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銅価格が急落、中国から広がる"赤い"不安 爆食の陰で浮かび上がる、もう1つの「影の銀行」
http://toyokeizai.net/articles/-/34889
2014年04月13日 梅沢 正邦 :東洋経済 記者
大量輸入された銅が上海など中国の倉庫に積み上がっている。行き先は工場とは限らない(写真:Getty Images)
3月中旬、世界中が銅市況の急落にギョッとなった。指標となるLME(ロンドン金属取引所)で一時、1トン当たり6300ドル台と4年ぶりの安値をつけた。2011年の高値である1万ドルからは4割近い暴落である。
震源は中国だ。LMEの指定倉庫の銅在庫はこの半年で半減した。その大半が中国に持ち込まれたとみられる。ところが、中国の2月の輸出額は前年比18%の減少。つまり生産は停滞しており、原料の銅はダブついている。となれば、市況下落も当然だ。
が、疑問が湧いてくる。生産に回っていないなら、大量に中国に持ち込まれた銅はどこへ消えたのか。「金融取引」に使われているのである。
仕組みはザッとこんな具合だ。中国の業者が外資系銀行にLC(信用状)を発行してもらい銅を輸入。輸入と同時に国内で売却して換金し、高利で転貸したり、「理財商品」や香港などのオフショア銀行で運用。カラオケ店などへ投資するケースもある。いわゆる「影の銀行」そのものだ。
そこに3月7日、ソーラー企業の上海超日太陽能科技が中国で初めてデフォルト(債務不履行)する事件が起きた。あえてデフォルト“させた”のは、当局が金融引き締めへの強い意志を表明したもの。ならば、銅の「影の銀行」も無事では済まない。恐怖した投機筋やファンドが慌てて銅の買いポジションを手仕舞いし、売りに転じた──。
3月中旬の市況急落は実体的な需給関係より、こちらのインパクトのほうが大きい。
■常態化する銅転がし
今世紀最初の7年間、銅価格は4倍になった。むろん、原動力は中国の“爆食”だ。リーマンショックで瞬間的に落ち込み、中国の4兆元の刺激策で急回復。だが、4兆元の効果はせいぜい2年だ。
その後も高値圏で推移したのは、主軸が金融取引にシフトしたためだろう。全輸入量の3分の1がこの手の取引に回っている。「国有企業も製錬大手も皆、専用の会社を持っている。保税倉庫に銅を置いたまま、何度も転売されている」(商社トレーダー)。
皮肉にも、目先、実体的な需給関係は悪くない。規制強化でインドネシアの銅輸出は止まり、鉱山の暴動やストで供給は安定していない。「新しい鉱山の生産コストは6000〜7000ドルが前提。中国が長期契約を削るという話もない。市況は7000ドルに戻る」(非鉄大手の営業部長)。
だが、今や命運を握るのは実体的な需給ではない。公式統計分だけで中国の銅在庫80万トンはLME在庫の3倍。ほかに捕捉不能の“影の倉庫”があり、それらの上に膨大な金融取引が構築されている。
取引の連鎖が途切れたら、在庫投げ売りのリスクが高まる。しかも、金融取引の大もとのLCを発行するのは世界の一流銀行だ。中国業者がLCの返済に失敗すれば、危機は中国国内にとどまらない。
「今すぐ起こることはないが、(金融取引が)どこにどうつながっているのか見えない」(大手トレーダー)。“赤い”不安が広がっている。
(「週刊東洋経済」2014年4月12日号<4月7日発売>「価格を読む」に加筆)
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