08. 2014年4月11日 17:32:00
: xEBOc6ttRg
来週の日本株は安値圏で一進一退、米国株と中国景況感次第で下振れも 2014年 04月 11日 16:14 JST [東京 11日 ロイター] -来週の東京株式市場は、安値圏での一進一退が予想される。消費増税の影響や日銀緩和期待の後退は、相場への織り込みが進んだ。足元の急ピッチな下落に対する反動もあり、いつ自律反発してもおかしくないが、引き続き懸念されるのは米国株と中国の景況感だ。高値圏の米国株が本格調整に入れば、日本株への影響も避けられない。日経平均の予想レンジは1万3500円─1万4400円。 日経平均は4月4日以降の6営業日で約1100円下落し、値幅的な調整には一巡感が出ている。4月からの消費増税が景気や企業業績に与える悪影響や、日銀追加緩和期待の後退は相当織り込んだとみてよさそうだ。 マクロイベントを利用したヘッジファンドは、短期間でポジションを手じまう傾向がある。金融政策の現状維持を決めた3月日銀会合の翌週に海外投資家は現物、先物で1兆1500億円売り越したが、次の週は1100億円程度の売り越しとどまり、日経平均も小康状態となった。今週も日銀会合後に海外勢から大規模な売りが出たとみられているが、同規模の売りが来週まで続くとは考えにくい。 市場では「20年移動平均線が推移する1万3800円は中長期の強いサポートになる。ドル/円が現状から大きくかい離しなければ、日経平均は自律反発を探る」(野村証券エクイティ・マーケット・ストラテジストの山内正一郎氏)との声が出ている。 波乱要因は米国株と中国の景況感だ。米株市場では、ネットフリックス(NFLX.O)、ギリアド・サイエンシズ(GILD.O)、テスラ・モーターズ(TSLA.O)などグロース株の下げがきつい。バリュエーションを無視して短期間に買い上げられ、バブル的な様相を呈していたことを考えれば当然の調整ともいえるが、「ナスダック指数には頭打ち感もあり、本格的に調整色が強まれば日本株への影響も大きい」(国内証券)という。 米国株市場での上場準備に入っている中国電子商取引会社アリババの時価総額は1400億ドルと超えるとみられていたが、ここにきて市場価値の低下が懸念されている。大株主であるソフトバンク(9984.T)の含み益減少は、指数寄与度の大きい同社株の下落だけでなく、他のグロース系銘柄の調整に波及する恐れがある。 16日には1―3月期中国実質国内総生産(GDP)、3月中国鉱工業生産など中国の経済指標が発表される。景気減速の勢いが加速した場合は、投資家心理の悪化要因になる。 一方、来週から本格化する米国企業の1―3月期決算も注目度が高い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏は「米主要企業決算で良好な収益状況が確認されれば、米国株に見直し買いが入り、日本株も割安感が見直されるだろう。日経平均1万4000円以下の水準では、年金などの中長期資金も入りやすい。下げても1万3500円程度」との見方を示している。 (株式マーケットチーム ) 日本株続落、雇用統計後の米株安と円高嫌気−輸出、金融売り 4月7日(ブルームバーグ):東京株式相場は続落。米国の民間雇用者数の伸びが市場予想を下回り、前週末の米市場で株安、円高・ドル安が進んだことが嫌気された。日本株は前週上昇していた反動もあり、電機や精密機器など輸出関連、銀行など金融株、情報・通信、不動産株など幅広い業種が下げた。 TOPIX の終値は前週末比19.05ポイント(1.6%)安の1196.84、日経平均株価 は254円92銭(1.7%)安の1万4808円85銭。TOPIXは終値で6営業日ぶりに1200ポイントを割り込んだ。 みずほ信託銀行の荻原健チーフストラテジストは、米雇用統計は雇用改善を裏付ける内容だったが、「米国株で市場平均との連動性を示すベータ値の高い銘柄から大型株へ資金を移す動きがあった。ナスダック市場の下げが大きかったことによる不安がある」と話していた。 