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西武HD誤算の再出発
株売却サーベラス見送り 経営に影響力残る
西武ホールディングス(HD)が23日、東京証券取引所に株式を上場する。約9年ぶりの株式市場への復帰となるが、筆頭株主の米投資会社サーベラスは予定していた保有株式の売り出しを見送る。両社は経営方針を巡って対立していたが、今年初めに再上場で合意。西武HDはサーベラスのくびきから逃れ、名実ともに経営に専念できる体制をつくる思惑だったが、視界不良の再出発になる。
価格を下方修正
西武HDは9日、上場時の株式の売り出し価格を1株1600〜1800円と発表した。14日に正式に決まるが、3月に東証から上場承認を受けた際に想定した2300円より2〜3割も低い。
サーベラスは西武HDの発行済み株式の35.5%を持つ。重要な経営事項を株主総会で否決できる比率だが、上場時に保有株の半分近くを売却するはずだった。売却見送りで、不採算路線の廃止や取締役を送り込もうとしてきたサーベラスは隠然たる力を持ち続ける。
そもそも「大幅下方修正」はなぜ起きたのか。
4月上旬、まだ寒さの残る米ニューヨークを西武HDの一団が訪れた。株式を持ってもらおうと開いた投資家向け説明会。後藤高志社長の自信に満ちた言葉とは裏腹に、JRや他の私鉄大手に比べ価格が高すぎ「投資できない」と冷ややかな反応が返ってきた。
国内の反応も似たり寄ったり。サーベラスが昨春に西武HDに対して実施したTOB(株式公開買い付け)の価格は1400円。市場関係者は「この1年で西武の経営に大きな変化はない。2300円は西武とサーベラス両社の思惑の産物」と解き明かす。
サーベラスの西武HD株の平均取得株価は1000円強とみられる。金融機関からの資金調達コストや投資家が求めるリターンを勘案すると、かねて2000円が譲れない一線とみられていた。
異例の訂正記載
後藤社長は「サーベラスとは信頼関係を再構築していく」と強調する。だが西武HDが9日、目論見書に「サーベラス・グループに株式買い増しの意向はなく、当社の事業計画を支持している」と書き加えた。異例の訂正は不安感の表れだ。
西武HDは傘下のプリンスホテルや不動産事業などによる再成長シナリオを描く。シティーホテルを全国展開するプリンスホテルでは客室需給によって宿泊料金を変動させて利益最大化を狙う。グランドプリンスホテル赤坂跡地の再開発では約980億円をかけオフィス・ホテル棟に改築。都心の一等地、高輪にも大規模な土地がある。
西武HDの業績や株価が伸び悩めば、地価の上昇もあり、サーベラスは時間がかかる再開発より土地売却を求める可能性もある。サーベラスが大株主だった国際興業が主要資産の帝国ホテルや八重洲富士屋ホテルを売却した例もある。
上場を申請した1月は1万6000円台だった日経平均株価は、4月11日に1万4000円を割り込んだ。3月に上場した日立マクセル、ジャパンディスプレイはいずれも初値が公開価格を下回った。新生・西武HDの象徴になるはずだった再上場。行く手は難路になるかもしれない。
[日経新聞4月13日朝刊P.7]
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