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株式日記と経済展望
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これだけ対中国で莫大な貿易赤字が続き、また中国が大きな経常黒字を
記録しているのに、米国の人民元の切上げ要求は極めて弱く甘いものであった
2014年4月21日 月曜日
◆中国1〜3月期のGDP成長率 4月21日 経済コラムマガジン
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国民経済計算の国際基準
これまで中国のGDPは、四半期が過ぎると直に公表されてきた。つまりいつもと同じならば、今年の1〜3月期の数字は4月1日あたりに公表されてしかるべきであった。ところが今回は4月16日とほぼ2週間も遅れた公表になった。筆者に限らず、中国に関心のある人々は「中国に何事かが起っているのでは」といった感想を持ったはずである。
もっとも日本などの先進国の四半期GDP(速報値)の公表はもっと遅い。米国は一ヶ月ちょっと遅れであり、日本はこれよりさらに遅い。おそらく同じ1〜3月期の数字は、米国が5月の初旬、日本は5月の後半に公表されるであろう。また先進国が速報値に加え改定値や確定値を作成・公表しているのに対して、中国は一回こっきりの公表である。
このような中国のGDP関係の数字を人々が疑わしく感じるのは無理もない。しかし中国に関してのGDP関連の数字は、これしかないのであるからしょうがない。この公表数字を丹念に見て分析するしか、中国経済の実態により迫る方法はないと筆者は考える。
今回の公表が通例より遅れたことに関して、様々な憶測が生まれる。筆者は、やはり中国政府が世界の反応をかなり気にし始めたからと思っている。本誌でも取上げてきたが、中国経済の変質やバブル崩壊の予兆を予測する報道が増えてきた。したがってGDPの公表に対する外部の反応を予測しながら、今回の公表に到ったものと受け止められる。
中国は、最近、GDPで世界第二位の大国となったというフレーズを多用し、これを政治的にも内外に対して使ってきた。つまりGDPの数値とその推移そのものが、極めて政治的な存在なのである。もし中国のGDPがハリボテと認識されることがあるなら、これ自体が国益を著しく損なうことになる。つまり仮にハリボテとしても、はっきりと「ハリボテ」としっぽを掴まえられるような公表を中国当局は避けていると見られる。
ただ実態よりあまり掛け離れたような良い数字を出すわけには行かない。それでは中国政府公表の数字の全てが疑われような事態を招きかねないからである(もっとも逆に実態より悪く公表することは考えられないが)。これをやれば元も子もないのである。ただでさえ中国政府が公表する数字の信頼性は低い。
つまり数字に化粧を施すとしても、自ずと限度がある。今回はこれらを勘案した狭いレンジでの公表になったと筆者は考える(当然、ある程度の操作は行われていると見る)。公表が遅れたのは、このような政治判断を下すのに手間取ったからと見ている。しかし筆者は、公表が遅れたこと自体が中国経済の変調を示す徴候と捉える。
先進国を始め各国のGDP計算、つまり国民経済計算は一定の体系でなされる。国連で国際基準(System National Accounts)が定められており、各国はこれに沿って集計・計算する。日本でも1993年に改定された基準に基づいて作成されており、これが93SNAと呼ばれるものである(この前が68SNA)。
ところが中国のGDP計算はこの基準ではなされてはいない。さらにどこがどう違うのかさえ、外部からははっきり分からない。国際基準との差異を説明できるとしたなら中国政府だけであろうが、中国当局にはこれをやる気がない。
もっとも国際基準ではないから、毎期のGDPの数値公表があんなに早いとも解釈できる。中国政府の上層部においても「国民経済計算を国際基準に合わせよう」という声はあると思われる。しかし今の国際基準や国際秩序の全てが中国が弱かった時代に作られたものであり、中国はこのようなものに従う必要はないという考えが根強くあるようにも感じられる。さらに建前上、中国は社会主義国であり、今日のGDP算出手法にもこれが反映されているとも考えられる。
