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日米首脳会談とTPP
http://blog.livedoor.jp/analyst_zaiya777/archives/52581449.html
2014年04月24日 在野のアナリスト
オバマ大統領の訪日で、都内は不意の渋滞や、迂回しなければならないなどの混乱もありますが、一番混乱しているのは甘利TPP担当相かもしれません。昨晩の寿司屋でも、オバマ氏は「支持率60%もあるんだから妥協せよ」と、安倍氏に迫りましたが、メディアが政権への忠誠の証として支持率を高めに出しているため、揚げ足をとられた恰好です。現状、牛肉は9%の関税維持、などと報じるところもありますが、実際には何も決まっていないことが、甘利氏の発言でも分かります。つまり関税は低くても維持できる、というのは国内向けにしていることで、米側の要求はもっと高い。それこそ関税はほぼ撤廃、という線を米側は崩していないとみられます。
ここからは憶測ですが、日本側の落としどころは一先ず関税維持、で大筋合意。それで日本が議会を通した後、米側が議会の抵抗でさらに関税撤廃を要求、そこで初めてゼロで合意、といったところとみられます。つまり双方が努力した形を残し、結果としては米側の要求に従う、ということになる。しかしそれではオバマ氏が納得しなかった。「あなたは支持率60%、私は45%」の発言には、議会対策なら日本側の方が容易なはずだろ? との意図を多分に含んでいます。
そこにはしばらく大型の選挙がない日本と、中間選挙を控える米国、との差もあります。さらに首脳会談を終えても、TPPが決まらないので共同声明が出せない。日本側が「今回は合意できないかも…」と流していた予防線を打ち破り、米は妥協を迫ってきた。TPPで成果を出さないと共同声明すら出させない、との強硬姿勢に、甘利氏は休む間もなく対応させられているのです。これら一連の動きは、すべて安倍政権の見通しの甘さ、根回しの悪さが影響しているものです。
日本側が勝ちとったのは「尖閣は安保適用範囲」との言質をとったことです。共同声明に入れば強固なポゼッションになります。ただしこれを得るまでリニアの無償提供や、政府専用機の発注、集団的自衛権の解釈拡大、TPPなど、日本が譲った、もしくは米国に与えた部分は多い。言葉は悪いですが、また安全を金で買った印象です。逆にいうと、共同声明はこの言質を確実にするための質であり、TPPで妥協しない限り共同声明は出させない、と脅されているのかもしれません。
さらに悪い観測は、安倍政権の甘い見通しばかりでなく、メディアが甘い条件を報道してきたせいで、自縄自縛に陥ってしまった。つまりここで関税ゼロで合意となれば、裏切られたとの声が大きくなる。支持率60%の虚構が、それで暴かれてしまう可能性すら出てきたのです。安倍政権とメディアが組んできたタッグ、政府要人がだす甘い見通しを、そのまま垂れ流すことで、国内を落ち着かせるよう取り計らってきた。しかし嘘がすべてばれたとき、それでも支持率が高いとなれば、世論調査の信憑性は著しく低下してくる。そんな事態が迫っているといえるのでしょう。
奇しくも、成長戦略として位置づけられたTPPが、安倍政権の頭を押さえつけている。米国は、米国型経済を受け入れれば安全保障を与えてやる、という態度であって、尖閣への言及とTPPはセットという発想なのでしょう。成長どころか、経済が混乱しかねない状況になってきたTPP交渉ですが、そこはサビ抜きというわけにはいかなかった、ということになるのでしょうね。
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