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韓国企業にしゃぶられるだけ、しゃぶられて「東芝のスパイ」はゴミのように捨てられた
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/39035
2014年04月25日(金) 週刊現代 :現代ビジネス
産業スパイ天国。日本企業は情報管理が甘く、技術者の待遇が悪いため、技術に飢えた中韓の企業による格好の草刈り場となっている。厚遇に惹かれて海を渡った技術者には過酷な運命が待ち受ける。
■冷遇した古巣を見返したい
「スパイ」の末路は哀れなものだった。
東芝の企業秘密を韓国の半導体大手「SKハイニックス」(以下、SK社)に漏洩したとして、杉田吉隆被告(52歳)が不正競争防止法違反(営業秘密の不正開示)罪で起訴された。
「韓国の企業から億単位のカネを稼いできた。一生働かなくても遊んで暮らせるカネがある」
周囲にそう吹聴していたという杉田被告。そのカネは東芝が営々と築いてきた最先端技術をスパイし、韓国企業に横流しすることで得られたものだ。
杉田被告は米半導体大手「サンディスク」日本法人に在職中の'08年1月から5月にかけて、提携先の企業である東芝の主力製品「フラッシュメモリー」の研究データを違法にコピーしたとされる。サンディスクは東芝とフラッシュメモリーなどの共同開発事業を行っていて、杉田被告は東芝四日市工場に勤務していた。
「杉田被告は管理職としてサンディスクに採用されたのですが、会社が期待するほどの成果を上げられなかったといいます。そのため、'07年に管理職から一般技術者に降格され、給与などの待遇が悪くなった。過去に仕事で付き合いのあったSK社の社員に不満を漏らしたところ、同社にスカウトされたそうです」(全国紙社会部記者)
自分はもっと高く評価されてしかるべきではないか―。そう考える杉田被告に対してSK社社員が、
「あなたの能力は不当に低く評価されている。うちに来ればもっと厚遇しますよ。ついては、あなたの知っている半導体の技術を教えてくれませんか」
こう囁き、杉田被告の自尊心をくすぐったことは想像に難くない。転職に先立ち、自分を「優秀な技術者」に見せかけるべく、彼は違法行為に手を染めた。
「仕事のできる技術者なら、半導体メーカーの世界でそれなりに名前が知られているはずですが、杉田被告はまったく無名。だから、技術漏洩という手段で、自分を売り込むしかなかったのでしょう。彼は権限を行使して、東芝のデータベースにアクセスし、無断コピーを繰り返した」(同前)
この研究データを手土産に、杉田被告は'08年7月にSK社に転職する。年俸はサンディスク時代の約2倍で、千数百万円の役員待遇。韓国清州市にある高級マンションをあてがわれ、同市内の工場に勤務した。
杉田被告にすれば、自分を冷遇した古巣を見返した気分だったろう。
起訴状によれば、この間、転職まもない'08年7月に東芝から盗んだデータをSK社社員にスライド上映で開示し、また'10年4月には同社社員に電子メールでデータを送付したという。
だが、杉田被告の幸福な日々はあまりに短かった。肝心の機密情報さえ手にすれば用済みとばかりに、SK社が'11年6月をもって契約を打ち切ったからだ。
不満を抱く日本人技術者の自尊心を言葉巧みにくすぐり、技術と引き換えに厚遇を保証するやり方は、韓国メーカーの常套手段だと言われる。
ソニーからサムスン電子に転職した経験のあるエンジニアが、日本からの技術流出の実情を明かす。
「杉田被告が技術者としてそれほど高いレベルの人物とは思えません。仮に自分の技術に自信があれば、不正行為をしてまで情報を持ち出す必要がないからです。SK社も彼が東芝の情報を持ち出すことができたから価値を見出しただけで、杉田被告本人の技術に対する評価はゼロでしょう。3年で契約を打ち切られているのが何よりの証拠。持ち出した情報の価値がなくなれば、それ以上、カネを払う意味がないと判断されたわけです」
■漁師町の秀才だった
半導体開発の世界では、日進月歩のスピードで新たな技術が生み出されている。数年前に最先端だった技術もあっという間に「陳腐化」してしまう。このエンジニアが続ける。
「韓国企業は日本人技術者が欲しいわけではありません。彼らが求めているのは、あくまでも技術なんです。ですから、データとして提供しない場合は、頭に入っている技術をとにかく教えろと言うばかり。賢い技術者はそれがわかっているから情報を小出しにして給料をもらい続けるわけですが、持っているものをすべて教えてしまえば、それでおしまいです。中途半端な技術者は韓国企業へ転職しないほうがいいでしょう。前の会社から情報を持ち出して犯罪者にされたのでは元も子もありませんから」
まさに杉田被告はSK社につけ込まれ、カネと引き換えに情報をしゃぶりつくされて犯罪者にされた。彼の半生を追うと、韓国企業につけ込まれるだけの「心の弱さ」が垣間見える。