やはり住宅販売額は落込んだ
16日公表のGDP(実質)は対前年同期比で7.4%の成長であった。全人代での今年の成長目標が7.5%であったので、これをわずかに下回った数字である。しかし市場の予想が7.3%でありこれを若干上回った。ちなみに予想を上回ったことが市場に好感され、アジア市場の株価が上昇したのには筆者も多少驚いた。
筆者は、たしかに数字は微妙であったが、この成長率なら何も公表を遅らせることはなかったという印象を持った。おそらく原因は、併せて公表される他の数字が問題になったのではないかと考える。ひょっとすると筆者はこれを1〜3月期の住宅販売額と見る。
7.4%のGDP成長率を始め、他の数字はそれほど悪くなっていない。ところが住宅販売額だけは、13年通年の26.6%増に対して、14年1〜3月は対前年同期比でなんと7.7%のマイナスとなっている。ただこれが最終的にどの程度GDP成長率に影響を与えたのか不明である。
また今後一段と住宅販売額が落込んだ場合、どれだけのショックを中国経済に与えるのか注目せざるを得ない。特に筆者は、不動産バブルの崩壊が中国経済に大きな悪影響をもたらすと見ている。ただこれ以上の分析は来週号に回すつもりである。それは今週中にいくつかの注目される経済数値が公表されと見られ、筆者はこれらを踏まえた分析を行うつもりでいるからである。
それにしても日本には、本当に中国経済の専門家という者がいるのか昔から疑問に思っている。中国経済については、まさに「群盲象をなでる」状態である。自分で見聞きした範囲でしか、中国というものが理解されていないのが現状と筆者は思っている。民間はそれでしょうがないが、日本政府はもっと戦略的な分析ができる体勢を作るべきと考える。
特に日中間には安全保障上の問題がある。したがって日本にとって相手の事をより正しく知ることが戦略上で重要である。しかしこれが心もとないのである。米国はもっと頼りない。
中国の軍拡は世界の脅威となっている。またこの軍拡の後ろ楯となっているのが中国の驚異的な経済成長である。筆者は中国の経済成長は人民元の異常な切下によって実現したと考える。これについては12/9/24(第724号)「本誌の中国問題ダイジェスト」他で何度も取上げた。
中国は、1米ドル=1人民元であった為替レートを8人民元以下まで切下げた。購買力平価を大きく下回る水準まで勝手に切下げたのである。これによって中国製品は極めて安くなり、格段の国際競争力を持つようになった。それに止まらず、世界中のメーカは製品を輸出するためには、中国に組立工程を移さざるを得ない状況が作られたのである(これを行わないと価格競争に負ける)。当然、中国には内外からの投資が爆発的に増え、中国経済は驚異的に成長した。
本来なら、中国のように輸出が伸び、経常収支の大幅黒字が続けば為替レートが上がるはずである(日本の円はどんどん上がった)。ところが中国当局は為替介入をずっと行って人民元高を防いできた。今日、ようやく1米ドルが8人民元台から6人民元台に上がった程度である。
不思議なことは、米政府の中国に対する対応である。これだけ対中国で莫大な貿易赤字が続き、また中国が大きな経常黒字を記録しているのに、米国の人民元の切上げ要求は極めて弱く甘いものであった(対日本に対する貿易のインバランス問題に関して米国はずっと厳しく対応を求めてきたのに)。今日、中国は溜め込んだ外貨(米ドル)を戦略的な行動に使っている。筆者は、中国は人民元の切上げ阻止のため米国政界に活発なロビー活動を行ってきたと睨んでいる。
筆者は、中国の軍事力を始め、中国の色々な行動が周辺国だけでなく世界の脅威となると見ている。しかしこのようないびつな国である中国を育てたのは、中国製品を無批判的にどんどん輸入し、中国に投資を行ってきた欧米諸国の責任と考える(場合によっては日本を含め)。この重要な中国経済に変調が現れたのだから、注目せざるを得ないのである。
(私のコメント)
