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高齢者が高齢者を支える社会保障(年金・医療・介護)の新しい仕組み〜千葉の事例より考察
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140415-00010003-bjournal-bus_all
Business Journal 4月15日(火)3時17分配信
急速な少子高齢化の進展で、日本の財政や社会保障(年金・医療・介護)は逼迫している。4月1日から消費税率が8%に引き上がったが、これで問題が解決するわけではない。世界最速のスピードで高齢化が進む日本は今、それに適合した「新しい国のかたち」を構築することが求められている。
その際、解決に向けたヒントの一つとして持ち上がるのは、女性や高齢者の労働参加を促し、財政や社会保障の支え手を増やす試みだ。前者(女性の労働参加)は前回記事『女性の労働参加率、北欧並みに上昇の場合、少子化による経済のマイナスを約50%緩和』で扱ったので、今回は後者(高齢者の労働参加)を扱ってみたい。
まず、高齢者の労働参加を促す方策としては、従来、年金の支給開始年齢引き上げや定年延長、あるいは、年金受給者が働いて給与をもらっても報酬合計(年金+給与)が減少しない仕組みなどが議論されてきた。このような議論では、どのようなタイプの労働参加を念頭に置いているか定かではないが、若い世代と似たタイプの労働参加を念頭に置くケースも多いと思われる。
しかし、労働参加の中身として、もう少し違ったタイプ(例:ボランティア)の方策を強力に推進してもよいのではないか。その一例は以下の稲城市や千葉市などの試みだ。
2014年3月26日付東京新聞ウェブ版記事『ボランティアで介護保険料軽減 千葉市で登録大幅増』(一部抜粋)
ボランティアをすると、介護保険料などに充てられるポイントがもらえる−。介護支援ボランティアと呼ばれるこんな制度が県内でも徐々に広がっている。昨年七月からスタートさせた千葉市では、研修を受けた六十五歳以上の登録者が、今月一日までに九百四十七人へと増えた。(砂上麻子)
同制度のメリットは、介護支援の担い手を確保しながら、ボランティアする側にも実質的に介護保険料を軽減できる点にある。東京都稲城市が二〇〇七年から独自に始めた取り組みが出発点となり、現在は厚生労働省も事業を推進している。
(略)千葉市では六十五歳以上の市民で、市が開く介護支援ボランティア研修を受講し、登録した人が制度に参加できる。登録後、市が指定した特別養護老人ホーム、老人保健施設などで入所者の話し相手、イベントの手伝いなどボランティア活動を行うとポイントがもらえる。
ポイントは三十分以上二時間未満が一ポイント、二時間以上は二ポイント。一ポイントを百円に換算し、年間五十ポイント(五千円)を上限に、介護保険料や介護保険サービスの利用料、市社会福祉基金などへの寄付に充てられる。
昨年六月から研修を実施してきたが、ことし二月の研修にも約二百人が訪れ、登録者は当初この時期に見込んでいた五百人を超えた。千葉市介護保険課の担当者は「高齢者の社会参加を促し、介護予防につなげたい」と話している。
〜引用ここまで〜
●社会保障の担い手としての高齢者
ボランティアで介護保険料や利用料の軽減が受けられる千葉市のような仕組みは、これから介護保険を利用する可能性がある高齢者にとって、介護の実態や問題点を事前に把握し、制度改善に向けた意識を高めることができるメリットもある。
また、近い将来、高齢者の急増で介護人材が逼迫することは明らかだが、このような仕組みで、元気な高齢者がそうでない高齢者を支えることができれば、介護人材の逼迫の一部は緩和できるはずだ。
つまり、ボランティアを利用し、「元気な高齢者が、そうでない高齢者を支える仕組み」を社会保障(年金・医療・介護)に組み込む視点が重要である。このような視点で、現在の社会保障(年金・医療・介護)を眺めてみると、いろいろな発想が出てくるはずである。
例えば、年金とボランティアを結びつける方策だ。現在、社会保障給付費110兆円のうち年金は半分の約50兆円であるが、これに3%の年金課税を行えば1.5兆円も財源が獲得できる。ただ、単に課税をすると有権者の反発を招くから、千葉市のようなボランティアを一定程度行うと、課税は免れるというような仕組みにして、課税を受けるか否かの選択は有権者に委ねるのである。
あるいは、これから物価が上昇し、年金にマクロ経済スライドが発動されると、実質的に年金の給付額は減少していく。しかし、千葉市のようなボランティアを一定程度行うと、その減少の一部を取り戻せるという仕組みを構築してもよい。
いずれにせよ、超高齢化社会における「新しい国のかたち」を構築するため、千葉市のような試みを、介護の保険料や利用料のみでなく、年金の給付や保険料、医療の保険料や自己負担率にまで拡充し、新たな社会保障の担い手として元気な高齢者のパワーを利用する検討を、そろそろ真剣にスタートしてみてはどうか。
小黒一正/法政大学経済学部准教授
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