米労働省が4日に発表した3月の雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月比19万2000人増加した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は20万人増だった。失業率は6.7%と、前月と同水準だった。 雇用の伸びが予想を下回り、同日ののニューヨーク為替市場ではドルが下落。金融当局が緩和策の解除を急ぐとの見方が薄れ、米債券は大幅高となった。米国株は小高く始まったが、テクノロジー株中心に次第に売られ、ナスダック総合指数 は2.6%安と2月3日以来の大幅安で終了。グーグルやフェイスブックなどが4%超下落し、フィラデルフィア半導体株指数(SOX )は2.8%下落した。 週明けの日本株は米国株、海外為替市場の流れを受けて、朝方から幅広い業種に売りが先行。午前後半は下げ渋ったが、午後は再び下げ幅を広げ、日経平均の下げ幅は一時300円に迫った。 東洋証券の大塚竜太ストラテジストは、米雇用統計の内容は「悪くないが、さらに株価の上値を買っていくほど良くもなかった」と見る。米テクノロジー株の下落に関しては、「これから始まる1−3月決算発表の内容はあまり良くないと予想され、ネット関連中心に足元のバリュエーションが許容できなかった可能性がある」と指摘。こうした中で、日本株も直近の上昇が目立っていたため、「利益確定売りが出やすい」としていた。 きょうの東京外国為替市場のドル・円相場は、午後に入り一時1ドル=103円ちょうどと、東京株式市場の前週末終値時点103円87銭に比べ円高方向に振れた。一方、7、8両日は日本銀行が金融政策決定会合を開催。ブルームバーグ・ニュースがエコノミストを対象に行った調査では、日銀が追加緩和に踏み切る時期についてほぼ半数は7月を予想している。日銀会合を見極めたいとして買いも入りにくい中、東証1部の売買代金 は1兆6659億円とことし3番目の低水準だった。売買高は17億7871万株。 東証1部33業種の下落率上位はその他金融、証券・商品先物取引、情報・通信、不動産、銀行、保険、海運、精密機器、電機など。3日までのTOPIXの9連騰中には不動産、銀行が上昇率上位と上げが目立っていたため、きょうはこうした業種群が売り対象になりやすかった。上昇したのは鉱業の1業種のみ。 売買代金上位ではソフバンク、三井住友フィナンシャルグループ、パナソニック、ヤフー、楽天、住友不動産、オリックスなどが下落。半面、インドのサン・ファーマがランバクシー社を吸収合併する材料を受け、第一三共が上昇。緑内障治療剤で米社とライセンス契約を締結した参天製薬も高い。 更新日時: 2014/04/07 15:41 JST TOPIX7カ月ぶり安値、米株急落でリスク回避姿勢強まる 4月11日(ブルームバーグ):東京株式相場は、6日続落したTOPIXが7カ月ぶりの安値を付けた。前日の米国株急落で景気や企業業績の先行き不透明感が再燃、リスク資産回避の売り圧力が強まった。電機や精密機器、機械など輸出関連、証券や保険など金融株、情報・通信株を中心に幅広い業種が安い。 TOPIX の終値は前日比15.40ポイント(1.3%)安の1134.09、日経平均株価 は340円7銭(2.4%)安の1万3960円5銭。TOPIXは昨年9月2日以来の安値、日経平均は同10月8日以来の1万4000円割れとなった。 りそな銀行アセットマネジメント部の黒瀬浩一チーフ・マーケット・ストラテジストは、「最高値圏での予想外の地政学的リスク、金融緩和を縮小させる局面で予想ほど強くない景気への過敏な心理から、米国株は利益確定売りが出ている」と見る。一方、国内は「『3本の矢』どころか、ゼロ本の矢になりかねない中、昨年5月と同様の信用取引の投げが出ている」と話していた。 きのうの米国株はIT(情報技術)、バイオ関連中心に売られ、ナスダック総合指数が3.1%安と2011年11月以来の下落率を記録。企業決算の発表が始まり、業績不透明感を背景にバリュエーションが高過ぎるとの不安が強まっている。