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財務省と金融機関の「密すぎる関係」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/38960
2014年04月20日(日) ドクターZ 週刊現代
財務省が国債の一部の入札において「国債市場特別参加者」に対して新たに応札義務を課すことを決定したというが、これは何を意味するのか。
まず初めに、財務省理財局の一室に「ディーリング・ルーム」があるのをご存じだろうか。
その部屋が作られたのは、1980年代後半のバブル期のこと。独立した空調設備があり、快適な空間だったため、当時の若手官僚の中にはそこを仮住まいとして寝泊まりする者もいたらしい。
正式には「国債関係情報機器操作室」という。実際に証券売買を行うのは財務省から委託された日本銀行であり、財務省自身はやらないからだ。
そのディーリング・ルームは、外部者が入室できない閉ざされた部屋である。財務省には各省と同様に記者クラブがあって、その記者は財務省の一般職員と同じように各部屋に自由に出入りできるが、このディーリング・ルームには入れない。ディーリング・ルームでは、様々な金融機関の情報や市場の状況について、国債関係職員の毎朝ミーティングが行われている。
財務省はどのように金融機関から情報を仕入れているのか。
ここで、冒頭の「国債市場特別参加者」、いわゆるプライマリー・ディーラーという金融機関がポイントになってくる。現在23社の銀行と証券会社が財務省によって指定されている。本邦系と外資系の大手金融機関である。
プライマリー・ディーラーとは、欧米先進国ではどこでもある制度であり、国債の応札義務や情報提供義務もある。応札義務といっても価格の縛りはない。むしろ大手ディーラーにとっては、一定のプレゼンスを果たすために一定量の取引を確保するのは当然であるとして、ほとんどのプライマリー・ディーラーはこれを厳しい義務だとは思っていない。
その一方で情報提供の際に当局と話ができ、場合によっては有用情報を入手できるので、どこの国のプライマリー・ディーラー制度でも、応札義務などのデメリットより情報入手(情報疎外にならない)のメリットのほうが大きくなる。
かつて、ある金融関係者から、10億円出してもほしい財務省の情報があると聞いたことがある。冗談だったかもしれないが、それは国債入札での「足きり価格」だった。財務省の行っている各種の国債等の入札は毎月20回程度ある。入札は主にコンベンショナル方式で、応札金額を超えたところで足きりをする。
もちろん、この足きり価格は入札結果の公表時にわかるが、その価格が発表時の数分前にわかれば金融機関は儲けることができるという。というのは、この足きり価格でライバル金融機関の国債購入コストがわかるので、公表までの短時間で、ライバル金融機関の顧客に働きかけて顧客を奪い取れるというわけだ。
その金融関係者に、その情報を実際に入手したことがあるかと聞いたら、にやっと笑うだけで答えなかった。その人は、かつて官僚を接待漬けしていた人だが、さすがに今でも同じことが行われているとは考えにくい。ただし、財務省と金融機関は、今でも金融機関系列のシンクタンクで天下りを受け入れている仲だ。欧米先進国でプライマリー・ディーラー制度があるのは、そうした天下りの関係がないからだ。日本には天下りに加えてプライマリー・ディーラー制度があるというのは、あまりに官と民が濃密な関係ではないか。
『週刊現代』2014年4月26日号より
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