http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/896.html
Tweet |
マグロはなぜ鶏肉より10倍高いか[日経新聞]
2014/4/12 7:00
スーパーへ出かけて、今夜のおかずをどうするか思案する。魚か肉か。判断する時の基準のひとつが、価格だろう。消費税は4月1日に上がったばかり。3月中に、いつもよりたくさん買い物をした人も多かったとすれば、なおさらだ。肉と魚を比べると、店頭の単価には差がある。2013年の総務省の家計調査によると、100グラムあたりの平均単価は生鮮魚介類が147.5円で、生鮮肉の136.9円より少し高い。魚の方が高くなる理由を探ってみた。
■魚の餌代、肉より割高
店頭に行くと、肉と魚の100グラムあたりの価格差を実感できる。魚売り場では国産養殖クロマグロが1500円。解凍のメバチマグロが398〜598円、養殖のサーモンやブリが258〜298円、焼き魚として定番のチリ産養殖銀ザケは1切れ(70〜80グラム)120円前後といったところだ。
一方、肉売り場では黒毛和牛の切り落としが100グラム400円台から。国産豚が200円弱から。輸入品ならば牛サーロインが300円台、豚が100円台前半とさらに安くなる。国産若鶏(ブロイラー)はモモ肉が100グラム100円台前半。モモより人気で劣るムネ肉であれば50円前後の特売も珍しくない。
魚と肉を生産する際、最も異なるのは餌代だ。家畜の餌は世界で年間9億トン以上を生産するトウモロコシが中心だが、魚の養殖は、主に世界の年間供給量が400万〜500万トンしかないイワシやアジなどの魚粉を使う。1トンあたりの餌代だけでも魚向けは20万円前後かかるが、畜産は5万円前後だ。
養殖マグロを育てる期間は3年以上。1キロ太らせるのに15キロのエサが必要だ(長崎県の養殖場)
養殖魚や牛、豚、鶏の成長のペースや効率は、種類によって差が大きい。マグロは1キロ太らせるのに必要な餌の量が生魚換算で15キロ程度必要となる。比較的効率の良いブリは魚粉などの配合飼料で2〜3キロ(生魚なら7キロ前後)、サーモンなら2キロ未満だ。畜産をみると豚が4〜5キロ、鶏のブロイラーの場合は2キロの餌で1キロ太る。多めの牛で8キロだ。
肥育や養殖を始めてから出荷までに要する期間を比較すると、鶏と豚が短い。ブロイラーは2カ月弱、豚が半年程度だ。特に、ブロイラーは高密度で短期間に大量生産できるため安くなる。高級養殖魚をみると、ブリは1年半、クロマグロは3年かかる。
畜産の中では牛が長めで、出荷までに2年かかる。肉牛の肥育には細やかな世話や気配りを求められる。豚や鶏に比べて牛の生産は大規模化が難しい。肉や養殖魚の価格は、育てるのにかかる手間や時間の総体と考えていい。ただ、海外では広大な土地で肉牛を放し飼いすることが可能だ。「草を食べさせておけば餌代もかからないから、高い関税をかけても国産より安い価格で採算が合う」(食肉輸入業者)。自由貿易協定(FTA)の拡大によって、肉の価格は将来下がる余地がある。
■初めて購入額も逆転
一方の魚は肉と異なり、天然物も多く出回る。豊漁か不漁かによって、水揚げ港や卸売市場の取引価格は、日によって2倍にも半値にもなる。だが、小売店の販売価格は、それほど変動しない。大手鮮魚チェーン角上魚類(新潟県長岡市)の柳下浩三社長は、次のように説明する。「魚は種類ごとに適正価格があります。スルメイカなら1杯150円、サンマなら1匹120〜150円。仕入れ値が倍になったからといって、すべて転嫁すれば売れなくなるので、損を覚悟で売る。逆に、下がった時はすべては還元せず、しっかり稼がせてもらいます」
短い期間で大量に出荷できるブロイラーは小売価格も安くなる
家計調査によると、2013年に1世帯(2人以上)が肉を買うために使った金額は平均で7万9327円で、調査を始めた1951年以来初めて魚介類(7万8739円)を逆転した。すでに何年も前から、摂取量は肉が魚を上回っていたが、支出額でも魚から肉へシフトしていることが鮮明になった。
食習慣の変化や調理の手軽さ、発生するゴミの少なさなど、肉を選ぶようになった理由はいろいろ考えられる。店頭で肉の割安感を感じられるようになったことも、要因のひとつだろう。
今回の消費増税で、食材を品定めする消費者の目がさらに厳しくなったのは確かだ。魚には骨や内臓、頭やひれなど食べにくい部位も多い。店頭の購入量に比べて食べる量が目減りする割合が高いことも、肉に比べた割高感につながっている。
(商品部 吉野浩一郎)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ09004_Z00C14A4000000/?n_cid=DSTPCS001
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。