米国株下落に備えた保険料の指標となるシカゴ・ボラティリティ指数(VIX )は15%上昇し、約2カ月ぶりの上昇率だった。 「米国株は1−3月の景気の一時的な落ち込みを織り込んだが、その先の景気の姿が急回復なのか、緩やかな回復なのか、はっきり表れない迷いが出ている」と、野村証券投資情報部の若生寿一エクイティ・マーケット・ストラテジストは言う。米国株が高値圏となっていた一方、「米長期金利が上がってこないことは、米国景気に安心し切っていない証左」としている。 米国は、ワシントンでの主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)に先立ち、ロシアがウクライナ情勢を一段と緊迫化させれば同国への追加制裁の用意があると警告した。 日経平均下げ一時400円超す、オプションSQ 米国株の急落を嫌気し、きょうの日本株は朝方から幅広い業種に売りが先行。日経平均の下げ幅は一時400円を超えた。今期業績予想を下方修正したファーストリテイリングの下げが大きく、同社1銘柄で113円押し下げる など、特定銘柄による影響度の大きさから日経平均はTOPIXより見かけの下落率が大きくなった。 カブドットコム証券の山田勉マーケットアナリストは、「上昇相場が5年を過ぎた米国株は、米量的緩和の終了や中間選挙まで半年という時点で、上げ相場の総括に入ってきた」と見ている。しかも、日本の消費税増税のタイミングと一致し、「20年間にわたり株価を低迷させてきたデフレへの逆戻りという間違った政策選択と米株総括とがハウリングを起こし、株価底割れを起こしかねない気持ち悪さがある」と話した。 ただ、朝方の売り一巡後はやや下げ渋り。野村証の若生氏は、日経平均は25日移動平均線からの乖離(かいり)が過去2カ月間は5%以内の中途半端な調整にとどままっていたが、きょう下方乖離が5%に達し、「調整一巡感につながりやすくなる」との見方を示す。 この日のドル・円相場は101円30−60銭台と、きのうの東京株式市場の終値時点101円77銭に比べやや円高水準で推移した。一方、きょうの取引開始時は株価指数オプション4月限の特別清算値(SQ)算出で、ブルームバーグ・データの試算によると、日経225型で1万3892円77銭と10日の日経平均終値を407円35銭下回った。 東証1部の33業種は30業種が下げ、下落率上位は証券・商品先物取引、精密、金属製品、パルプ・紙、保険、情報・通信、機械、サービスなど。通信は、料金競争が始まる可能性や競争政策・規制の議論の過程でネガティブな印象のニュースフローが続く可能性があるとし、SMBC日興証券がセクター判断を「強気」から「中立」へ下げた。鉱業と電気・ガス、石油・石炭製品の3業種は高い。 売買代金上位ではソフトバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日立製作所、野村ホールディングス、三菱地所、大和証券グループ本社、ダイキン工業、東京エレクトロン、テルモが下落。今期も最高益見込みの良品計画は急伸、住友金属鉱山も上げた。 東証1部の売買高は23億8848万株、売買代金は2兆4143億円。値上がり銘柄数は205、値下がりは1523。 更新日時: 2014/04/11 15:39 JST ドルが101円台後半、下落スピードに警戒感−米経済指標見極め
4月11日(ブルームバーグ):東京外国為替市場でドル・円相場は1ドル=101円台後半。急速な下落スピードに対する警戒感がくすぶる中、今夜の米消費者マインド指数の発表を前に、ドル買いがやや優勢となった。 午後3時33分現在のドル・円は101円76銭付近。朝方は前日の海外市場で付けた3月19日以来のドル安値101円33銭に並ぶ場面があった。その後は101円台半ば付近に値を戻しもみ合っていたが、午後の取引で一時は101円87銭まで水準を切り上げた。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストは、「週末を控えた公表仲値の時間に絡んで、国内実需のドル買いの思惑が生じた感がある」と指摘。