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市中銀行が折角購入した国債を日銀に売却する理由
http://bylines.news.yahoo.co.jp/ogasawaraseiji/20140416-00034548/
2014年4月16日 14時36分 小笠原 誠治 | 経済コラムニスト
昨日、安倍総理と黒田総裁が会談を行ったと報じられています。何が話し合われたのでしょうか?
会談の後、黒田総裁は記者団に向かって言いました。2%の物価目標の道筋から外れそうになった場合には躊躇なく政策調整をすると総理に伝えた、と。
黒田さんは、難しい言い方がお好きなようですね。政策調整だなんて。
つまり、必要とあれば更なる緩和策を打ち出すということなのですが‥
では、具体的にはどのようなことを考えているのか?
いろんなことがあり得る訳ですが、一番最初に頭に浮かぶのは、今行っている長期国債の購入の規模を増やすことでしょう。
今、年間60兆円から70兆円のペースでマネタリーベースを増やしている訳ですが、それをさらに増やすことが考えられるのです。
市場関係者のなかには、日銀が果敢に更なる緩和策を打ち出すことを期待する向きが多いことも承知しています。ただ、その一方で、私は思うのです。市場関係者なんて、本当に自分たちの金儲けしか頭にないのか、と。今行っている緩和策の本質が分かっているのか、と。
今行っているのは、量的緩和策と呼ばれるものなのです。ご存知ですよね?
何故、そのような政策を行っているのか?
それは、短期金利はほぼゼロの水準に達していて、それ以上引き下げることができないから、だから、今度は金利を引き下げるのではなく、世の中に出回るお金の量を増やして、それによって経済を下支えしようというものなのですよね。
それに、名目金利はゼロより下げる訳にはいかないものの、名目金利がほぼゼロの状況下でインフレを起こすことができれば、実質金利はマイナスになるので、その意味でも経済の下支えになるのではないか、ということなのです。
ただ、いずれにしても、量的緩和策を行うためには、日銀が市中銀行などからガンガン国債を買い入れる必要があるのです。
そうでしょう?
しか〜し‥
何か妙だと思いませんか?
何故市中銀行は手持ちの国債を日銀に売却するのか、と。
それよりも、何故そもそも市中銀行は国債を保有しているのでしょうか?
それは、預金などの形で集めたお金を如何に効率的に運用してお金を儲けるかということを考えた上でのことなのです。大部分は貸出しに回し‥、そして、それ以外は、国債などの債券や株などに投資し‥そして、あるい程度は現金として保有しておく、と。
利回りを考えると恐らく貸出が一番儲かるかもしれませんが、貸出は、その一方で倒産のリスクがありますし、仮に倒産のリスクが小さいとしても、一旦貸し出したお金は期限まで回収できないという制約があるのです。
つまり、余りにも目先の利回りにばかり気を取られ現金の保有が少ない場合には、いざというときに資金繰りが付かなくなる恐れがあるのです。ということで、最小限の現金は常に保有しておかなければなりません。但し、現金を保有する場合には、金利収入が得られないというデメリットがあるのです。
では、貸出と現金の中間に位置するものはないか?
それが、国債等の形で運用することなのです。
国債は現金とは違います。しかし、市場性が高いので、売りたい時には直ぐ売ることができる、と。そして、現金とは違いある程度の金利収入を稼ぐこともできるのです。
ということで、市中銀行等にとって国債を保有することは、資金運用の重要な一手段であるのです。
では、ここで貴方に改めて問いたいと思います。
何故、市中銀行は保有している国債を日銀に売却するのか?
市中銀行が、急遽現金が必要になったからという事情でもあれば別なのです。
しかし、今や日銀は1年間に60兆円から70兆円というペースで国債を買い上げているのです。昔と違って市中銀行は今や常に大量の現金を保有しておく必要があるのでしょうか?
そんなことはないのです。市中銀行は、金利は低いといっても、金利が付くから現金という形ではなく、国債という形で資産を保有することを選んだのです。その市中銀行が、保有する国債を日銀に特別の事情もなく売却することに応じたとしたら‥
そうでしょう? 私の言いたいことがお分かりでしょう?
現金を大量に保有していては、銀行はちっとも儲けることが出来ないのです。だから、貸出や国債などの形で運用して、少しでも利鞘を稼ごうとしているのに‥しかし、そうして保有している国債を売却してしまえば、また金利を生まない現金に戻ってしまうのです。
何故、そんなことを市中銀行はするのか?
答えは、そうすることによって自分たちの得になるからやっているだけなのです。
日銀は、マネタリーベースを2年間で倍増させると1年前に宣言しました。その結果、1年間で日銀当座預金の残高は70兆円以上増加し、今や130兆円ほどになっているのです。言っときますが、本当は当座預金だから金利はつかないのです。そんな当座預金勘定に今や市中銀行は合計130兆円も預けたままにしているのですよ。
おかしいと思いませんか?
でも、誰もそのことを指摘する者はいないのです。
何故か?
マスコミは、話が専門的過ぎて分からないのです。それに、仮に日銀担当の記者が、そんなことを記事にしようとても、専門的過ぎてボツになる、と。それに余り日銀を敵に回すようなことは書けない、と。
金融機関は何故黙っているのか。こちらも、日銀を敵に回したくないし、それに損になる話ではないからなのです。
いいでしょうか? 日本の民間銀行は、アベノミクスに協力をするために、もっと具体的に言えば、日銀がマネタリーベースを増加させようとしていることに協力するために、敢えて無利息の当座預金勘定に多額のお金を預けたままにしているのではないのです。
何故彼らがそのような行動を取るのか?
それは、そうして保有する国債を日銀に売却して、そして、当座預金勘定に預けておくだけでそれなりの利益を生むことができるからやっているのです。
つまり、第一に、日銀が本来の価値よりも高めに国債を購入している可能性がある、と。そして、第二に、そうして国債を売却した市中銀行は、代わりに手にした現金を日銀の当座預金勘定に預けておくだけで0.1%の金利を付けてもらうことができる、と。
まあ、こうして幾らでもマネタリーベースは増やすことができるのですが、そのために日銀が負担しているコストは相当な額に上っている可能性があるのです。
いずれにしても、そうやって黒田総裁は、どれだけでも今後追加策を打ち出すことはできるのです。
しか〜し‥こうした異次元の緩和策の実態を知った人からすれば、そんなことをして何の意味があるのか、ということなのです。
「はるひこ、お前もワルじゃのう」
「いえいえ、しんぞう様ほどでは」
「ほーほ、ほ、ほ、ほ」
以上
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