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(回答先: <イギリス経済が大復活>不評を買った緊縮政策・財政再建優先こそ成長の糧?(Japan In-Depth) 投稿者 赤かぶ 日時 2014 年 4 月 09 日 01:39:59)
英国の政権は、リーマンショック後の10年に労働党から保守党中心に変わった。
政権に就いた保守党は、「財政健全化」を政策として掲げたが、実際のところは思うような成果を上げられていない。
財政赤字の対GDP比が12%近かったリーマンショック後より下がり、6〜7%程度になったというレベルの“改善”でしかない。
保守党政権は、社会福祉や教育関連の歳出を大幅に減らす一方で、公共投資を少し増やすといった財政政策をとってきた。
保守党政権がまとめた11年度から15年度の5年間の財政について言えば、歳出削減が当初目標より440億ポンドほど増える一方で、歳入の見通しは、当初目標より2千億ポンドも減少した。
英国の予算責任局(OBR)は、昨年末、構造的財政赤字の解消がオズボーン財務相が掲げた目標期限の2014/15年から遅れ、17/18年度になるという見通しを示したが、健全化が後ろにずれるという見通しは、昨年3月に16/17年度になるというかたちですでに示されているから、見通しがずるずる後退していることがわかる。
予算責任局は、さらに、経済回復について、「最近の景気の回復基調が持続可能ではないかもしれない」と指摘している。
スレッド本文の「イギリスの財務相ジョージ・オズボーンは、英経済の立て直しについて豪腕を振るった。財政支出をカットして財政再建を優先した」という説明は、“英国経済の立て直しは他の要因でなんとかできた。しかし、財政再建は、歳出を大きくカットしたが歳入が思うように伸びないため困難である”と説明したほうが実態を表していると言える。
経済については、確かに、先進国として高い成長を遂げている。
成長の要因は二つで、ロンドンを中心としたイングランド南部の不動産ミニバブルと輸出増加である。
不動産ミニバブルは、中国を中心とした外国人の投資に負っている。
不動産ミニバブルは確かに経済成長に貢献しているとは言えるが、不動産価格の高騰により、それなりの年収を得ている20代後半の人でさえ、ロンドン市内及び周辺で住宅を借りることができないという厳しい状況が生まれている。
英国では働き出したら親元を離れて暮らすのが普通だが、住宅を借りることが難しいため、30歳近くになっても親と同居する人が増加している。彼らは、結婚も難しいと悲観的な見通しを持つようになっている。
輸出の増加は、ポンド安に負うところが大である。12年秋にユーロ危機が終息を見せたことで、ポンドはユーロに対して安くなる方向で推移し、13年春には12年夏に較べ10%ほどのポンド安水準になった。ドルに対しても、対ユーロ相場につれて安くなっていった。
英国で大きな問題は、経済成長を遂げていても、勤労者の所得がインフレに見合うレベルでさえ増えていないことである。
経済成長といっても、増加した付加価値がどのように配分されているかということは別の話である。GDP(付加価値)は30兆円増えたが、勤労者の所得は1円も増えず、増えた付加価値の全部が配当にまわったとしても、成長は成長なのである。
英国経済の成長が外国人マネーによる不動産ミニバブルと輸出増加を主要因とするものであれば、国内勤労者の需要が増加しなくてもかまわないのである。
外国人の不動産投資と輸出を糧にした成長は、まさに外需に頼った成長なのである。
英国の経済成長のこのような内実がわかれば、予算責任局が「最近の景気の回復基調が持続可能ではないかもしれない」と指摘したのも当然と思えるはずだ。
2%を切るところまで低下した英国のインフレ率は、経済成長の鈍化傾向を示唆している。
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