また、「日本株が派手に下げた割には、時間外取引の米長期金利が下げ渋ったということで、ドルが買い戻された」面もあると説明した。 米10年債の利回りは10日、一時2.61%と、3月14日以来の水準に低下。この日のアジア時間には、2.6%台半ばに戻して推移している。 ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想によると、4月の米トムソン・ロイター/ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は81と、前月の80を上回るとみられている。10日に発表された先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週から3万2000件減少して30万件と、2007年5月以来の低水準となった。 米経済指標 外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、先週の米雇用統計発表前に付けた104円13銭から101円33銭まで約1週間で3円近くもドル安・円高が進み、ドルの下落スピードに警戒感が生じやすいと指摘。その上で、米経済指標の内容を見ると、「特にドルを売る理由はない」と言い、消費者マインド指数が良ければ、「ドルの下落にブレーキがかかる」とみている。 一方、ユーロが一段高の展開となっており、対ドルで一時1ユーロ=1.3900ドルと、3月19日以来の高値を更新。対円でも一時1ユーロ=141円56銭と、3営業日ぶりの高値を付けた。 ギリシャは10日、4年ぶりに国際資本市場に復帰し、30億ユーロ(約4240億円)相当の5年債を起債した。起債規模は政府の当初目標を上回った。 欧州連合(EU)欧州委員会のデフフト委員(通商担当)は10日、パリで記者団に対し、「明らかに、ユーロは高過ぎる」と発言。「1.20ドル辺りに下がれば望ましい」とし、「1.40ドルは経済の現状を反映していない」と述べた。 記事についての記者への問い合わせ先:東京 三浦和美 kmiura1@bloomberg.net 記事についてのエディターへの問い合わせ先:Garfield Reynolds greynolds1@bloomberg.net崎浜秀磨, 青木 勝 更新日時: 2014/04/11 15:48 JST 来週のドル/円は短期筋のポジション巻き戻し、ドル安トレンド継続か 2014年 04月 11日 17:12 JST [東京 11日 ロイター] -来週の外為市場で、ドル/円は下落基調を維持しそうだ。日銀当局者が、物価上昇の鮮明化に伴い追加緩和に対して否定的な見解を明らかにするなか、海外短期筋の間では、緩和期待の剥落に伴う円ショートの巻き戻し圧力がくすぶっている。 また、好調な米企業業績を先々まで織り込んで上昇してきた米国株は、順調な景気回復を裏付ける指標が出そろわない限り不安定な状況が続きそうで、ドル/円の圧迫材料になる。 予想レンジは、ドル/円が100.00―104.00円、ユーロ/ドルが1.3600―1.4000ドル。 ドル/円は4月4日につけた直近の高値104.13円から、11日の東京時間に一時101.32円まで下落し3週間半ぶりの安値をつけた。ただ、足元では、日米株価の下落幅に比べドル/円の下落幅が不自然に狭いとの指摘も出ている。 <ドル安の継続> 市場参加者の間では、ポジション調整によりドルが短期的に反発する余地はあるものの、ドル安/円高トレンドが早々に収束するとの見方は少ない。 「日米の金融政策の方向性の違いに着目して、海外短期筋はこれまでドルロングを拡張してきたが、そのポジションが今後も収益を生むとの見通しを立てづらくなっている」とプレビデンティア・ストラテジーの外為ストラテジスト、山本雅文氏は述べ、短期筋のドルロングの巻き戻しによる、ドル/円の下値リスクに言及した。 米国は、個別の経済指標が多少悪化しても今後もたんたんと量的緩和を縮小する見込みであるのに対し、日銀からは、追加緩和には当面着手しないとの意志が伝わってきている。 