03. 2014年4月26日 10:16:38
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予想以上に供給余力が低く、需給ギャップが縮んでいるかhttp://jp.reuters.com/news/topNews コラム:物価上昇の実態、「帰属家賃」除くCPIから見える風景 2014年 04月 25日 16:13 JST 田巻 一彦 [東京 25日 ロイター] - 4月東京都消費者物価指数(除く生鮮、コアCPI)をみて、物価上昇率の加速はないと判断した市場参加者が多かったようだ。だが、帰属家賃という特殊なファクターを除いたベースでみると、「やや」と思うほど物価は上がり出している。 構造的失業率に接近している雇用のタイト化を軽視すると、この先の現実を見誤る可能性があるのではないか。 4月東京都コアCPIは前年比プラス2.7%と、上昇幅がほぼ市場予測に一致した。「心配していたような便乗値上げによる物価の急上昇は起きていない」(国内銀行の関係者)との見方が、市場で広がっているようだ。 だが、持ち家の帰属家賃と生鮮食品を除いたCPIをみると、前年比プラス3.5%と大幅に上昇している。 この帰属家賃というのは、持ち家の所有者が仮に賃貸料を得て、それを即座に消費すると想定し、国内総生産(GDP)などを算出するときに使用する概念。CPIにもこの帰属家賃が盛り込まれて算出されている。 東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏は、現実に消費した財やサービスの価格を把握するには、この帰属家賃を除いたベースでCPIをみることが重要であると指摘する。斎藤氏は「4月東京でみると、帰属家賃を除いた総合は前年比プラス3.7%。3月の1.7%から大幅に上昇率が拡大しており、消費増税を機に価格引き上げがかなり起きている」と指摘する。 帰属家賃を除いた総合を全国CPIでみると、2月の同1.9%から3月は同2.0%に上昇率が上がっている。もし、4月東京で起きたことと同じ傾向が全国で示されれば、4月全国の帰属家賃を除くCPIの総合は、同4%と大幅に上がっている可能性がある。 斎藤氏は「帰属家賃を除いたベースでの上昇率の方が、コアCPIよりも消費者の実感に近いだろう。この傾向が続いた時に、消費者の態度がどのように変化していくのか注目している」と述べている。 4月東京のCPIをみても、生鮮を除いた食品が前年比プラス3.5%で、3月の同1.0%から上昇幅がかなり拡大しており、身近な商品の値上がりが目立っている。こうした傾向が継続すると、20年間にわたり慣らされてきたデフレマインドが劇的に変化し、商品の値上がりを前提に行動する消費者が、突然登場するということも否定できなくなっているのではないか。 4月1日からの消費増税で、これまでのところ企業は強気の価格設定をしているようだが、それが本当に消費者に受け入れられるのかどうか。そこが今後の大きなポイントになるが、販売時点情報管理(POS)データを利用し、日々の物価動向を把握している「東大日時物価指数」の動向をみると、面白い傾向がわかる。 税抜きの価格は、1日から急速に上がり、7日には前年比プラス0.72%まで上昇。その後に急低下し、17日は同プラス0.02%まで圧縮された。だが、そこから小幅上昇に転じ、22日に同0.12%となっている。 ここでわかるのは、価格を上げた後、売れ行きが落ちて価格を下げたが、ずっと下げるのではなく、また、価格を上げ気味にしている実態だ。この指数を開発した東京大学大学院の渡辺努教授は、今回は店側のセントメントが総じて強めになっている可能性があり、「先々、価格がもう1回、上がる可能性も否定できない」とみている。 いずれにしても、1年前には想像が難しかった現象が、多方面で現出し始めている。1年前と今とで何が大きく変わったのか──。大胆に推理すれば、やはり雇用情勢が劇的に変化したことが、大きな要因になっている可能性が高いのではないか。 構造的失業率とみられている3.5%にほぼ接近した3.6%という失業率の意味を、真剣に考える局面に入ったと思う。 最早、様々な分野での人手不足を「ミスマッチ」の一言で片づけることはできなくなった。人件費の上昇を起点に物価が上がり出すメカニズムに関し、精緻な予測が必要になってきたと指摘したい。 ウクライナでの軍事衝突や中国経済の突然のショック到来など、外的なリスク要因が当面、顕在化しないのであれば、コアCPIの前年比上昇率が低下し始め、日銀が追加緩和を検討するという事態は、かなり可能性が低くなっているように思う。 そうした見方が、4月全国CPIの発表される1カ月後にはかなり広がっていると予想する。 |