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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140419/dms1404191100002-n1.htm
2014.04.19
新発10年物国債の取引が14日、成立しなかった。これについて一部メディアでは、「異例の事態」「ショックがあれば金利は急騰しかねない」などと報じられた。
2000年12月26日以来約13年ぶりとも伝えられており、10年債に関しては珍しい現象だ。
これは、日本相互証券のウェブサイトの主要レート推移の表で、14日は10年債の欄が空白になっていることからも確認できる。そこには、3カ月から40年債まで9種類の国債の数値が掲示されているが、14日はこのうち、3カ月と6カ月、1年、10年債が空白で、2年、5年、20年、30年、40年債には最終出来値の数字が入っている。10年債の取引はたまたまなかったが、その他の年限の国債の取引はあったというわけだ。
ここで出てきた日本相互証券とは一般の読者には聞き慣れない名前だろう。それもそのはずで、一般投資家の相手をするのではなく、債券専門の業者間売買の仲介会社として設立された証券会社であり、BB証券(broker’S broker)といわれる。
新発10年国債の取引が不成立ということは、日本相互証券を仲介とする10年債の取引がなかったことを意味する。だが、日本相互証券がすべての債券取引を網羅しているわけでなく、相対取引のものも多数あるので、10年債取引が一切なかったというわけではない。
なお、3月の計20営業日の間に、それぞれ9種類の国債について、合計180個のレートが掲載されているが、そのうち3割近い51個の欄は空白で、取引がなかったと推測できる。この意味で、日本店頭証券経由の取引がないことはさほど珍しくない。
いずれにしても、債券業界−債券村−の中では、「異例の事態」として大騒ぎしても、外から見れば、他の債券は取引されているし、別に何が問題なのかわからない。
それに、「ショックがあれば金利は急騰しかねない」とは、また国債暴落説ですかと皮肉の一つも言いたくなる。10年債の取引が成立しなかったのも、日銀が買いオペをしているので品薄ということなのだろう。それなのに、「暴落」とはあまりに論理が飛躍しすぎている。
筆者はかつて国債管理政策の実務をやっていたことがあるが、新発10年物でも、発行直後は取引されるが、その後は各金融機関のポートフォリオに沈んでなかなか取引されないこともしばしばだった。実際、国債取引は、既発債取引より新規発行がどうさばけるかがポイントとなる。
11日の30年債は3倍程度の応募があり、入札は順調だった。この騒動の直後、15日の5年債でも5倍程度で金利の暴騰(=国債暴落)はなかった。結局、国債不成立後の金融機関ディーラーのコメントは、これまでと同じでデタラメだったわけだ。
市場関係者は、ポジショントークでウソを平気でつくわけだが、それを取り上げるマスコミもマスコミだ。「リフレ政策をとると国債が暴落しハイパーインフレになる」と同じたぐいのウソがまだまかり通るのは、マスコミの「記憶脳」の問題だろうか。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
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