執行部の中ではハト派とみられていた日銀の宮尾龍蔵審議委員は10日、生産要素の稼働から推定する需給ギャップはゼロに近づいたと指摘し、雇用や設備の過剰感の解消により物価が順調に進む可能性が高いとの見通しを示した。 海外短期筋は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用多様化の一環としての海外資産投資を活発化させることに対する根強い期待感を持っており、それを、ドルロング/円ショートの拠り所としてきた。 しかし、山本氏は、「ファンド勢が期待するように、GPIFが大規模な海外投資に着手するとすれば、その一方で、日本国債の大量売却が必要になる。これは政治的な困難を伴う」と述べ、GPIFの海外投資余力(ドル買い余力)はそれほど大きくないとの見方を示した。 <米景気指標> 各国の主な経済指標としては、14日に米国の3月小売売上高と2月企業在庫、15日に米3月消費者物価指数、16日に中国の第1・四半期GDP、3月の鉱工業生産、小売売上高、1―3月の固定資産投資、ユーロ圏では3月CPI改定値、米国では3月の鉱工業生産が発表予定だ。 特に、「小売売上高や鉱工業生産など、中核的なデータに関心が集まるだろう。これらが雇用統計と同様に弱いトーンを示せば、リスクオフが広がりやすい」と三井住友信託銀行、マーケットストラテジストの瀬良礼子氏は言う。 反対に「これらのデータで米景気の堅調さが確認できれば、企業業績への不安感が払しょくされ、株価も反発するだろう」と同氏はみている。 ただ、米雇用統計については事前の期待感が高すぎたため、市場が過剰に反応した面があると同氏は付け加えた。 <ウクライナ> ウクライナ情勢の緊迫化などの地政学リスクは、引き続きドル/円相場の重しとなりそうだ。 日米欧の先進7カ国(G7)は10日、緊迫化するウクライナ情勢を協議し、金融支援の必要性を訴える声明を発表した。ロシアや中国など主要新興国を加えた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が11日に採択する共同声明では、ウクライナ情勢の影響が世界経済に波及する懸念に言及する。 日銀の黒田東彦総裁は「ウクライナ情勢は世界経済のリスクの一つだ」と述べたが、「世界経済の回復シナリオを遅らせるような状況にはなっていない」とも指摘した。 <中国> 中国でも、第1・四半期GDPや固定資本形成などの重要指標の発表を控えている。 「貿易黒字が昨年比で大分減ってきている。これは中国の経済の成長にとってマイナスで、GDPが7.5%から大きく下振れるようであれば、中国を含む新興国経済に対する懸念が広がり、リスクオフが拡大しかねない」と三井住友銀行の瀬良氏は予想する。 「1─3月期のGDPや3月の都市部固定資産投資などが重要。市場の予想以上に減速すれば、ドル/円は下がりやすい」(国内証券)との見方が出ている。 市場予想では1―3月の中国GDP成長率は前年比プラス7.2―7.4%。3月の貿易収支では、輸出が前年比マイナス6.6%と大幅に落ち込んだほか輸入も前年比マイナス11.3%と市場予想を大幅に下回ったことから、1―3月のGDP予想を下方修正するアナリストも多い。 <ユーロ> ユーロに関しては、15日にドイツの欧州経済センター(ZEW)が発表する4月独景気期待指数が注目されている。3月の同指数は46.6で、2月の55.7から低下し、予想を大幅に下回って2013年8月以来の低水準となった。 「同指数についてはピークアウト感が出ており、景気回復のモメンタムが失われてきたことがさらに確認されれば、追加緩和期待からユーロの下押し圧力になるだろう」(山本氏)という。 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は10日、低インフレのリスクに対応するために量的緩和策を開始する用意があるとしつつも、現時点ではインフレ期待がECBの目標に沿ってしっかり抑制されているとの見方を示した。 (為替マーケットチーム) コラム:消費増税後の日本を襲う失望シナリオ=村田雅志氏 2014年 04月 10日 19:38 JST 村田雅志 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジスト(2014年4月10日) 一部メディアによる市場アンケート調査をみると、日本の景気は消費増税前の駆け込み需要の反動で4―6月期に大きく減速するものの、7―9月期以降は回復軌道に戻るとの見方が大勢のようだ。 しかし筆者は、こうした見方を疑問視しており、4―6月期は民需を中心に予想以上の反動減に見舞われ、7―9月以降も市場の期待を裏切る形で伸び悩む可能性があるとみている。 日銀の黒田東彦総裁は8日の金融政策決定会合後の記者会見で、消費増税の影響について問われ、1―3月期は高めの成長となる一方、4―6月期は個人消費を中心とする駆け込み需要の反動の影響から成長率が落ち込むものの、夏場以降は雇用・所得環境の改善に支えられ、反動の影響は次第に減衰していくとの予想を示した。 確かに黒田総裁が語るように、雇用環境は改善傾向にある。2月の失業率は3.6%と市場予想を下回り、2007年7月以来の低水準を記録。就業者数は前年同月から41万人増と14カ月連続の増加となり、有効求人倍率は1.05倍と07年8月以来の高水準に上昇した。 一方、所得環境は、黒田総裁の指摘とは裏腹に改善しているとは言い難い。2月の現金給与総額は前年比横ばい。所定内給与は21カ月連続で前年割れとなっている。ボーナスに該当する特別給与は昨年末にかけて前年比プラスとなる場面もあったが、今年に入ると再び前年割れ。消費者物価の伸びが加速したことで、物価上昇分を考慮した実質賃金総額も今年に入り2%近くの前年割れとなっている。 昨年までは雇用の伸びが賃金の落ち込みをカバーしていたが、今年は雇用の伸びが頭打ちとなるため、一人当たり賃金の落ち込みをカバーしきれなくなると筆者は予想している。一方で消費者物価は高止まりするため、家計所得が実質でマイナスに転じる展開となりそうだ。 3月調査の日銀短観では、全規模・全産業の雇用人員判断DIはマイナス12と7年ぶりの雇用不足感を記録。本来であれば労働需要の強さを背景に雇用は拡大を続けても不思議ではないが、労働力人口は昨年11月の6608万人をピークに頭打ち。雇用のミスマッチもあって雇用者数が供給制約を背景に伸び悩む可能性が高まっている。現に黒田総裁は8日の会見で、足元の失業率(3.6%)は構造的失業率にほぼ等しいか近づいているとの見方を示した。 一般的なエコノミストの感覚からすれば、労働需給がひっ迫すれば賃金は上昇する、と考えるのだろうが、マクロでみた家計所得は今年も伸び悩むだろう。新規求人数の伸びや日銀短観の雇用人員判断DIをみると、労働需要の強い業種は、医療・福祉、対個人サービス、飲食など労働生産性の低い業種に集中。こうした業種の賃金水準は日本全体の平均賃金より低く、かつ非正規社員のニーズが強い。 また、医療・福祉の賃金水準の決定には公的関与が強く、労働需給がひっ迫しているからといって直ちに賃金が引き上げられるわけではない。今年の日本経済は人手不足が指摘されながらも、平均賃金は低迷を続けるとみた方が自然に思える。 <便乗値上げの動きにも要注意> ただ消費者物価は、平均賃金が抑制されても4―6月期以降、高止まるだろう。日銀は消費増税によって4月の消費者物価が1.7ポイント押し上げられると試算している。これに加え、4月の電気・ガス料金は、原燃料価格の上昇を理由に3カ月連続の値上げとなり、料金計算が現行方式となった09年5月以降の最高値となる。円安基調が大きく変わらないなか、原油・天然ガス価格はジリ高の推移。5月以降も電気・ガス料金が値上げされる可能性もある。 消費増税に伴う便乗値上げの動きにも注意が必要だ。東京大学が集計・公表している日次の物価指数(消費増税の影響を除くベース)は、今月1日と2日にそれぞれ前年比0.88%、1.5%の上昇となった。