428-00012392-president-bus_all
プレジデント 4月28日(月)11時15分配信
再雇用も再就職も独立も、定年世代にとって条件が厳しいことは間違いない。それでも、お金もやりがいも手にした「老後の勝ち組」たちは、現役時代にどんな努力をし、どんな準備を重ねてきたのだろうか。
■「管理職ならできます」と言う人はいらない
定年後も会社が再雇用してくれるので安心と思っている人はいないだろうか。確かに高年齢者雇用安定法の改正で、2013年度から希望者全員の60歳以降の雇用確保措置が義務づけられた。しかし労働条件は別だ。
キャリアカウンセラーの中村卓夫氏は「経営状況が厳しい時代であり、賃金をできるだけ抑えたいというのが企業の本音。残ってほしい人でも現役時代の給与の6〜7割ぐらいでしょう。会社にとって重荷でしかない人も希望があれば雇わざるをえませんが、給与は5割を切る人も珍しくありません」と語る。
では会社が再雇用したい社員とはどういう人か。
「メーカーであれば匠と呼ばれる真似のできない職人技の持ち主。たとえば特殊溶接やレンズの研磨に長けた熟練度の高い技能者だ。社内外でその分野の第一人者と言われる専門技術者は手放したくない」(中村氏)
実際に技術の流出を防止する狙いもあり、現役時代と同じ給与を払う仕組みを設けている企業も多い。しかし、そういう人材は1割にも満たない。
事務系では、グローバル事業で活躍できる人は貴重な存在だ。中村氏は「外国の税務会計に通じた経理の経験者や労働争議対策など海外現地法人の人事の経験者は重用される。海外事情に詳しく、語学ができる人は必要な人材」と指摘する。
こうした文系人材の再雇用後の給与は退職時の7割程度に下がる。それでも1000万円をもらっていた人は700万円。会社の企業年金を加えると800万円以上になり、公的年金がなくても十分に暮らしていける。
一方、会社にとって歓迎されない社員とは、事業を縮小・廃止した部門の社員や、「年功に甘んじ、守りに徹してきた管理職世代」と中村氏は言う。
「変化の激しい時代では彼らの過去の経験は重荷でしかありません。高齢になるとどうしても話が説教じみてくるし、自分の価値観を押しつけたがるもの。とくに秀でたスキルもなく、過去の自慢話に終始するような人を残してしまうと、後輩や若い人の成長の障害になります」
「管理職ならできます」と言う人に居場所はない。親会社に仕事がなければグループ会社で再雇用されるか、場合によっては取引先を紹介されて再雇用されることになる。今までとは違う慣れない仕事に従事しなければならないうえ、給与も下がる。中村氏は「大企業から中小企業に転職するのと同じ。給与は5割以下に下がってもおかしくない」と指摘する。
■55歳からのスキル磨き
そんななか、再雇用後もやりがいのある仕事に就き、プライベートも充実しているのがキヤノンの高橋正義氏(62歳)だ。現在、同社のCKI(知識集約型業務に従事するスタッフの革新活動)の社内コンサルタントとして活躍している。
転機は55歳のとき。入社以来、技術者として映像事務機部門で複写機の設計と研究開発一筋でやってきたが、CKI発足に伴い、上司に異動を打診された。CKI活動とは、個人と組織を活性化させ、生産性の向上を図る活動だ。具体的には、専任の社内コンサルタントが開発部門をはじめ課やチームを訪問。組織や個人の仕事の見える化を促し、課題の抽出と解決に向けて働きかけを行うのが仕事だ。
高橋氏は「もともと人と接するのが好きですし、人を育てる仕事に興味があった」と言うが、技術畑一筋の世界からは職種転換に等しい人事だ。ファシリテーションやコーチングのスキルも習得しなければならなかったし、部署の立ち上げから関わるという苦労もあった。しかし定年を迎え、迷わず現在の職場での再雇用を選んだ。
「CKI活動を通じて、消極的で受け身だった人が自らどんどん意見を言うようになる。議論を通じて職場の信頼感が生まれ、目標に向けて互いに支え合うことが可能になります。そうした人やチームが成長していく場面に携わる仕事に、やりがいを感じています」(高橋氏)
再雇用後の勤務体系は定年前と変わらぬフルタイム勤務。給与は現役時代よりずいぶん減額されたが、企業年金もあり、仕事のやりがいを考えれば満足しているという。すでに住宅ローンの支払いも終え、子供2人も独立している。
プライベートの時間も十分にとれるようになったという。趣味は陶芸と料理。陶芸は以前妻と一緒に始めたが、今も全国各地に出かけては轆轤(ろくろ)を回している。得意な料理は天ぷらと煮込み料理。自身が作成した器に自慢の料理を盛って、家族と食事をするのも楽しみの一つと語る。
近所の陶芸教室に通っているが、陶芸仲間との気さくな触れ合いも大事にしている。65歳の退職後は、培ったファシリテーションやコーチングのスキルを生かして地域に溶け込み、地域コミュニティの活動に貢献したいと思っている。
55歳以降に培った力が再雇用後も、リタイア後も生きていく。前出のキャリアカウンセラーの中村氏も「少なくとも55歳のときに自分のキャリアを振り返り、アピールできる実績とは何かを考え、不足しているスキルや知識を補っておくことが大事です。また、趣味の仲間も含めて社内外の人脈づくりをしておくこと。今後は会社も社会もそれほど面倒を見てくれません。人間関係を築いた人には、定年後に自ずと仕事のお声がかかります」とアドバイスする。
ジャーナリスト 溝上憲文=文 武島 亨=撮影
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