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学び合う孫正義と柳井正、経営の共通点と差異点 科学的なユニクロ、勝負のソフトバンク
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140425-00010001-bjournal-bus_all
Business Journal 4月25日(金)3時0分配信
米国の投資週刊誌「バロンズ」が「世界のベストCEO」を毎年公表しています。直近の発表が3月号であったのですが、今年のリストにはソフトバンクの孫正義氏が初めてランクインしました。日本人経営者としては、ほかにはユニクロなどを展開するファーストリテイリングの柳井正氏が以前からランクインしていました。
孫氏と柳井氏は、手腕と実績が世界的にも認知されている経営者です。この2人は確かに一代で事業を立ち上げ、グループ年商で兆円規模のビジネスに育て上げました。正確に言えば、柳井氏は小郡(おごおり)商事という山口市にある地方の零細ともいえる洋品店の2代目を継いだわけですが、現在のファストリのグループ規模を考えると、実質的な創業者とみるべきでしょう。
この2人は経営スタイルや信条の上でいくつもの共通点がありますが、もちろん異なるところもあります。そこで本連載では、2人の共通点と差異点を考えてみたいと思います。
●尊敬し、学び合う2大経営者
通信やITビジネスで手広く展開しているソフトバンク・グループの孫氏と、ユニクロに代表されるファッション流通業に比較的特化して、いわば“業態深掘り”している柳井氏。この異なる業界で活躍している2大経営者は、実は結構長く深い接点があります。
2人の出会いは1994年で、両社は偶然同じ年に上場を果たしています。ソフトバンクは店頭公開を果たし、ファストリは地元広島証券取引所に上場しました。孫氏がその店頭公開前に、イトーヨーカ堂の創業者・伊藤雅俊氏に「誰か、いい経営者を紹介してほしい」と懇請したところ、紹介されたのが柳井氏だったという縁です。柳井氏のほうも、当時話題となっていた孫氏の日次決算やコンピュータを活用したコックピット経営と呼ばれる孫流の経営技法に興味があり、それらを孫氏から学んだといわれています。
2人は、いわばお互いを尊敬できる先進的な経営者として認識したのですが、本格的な関係ができたのが2003年でした。同年、ソフトバンクがインターネットサービスプロバイダサービス「ヤフーBB」を始めるのに当たり、本格的なBtoCビジネスは初めてということで、柳井氏をソフトバンクの社外取締役に招請して今日に至っています。
2人はこのように互いを尊敬し、互いから学び合っているように見えます。また、お互いの理解者であり、最大の社外応援団にも見えます。孫氏が06年にボーダフォンを買収した時、1兆7500億円という破格とされた価格に対し、柳井氏はソフトバンクの役員会で真っ先に支持、つまり支援をしました。翻って今、この買収劇を振り返ってみれば大成功、どころかそれなくては現在のソフトバンクの隆盛はない、というくらいの意思決定だったわけです。
●「科学的経営」と「勝負の経営」
孫氏は柳井氏が確立してきたファストリのビジネス・モデルを「科学的経営」と呼び、それを学びたいと思ったそうです。一方、柳井氏は孫氏の経営スタイルを「いつも勝負している」、つまりリスク・テイカ―として認識したと言っています。さらに他のベンチャー経営者と比べて「孫さんには志がある」と評価しました。
孫氏の志の立てよう、持ちようは、確かに若い時から突出していました。20代でソフトバンクを創業した当時、社内でミカン箱の上に立ち、アルバイト社員たちに向かって「当社は将来、その売り上げを豆腐と同じように数える会社になる」と、演説したそうです。その心は、「丁=兆」ということでした。しかし、この演説を聞かされた当時の社員は感心するどころか、呆れて退社していってしまったそうです。
●企業は「経営資源」で階段を上がる
柳井氏の志の立て方は、孫氏に比べると穏当というか、リアリスティックでした。地に足が着いていた、ともいえます。柳井氏は孫氏との対談で、次のように話しています。
「僕はまったく反対で、事業を始めたときは一生やってもせいぜい売上20、30億円、30店舗ぐらいと思っていました。ただし夢として、アメリカやヨーロッパの製造小売で何千億円企業がありましたから、できたらそうなりたいなという夢はありました」(「企業家倶楽部」<07年4月号/企業家ネットワーク>より)
柳井氏の「夢と志」の話は、経営戦略論的におもしろい。というか現実的な設定と考えることができます。経営者が創業時に年商数千億円という戦略目標を設定したら、それは過大すぎて機能しないことのほうが圧倒的に多い。実際、柳井氏の「年商5兆円を目指す」という現時点での目標設定に至る変遷と、今に至るファストリの経営資源の獲得とは強い関連があります。それについては、前拙著『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(山田修/ぱる出版)で詳細に論じました。
一般的に経営者というのは、ヒト、モノ、カネ、情報などの、その企業独自の経営資源を獲得・追加することにより、業容拡大のチャンスを得ることができる。そして、階段を一段上がるような業容拡大を実現して企業としての次のステージに出ると、今度はそのステージから目指すにふさわしい「次の経営目標」を設定するのです。これが通常の戦略的プロセスを経た企業発展の過程ということなのです。
それを考えると、柳井氏が喝破したように「孫さんは一種の天才」(前出の対談)といえるのでしょう。
山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役
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