3月平均は0.76%の下落、同月31日は0.96%の下落となったため、消費増税前後で2ポイントも物価が上昇したことになる。 個人消費の拡大をサポートしていた資産効果が、今年に入って剥落していることも見過ごしてはならない。日銀の資金循環統計によると、家計が保有する株式の含み益は、日本株の上昇を主因に昨年1年間だけで33兆円も拡大したが、日本株は昨年末をピークに下落。本稿執筆時点では年初から10%以上の下落となっている。 筆者が東証株価指数(TOPIX)の値動きをもとに家計保有の株式の評価損益を試算すると、今年1―3月期は約7兆円の含み損が発生した。また、6月末までTOPIXが年初来10%下落した水準(約1172)のままだと、4―6月期には約2兆円の含み損がさらに発生する。 1―3月期は消費増税前の駆け込み需要が発生したため、個人消費は底堅く推移しているようにみえるのかもしれない。しかし、家計調査をみると、駆け込み消費が難しい非耐久消費財やサービスの消費が実質で前年割れとなっている。平均賃金の低迷と物価の高止まりによる実質所得の減少に加え、日本株の下落で逆資産効果が生じている以上、実質個人消費は4―6月に大きく落ち込み、7―9月期も(日本株の急騰や物価の下落でもない限り)低迷を続けると想定すべきだ。 <アベノミクス相場の再来は期待薄> 国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費の低迷を設備投資や輸出といった他の需要項目がカバーできるとは考えにくい。輸出は米国景気の拡大継続と中国向けの持ち直しで、今年に入り実質でも堅調な推移となっているが、今後は中国向け輸出が伸び悩むだろう。3月中旬からは元安基調が強まっており、中国景気は減速したまま。3月の中国の輸入は前年比11.3%減と大きく落ち込んだ。 設備投資は4―6月以降も伸び悩みが続く見込みだ。3月調査の日銀短観によると、今年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度実績見込み比0.1%増と、前年度から横ばいの見込み。また、その前年度実績見込みは3.9%増と、昨年12月の前回調査から下方修正された。今年度の収益計画では、大企業・全産業の経常利益が前年実績見込み比2.3%の減少となっているように、日本企業の収益見通しは慎重。設備投資が個人消費の落ち込みをカバーするほど拡大するとは期待できない。 公共投資は、昨年度補正予算による経済対策を考慮しても、成長率の大幅な押し上げ効果は期待できない。特に4―6月期は建設業での人手不足の問題もあって予算執行が遅れる可能性もあり、公共事業が成長率を大きく押し下げることも考えられる。 市場関係者の中には、6月に公表されるとされている新成長戦略を期待する声がいまだにあるようだが、市場にサプライズを与えることはできないだろう。たとえば市場関係者の間で一時期待が高まった法人実効税率の引き下げについて、安倍晋三首相は前向きな姿勢を示しているが、財務省は税率1%の引き下げで国・地方で約5000億円の税収減になると牽制。国・地方の財源確保の問題が解決できない以上、大幅な法人税率の引き下げは考えにくい。新成長戦略によって日本株が再上昇するシナリオも期待外れに終わるとみられる。 仮に筆者の予想通り4―6月期以降の景気が減速感を強めれば、日銀は追加緩和を実施し、安倍政権は公共事業の積み増しという即効性の高い経済対策を実施するだろう。つまり、アベノミクスの「第一の矢」と「第二の矢」が再び登場することになる。これにより景気は年度後半に持ち直すのかもしれないが、外国人投資家はアベノミクスが自民党による伝統的な経済政策の焼き直しに過ぎないことをより深く理解する。アベノミクス期待による円売り、といった相場の流れが再び生まれることはないだろう。 *村田雅志氏は、ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの通貨ストラテジスト。三和総合研究所、GCIキャピタルを経て2010年より現職。 |