杉田被告の実家は、北九州市門司区にある。地元の名門・門司高校(現・門司学園)を卒業後、同志社大学工学部(現・理工学部)電子工学科に進学した。地元住民が話す。
「このあたりは漁師町で、今もカキの養殖が盛んです。また、石灰岩の山があって、セメント会社で働く人も多かった。(杉田被告の)お父さんもその関連会社で働いていたはずです。息子さんは小さい頃から頭が良くて、門司高校から同志社大学でしょう?お母さんにとっては自慢の息子だったようです。それがこんな事件を起こしたものだから、ショックを受けています」
実際、本誌記者が杉田被告の母親を訪ねると、
「(息子について)何も言うことはないですから。すいませんね……」
と玄関のドアの向こうで答えるのみで、姿を現すことはなかった。
漁師町の秀才は、同志社大学進学後、周囲に埋没する。当時、同じゼミで机を並べた同級生が話す。
「杉田は信念を持って研究に臨むという感じではなかった。どちらかと言えば、流されやすいタイプ。自分の意見を主張するというよりも、他人の意見に合わせるような。卒業研究も優秀な学生についていっていただけですし。人望があるという印象もなく、女性にモテるタイプでもない。今で言う、リュックサックを背負ったオタク系の学生でした。報道で知りましたが、管理職から降格されたというのは、当時の彼から見てもあり得るなと感じます。意志の強い感じはしなかったので、誘惑に負けたのでしょう」
大学卒業後は技術者として1ヵ所に留まることなく、日韓の企業を転々とした。そのすべての職場で「待遇への不満から自分で職場を辞めた」(全国紙経済部デスク)という。
杉田被告は、「なぜ、自分の能力をもっと評価してくれないのか」という思いを持ち続けていたのだろう。
だが、前述のとおり、SK社が彼に目をつけたのは、その能力が高かったからではなく、東芝のデータベースにアクセスする権限を保有し、スパイとして使い捨てにしやすかったからにすぎなかった。
SK社をクビになった後は次の職場に移るでもなく、杉田被告は実家に戻っていた。別の地元住民が話す。
「帰ってきてから激太りしたみたいで、相撲取りかと思うほど、恰幅がよかった。自家用車は白色のセルシオ。友だちもいないみたいだし、普段はあまり外で見かけなかったねぇ。お父さんは数年前に亡くなっていて、お母さんと二人暮らし。結婚はしていなかったはずです。外で働いているような雰囲気もなく、外国と取引をしているとか何とか言っていました。実際に海外にも出かけていたみたいだよ。『億単位のカネがある』と言うわりには、派手な暮らしをしたと聞いたことはない。まぁ、このへんには遊ぶところはないけどね」
■1000億円の損害賠償
杉田被告は、取り調べに対して容疑を認めているというが、不当に得た財産はどうなるのか。
東芝側の代理人をつとめる西村あさひ法律事務所の梅林啓弁護士はこう話す。
「『一生遊んで暮らせるカネ』と言いますが、それがいくらか正確なところがわからないんですよ。ただ、東芝はSK社と杉田被告の両者を相手に、1兆ウォン(約1000億円)の損害賠償を求めて東京地裁に民事訴訟を起こしています。これに勝訴すれば、SK社と杉田被告のどちらからでも賠償金が取れる。杉田被告が払えようが払えまいが関係ありません。杉田被告が払えなければ、SK社が払えということです」
とはいえ、韓国企業を相手の訴訟は一筋縄ではいきそうもない。そもそも、海外企業との裁判のため、訴状は外務省を通じた国際送達になり、手続きだけで数ヵ月掛かるという。そのうえ、SK社が技術を持ち出すよう杉田被告を唆したと認めるはずはないからだ。
知的財産権に詳しい本杉明義弁護士が指摘する。
「SK社が指示したとすれば、明らかな違法行為です。持ち出す段階で接触がなかったとしても、杉田被告の持つ情報が違法な手段で入手したものだという認識があれば、これも違法となり、損害賠償が認められる。おそらく、SK社は違法な手段で入手した情報とは知らなかったと主張するはずで、ここが裁判の争点になります」
韓国が他国の技術を盗むことに躊躇がないことはよく指摘される。
'12年には新日鐵住金が、韓国の鉄鋼大手ポスコに技術を盗まれたとして、約1000億円の損害賠償を求めて提訴した。日本各地でも、中国や韓国の企業による技術盗用事件が相次ぐ。
日本のメーカーは長く苦境に喘いできた。その過程で、多くの技術者をリストラし、給料を切り下げてきた。技術者たちの折れたプライドにつけ込む中韓の企業―。表面化するのは氷山の一角にすぎない。
今回の事件もまた、一人の技術者の出来心で片付けてしまえるほど単純なものではない。「技術立国」を標榜してきた日本を揺るがす重大事件なのである。
「週刊現代」2014年4月26日号より
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