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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 定年後ゆったりは許さない
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週刊実話 2014年4月24日 特大号
政府は5年に一度、公的年金の「財政検証」を行っているが、今年、その作業が始まった。検証作業のなかで、いま驚きのプランが浮上してきている。現行の国民年金(基礎年金)の保険料納付期間は、40歳から60歳までの20年間ということになっているが、これを延長して、最長65歳まで保険料を納付する形に変えようというのだ。
もちろん、そうした案が浮上した背景には、年金財政が破たん寸前まで悪化していることがある。ただ、もともと40年間の納付という約束をしてきたのに、それを変更するのは、詐欺に近い行為だ。
もし納付期間が延長になったら、どれだけの負担増になるのか。国民年金の保険料は、月額1万5250円だ。これを1年間支払うと、年間の負担は18万2400円となる。5年分では、91万2000円と、100万円近い負担が生じるのだ。
しかも、国民年金保険料を支払わなくてはならないのは、60歳定年で給与収入がなくなり、65歳からの年金支給が始まっていない、家計がエアポケットに入る時期だ。所得税は収入がなければ課税されることがないが、この60歳台前半の国民年金保険料は、収入がゼロでも課せられる。まさに家計に対する暴力と言ってもよいだろう。
60歳で定年を迎えたあと、年金の支給開始までは貯金と退職金を食いつぶしながら、今までやれなかったことに挑戦する。旅行に行ったり、そば打ちをやったり、ダイビングを始めたりと、さまざまな人生の楽しみが、そこにはある。60歳まで必死に働いてきたことに対するご褒美というのが、定年後の5年間、60歳台前半の位置づけだったのだ。ところが、政府はそれを許さない方向に国民年金の制度を変えようとしている。なぜ政府は、そんな血も涙もないことをやろうとするのだろうか。
実は、国民年金保険料を65歳まで支払うようになったとしても、まったく懐が痛まない人たちがいる。正社員として60歳台前半も働き続ける人たちだ。
国民年金の保険料は、厚生年金の保険料に含まれているから、国民年金の支払い期限が60歳だろうと65歳だろうと、厚生年金に加入している間は、支払う年金保険料が同じなのだ。つまり、国民年金の支払期限の延長は、60歳台前半で正社員から引退する人へのペナルティーなのだ。
だが、60歳台前半をずっと正社員で過ごせる人は少ない。継続就業ができたとしても、60歳以降は、短時間勤務の非正社員になるケースが圧倒的に多いのだ。ところが、定年が延長されることで、60歳以降も確実に正社員の立場を維持できる人たちがいる。それが国家公務員だ。国家公務員は、年金支給開始年齢の繰り延べに合わせて、定年を延長することが決まっている。だから、国家公務員は、仮に国民年金の保険料の納付が65歳まで延長されても、痛くもかゆくもないのだ。
この制度改正が仮に実施される方向になった場合、サラリーマンが採りうる対抗策は、60歳時点で年金の繰り上げ支給を受けることしかないだろう。まさか、年金受給者から保険料を徴収することなどあり得ないからだ。ただ、残酷な政府は、そこまでやる可能性があることも完全には否定できない。
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