http://www.asyura2.com/14/hasan86/msg/793.html
Tweet |
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20140407/dms1404071831009-n1.htm
2014.04.08 「日本」の解き方
中央銀行にとって人々の物価の予想は重要である。実質金利(=名目金利−予想物価上昇率)の変化を通じて企業投資や家計消費など経済活動に影響を及ぼすからだ。
物価の予想は中央銀行の信認の程度を反映するものでもある。デフレ脱却と言いながら、予想物価上昇率が上昇せずマイナスのままであったら、人々は中央銀行を信用していないということになる。
日銀が黒田東彦(はるひこ)総裁の体制になってから、発表文などに明確な変化がある。「将来の物価変動についての予想」「予想物価上昇率」という言葉が多くなった。従来の日銀は、予想物価上昇率は変わらず、その変化に働きかける政策は邪道と考えていたフシがあり、「予想」という言葉は少ない。
筆者は、十数年前に今の岩田規久男日銀副総裁とともにデフレ脱却を訴える本を書いた。その内容を一言で言えば、日銀がマネタリーベース(通貨供給量)を増やして予想物価上昇率を高めるというものだ。今の日銀は、その政策をひたすら実行しており、発表文に「予想物価上昇率」という言葉が多く出てくるのは当然だともいえる。
日銀が企業短期経済観測調査(短観)の中で、「企業の物価見通し」を新設したのも、重要な予想物価上昇率に関する情報を収集するためだ。日本においては、企業を対象とする予想物価上昇率のサーベイ調査はあまりなく、特に、中長期の予想物価上昇率の調査は今までなかった。
こうした調査状況を改善するために、筆者は政府の経済財政諮問会議特命室に在籍していた当時、市場の予想物価上昇率に必要である物価連動債の導入を竹中平蔵担当相に進言し、2003年度から実施された経緯もある。
もちろん、予想物価上昇率の具体的な計算には、そのほかの情報も重要なので、今回の日銀短観での新設は評価できる。
今回公表された企業の物価見通しは、1年後の物価上昇率の予想は平均1・5%で、3年後、5年後はともに1・7%だった。企業の規模別では、大企業では1年後、3年後、5年後にそれぞれ1・1%、1・3%、1・3%で、中小企業ではそれぞれ1・7%、1・9%、1・9%となっている。
ただ、質問文には「物価全般(消費者物価指数をイメージしてください)」と書かれているが、企業の担当者にとって、物価全般をイメージするのはなかなかできなかっただろう。2月の消費者物価指数(総合)の対前年同月比は1・5%だったので、企業の回答はくしくもそれと同じだった。1年後といっても、現状に基づいて回答したのかもしれない。
今回は初めての調査でもあり、その水準はあまり参考にはならないが、調査を継続していけば、水準そのものよりも、その変化が十分に参考になるだろう。一方、「デフレ派」の人たちが主張していた「予想物価上昇率は変わらない」という主張が間違っていたのは、今回の調査を含め各種のデータからも明らかになったといえる。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。