http://www.asyura2.com/14/hasan87/msg/336.html
Tweet |
4月東京都区部の消費者物価
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52581659.html
2014年04月26日 在野のアナリスト
安倍首相が連合の開催するメーデーに出席しました。「デフレ脱却しなければ賃金も上がらない」と発言していますが、それは誤解か、曲解です。経済成長をする社会は、自然とインフレ傾向となり、また成長により労働市場が逼迫するから、賃金をあげて労働者を雇うインセンティブが働きます。物価と賃金には逆相関として、賃上げにより消費する意欲が増し、それにより物価上昇を促すという側面はありますが、逆はありません。通貨がダブつき、ハイパーインフレに陥っても賃金は変わらない、という例もあります。ただそうなると労働者が逃げるため、必然的に後追いで賃金が上がるだけで、デフレ脱却と賃上げに、明確な関係性は認められません。
総務省が発表した4月東京都区部のコアCPIは101.7となり、前年比2.7%の上昇となりました。増税分が1.7%程度とみられるので、実際の上昇幅は3月分と同じ、1.0%とみられます。今回、東京都区部の結果が重視されるのは、4月の全国CPIの先行指数であるためで、3月の全国コアCPIは前年比100.8、前年比1.3%の上昇と、こちらは消費税増税がのる前とはいえ順調であり、そこに1.7%分がのる、と試算されます。ただ内訳をみると、内容に問題のある指標にみえてしまいます。
3月は駆け込み需要を見越して、強気の売り方をしていた家電等の耐久財が4月に値を下げているため、これが指数を押し下げており、実際には便乗値上げの影響でかなり家計には負担が増えています。家事用消耗品とされるものは10%近い上昇であり、増税分以上です。新商品の投入など、ここに来て増税を感じさせないよう、メーカーも工夫しており、同じものでも価格が上昇している。ガソリンもレギュラーがリッター160円を越してくるなど、家計には直撃してきます。
さらに一つ悪い観測があり、昨年度末は官製賃上げの話題も多かったですが、実は増税対応と公共工事の乱発で増えていた残業が、今年は減るという話もあります。つまり実質的な手取りは今年になって減少する。そうなると、このコアCPIの上昇分を家計が吸収しきれなくなる恐れがあるのです。メディアは盛んに消費は堅調、という報道の仕方をしますが、これは4月の経済指標が出揃ってみないと、判断の難しいものであり、まず物価は確実に上がった、ということが今回の指標で示されたことなのでしょう。
4月に入って、株価も元気がない。これだけ薄商いだと、先物で振り回してくる短期スジも出てくるものですが、イースター休暇前の大商いで、ポジションを落としたままでいるなど、出動する気配がありません。すでにGW休暇に入った、などと揶揄されるように、高値圏で膠着している以上、上値を追う気もなければ、下値なら打診買いを入れる程度の関与にとどまっています。
安倍ノミクスの根幹は、株価などの資産価格の上昇を促すこと、です。しかしそれが起きない、その時点で失敗といえます。株価は年初からアンダーパフォームしており、不動産価格も上昇が一服、これでは消費が盛り上がるはずもない。メーデーに出ても、労働環境の悪化を招きかねない施策を並べる安倍氏に、労働者は冷ややか、といった記事もありますが、一つ確実なのは、消費者の財布の中身はかなり冷えてきている、ということだけなのかもしれませんね。
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。