中国においては歴史も政治の一部であり、経済統計も政治の一部として扱われている。それが真実であるかどうかよりも政治的に如何に活用するかであり、GDPの数字も中国政府のプロパガンダである。GDPを算出するにも世界共通の基準が無ければ比較の対象になりませんが、中国にはその基準がはっきりしない。
中国のGDPは大本営発表であり、政府目標を下回る事はめったにない。中国の首相ですら電気使用量や鉄道貨物輸送量の方が確かだと言っているくらいだから中国の経済統計はあてにならない。中国の景気が良いのか悪いのかも分からないのでは政府も手の打ちようは無くなりますが、気が付いた時は手遅れになっているだろう。
中国の住宅販売事情も、暴騰と暴落を繰り返していますが、政府の金融政策次第であり、暴落すれな緩めるし暴騰すれば金融を引き締めて先送りにしていますが、バブルを破裂させるかさせないかは中国では政府の判断ひとつであり、銀行に不良債権が発生しても政府が買い取って償還させてしまう。
だから中国のバブル崩壊論は、前から何度も出ていますが政府の判断ひとつでどうにでもなる。アメリカが共産主義独裁国家ならリーマンショックは起きなかった。その代わりに中国はソビエトのように国家ごと破綻してしまう。ソビエトは石油が暴落して国家経済が破綻して公務員や軍人の給料も支払われなくなってしまった。中国でも同じ事が起きるだろう。
経済コラムマガジンでは、「中国は、1米ドル=1人民元であった為替レートを8人民元以下まで切下げた。購買力平価を大きく下回る水準まで勝手に切下げたのである。これによって中国製品は極めて安くなり、格段の国際競争力を持つようになった。」と指摘していますが、中国が一方的に1ドルに対して1元から8元にまで切り下げる事が出来るわけがない。
アメリカ政府の了解があったから出来た事であり、人民元の切り下げによって日本の輸出産業は致命的な打撃を負った。人件費が日本の30分の1になり中国からバカ安い商品が輸入されるようになり、国内の民間の中小の製造業は破綻するか、中国に工場を移転するかの判断を迫られるようになった。
これは経済戦争であり、日本はアメリカと中国の封じ込め戦争になり、アメリカはドルを大量に印刷して円を買いまくって1ドル79円にまで円を釣り上げた。それでも自動車産業などは国際競争力があったから、潰れずに助かりましたが、ソニーやシャープなどの情報関電産業は壊滅的な打撃を受けてしまった。
中国は欧米や日本からの資本と技術によって高度経済成長を続けましたが、人民元を8分の1にまで切り下げた事が貢献している。ソ連やアルゼンチンなどデフォルトを起こした国は通貨が暴落して競争力がついて回復しますが、中国は自発的に通過を暴落させて、ドルに対しては固定したままにした。現在は1ドル=6元にまで上がってきたが、世界最大の貿易黒字国が20%程度しか上がっていない。日本が400%も上がったのに比べると違いすぎる。
このようなアメリカと中国の見えない経済同盟関係の敵は日本であり、日本は円高で20年間苦しんできた。しかし日本は何とか持ちこたえましたが、アメリカは2008年のリーマンショックで致命的な打撃を受けて立ち直れないでいる。アメリカは日本を叩きのめすために中国と手を組んで、中国を世界第2位の経済大国にすることに成功した。しかしその代償は大きくアメリカの製造業は壊滅してしまった。
このような米中同盟関係は、経済のみに限られて軍事大国となった中国はアメリカに対して挑戦的になって来た。アメリカは日本を叩きのめす事に失敗したばかりでなく、中国を軍事大国にしてロシアと手を組んでアメリカに立ち向かってくるだろう。ロシアも中国と手を組んでクリミア半島を奪いに来た。ドイツなどのヨーロッパ諸国はロシアの復権に恐怖心を持つようになるだろう。
アメリカはソ連の崩壊で傲慢になり、同盟国であった日本を叩きサウジやエジプトなどの中東の同盟国をないがしろにした。しかしロシアの復権による新冷戦体制はアメリカを中東やヨーロッパから叩き出されるかもしれない。アメリカにはもはや頼りになる同盟国は無く、アメリカによる日本に対する「失望した」発言は取り返しがつかないかもしれない。「失望した」は同盟国に対して言うべき言葉ではないからだ。
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