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メディアは、4月1日に増税された消費税にかかわる動きを、まるで“物品税”や“小売売上税”の増税が実施されたかのように取り扱っている。
消費税増税でも可処分所得がほとんど増えないどころか、公的負担の増加や年金支給額の減少で可処分所得が減る家計が多いことから、消費税増税で消費が低迷することは間違いない。
しかし、消費税はあくまでも付加価値税であり、負担する主体も、消費者ではなく事業者である。
ない袖は振れない家計(消費者)は、総額でできるだけ安いものを買い求め、それが難しい場合は消費量を減らすことになる。
個々の事業者が消費税増税で増える税負担を販売価格に転嫁できたとしても、販売量の減少を避けられる事業者はそれほど多くないだろう。
それでも、住宅・自動車・家電そしてブランド高級品など高額なものを除けば、大きく需要が落ちることはなく、わずかであっても消費税負担予想分の転嫁もあるので、キャッシュフローが急激にタイトになるわけでもない。
いつかは納付しなければならない消費税に充当されるべきおカネも、いったんは銀行口座に入り、余裕があるところは別だが、給与などの日々の支払いに使われるケースが多い。
(付加価値税である消費税は、会計処理の話とは違い販売先から預かっているものではないから、建前で消費税として受け取ったからといっても稼いだ荒利(付加価値)の一部なのだから、使うことになんら法的問題はない)
このような消費税の仕組みから、消費税増税が経済社会に深刻な影響を与え始めるのは、消費税の中間納付が“現実化”したときである。
消費税は、個人事業者(課税事業者)であればほとんどが決算と同じ年1回の申告と納付だが、前年度に48万円以上の消費税を納めた事業者は、納付消費税額のランクに応じて、決算を含め年2回・年4回・年12回の申告と納付を行うことになる。
デパートは、外国人向けの免税売上(輸出扱い)があるとしても、グローバル企業のように“還付”(消費税が負担ではなく利益となる仕組み)ではなく“軽減”レベルなので、毎月中間納付を行う。それでも、百貨店は、利益率も高く客も消費税転嫁を受け入れる層が多いのでなんとかしのげるはずだ。
トヨタなどグローバル企業は、売れ行きが落ち込むとしても、国内販売価格をスムーズに引き上げることができるだけでなく、輸出免税制度により、多い企業であれば毎月数百億円の“還付”(国家詐欺の利益)を受けるから、納税で四苦八苦ということはまったくなく天にも昇る気持ちで中間納付を行う。
消費税を1円も納付しない事業者が、公共料金に次ぐ“消費税転嫁能力”を持っているという奇妙な話なのである。消費税を1円も納付しない事業者が、消費税増税分と称して価格を引き上げることで、他のものに対する需要に悪影響を与えている。
多くの中小事業者は年2回の消費税納付だから、4月1日に実施された増税が経営にどれほどのダメージを与えるものかを肌身で感じるのは、消費税の中間申告書を見て納付に必要な現金を用意しなければならなくなったときである。
このような話が大きな経済問題になったのが前回97年の消費税増税である。
拓銀や山一証券そして長銀・日債銀へとつながっていった「金融危機」は、バブル崩壊で銀行の経営基盤が大きく劣化しているなか、債務履行の負担を増大させる消費税増税が行われたことで起きたのである。
今回は、銀行の“体質”が強化されていることから、「金融危機」は発生しないと思っているが、消費税増税のために債務の履行ができなく事業者は数多く発生すると思われる。
(付加価値に課される消費税は、債務(元本返済・利払い)履行の原資にも課される税と言える)
債務履行はなんとか続けられるという事業者の多くも、世の中の名目総需要が増えない状況での消費税増税のため、手元に残る付加価値(荒利)を減らすことになるだろう。
これが、年末のボーナスを減少させる要因となり、来年春の人件費抑制を促す要因ともなる。
大まかではあるが、このような流れで98年からデフレに陥ったのである。
給与所得減少が名目総需要減少を招くことでデフレはより悪化し、それがさらなる給与所得減少につながっていくというデフレスパイラルが国民生活を傷み続けてきたのである。
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日経新聞連載:
[迫真] 8%が来た
(1)消費増税、間際に走る 日用品やガソリン購入に列
4月1日、消費税率が8%に引き上げられた。17年ぶりの増税に対し消費者や企業、公的機関などはどう動き、乗り切ろうとしているのか。駆け込み需要とその反動、新たな価格への切り替えや転嫁の進展、地域への影響など消費増税を巡る諸相を追う。
東京・新宿の繁華街にあるコンビニエンスストア。1日午前0時、6人が会計を待つ中、店員が声をかけることもなく、静かに税率が5%から8%になった。
30代の女性会社員はペットボトルのお茶を1本買い、「そういえば増税だったのね」と気にしていない様子。プライベートブランド(PB=自主企画)の缶ビールを午後11時50分に買っていた男性は「増税後はどうだろう」と同一商品を再度購入。まじまじとレシートを見比べた。
5%で一度精算
「申し訳ありません。先に会計してもらってもよろしいですか」。すかいらーくのファミリーレストラン「ガスト」板橋坂下店(東京・板橋)では午前0時をすぎると店員がテーブルを回り顧客に会計を促した。
ガストは1日になった時点でそれまでの注文を消費税5%でいったん精算。同店ではレジに10人余り並んだ。そのまま店にいられるが、以後の注文の税率は8%だ。
31日深夜、千葉市の総合スーパー、イオン幕張新都心店では翌日に向け値札の張り替えを始めるとともに「本体価格20000品目実質値下げ」と書いた赤い標示物をあちこちに張り出した。
PB「トップバリュ」は8割にあたる約5千品目の本体価格を3%下げる。「生活必需品の消費者の負担感を抑える」(イオン)ため、物流の効率化などで増税分を吸収する。
埼玉県三芳町のアスクルの物流センターは午後8時、ヤフーと展開する個人向けネット通販「ロハコ」の出荷がピークを迎えた。1時間で最大約1万2千個の荷物を処理できるベルトコンベヤーを段ボール箱が猛スピードで通過。通常の5割増の注文をこなすべく100人以上が夜通しで出荷作業にあたった。
配達遅れ続く
混乱もある。「今日お預かりしてもいつお届けできるか確約できません」。31日午前、東京都江東区のヤマト運輸の営業所では受付担当者が頭を下げながら顧客対応にあたった。ネット通販などの注文が集中し「29日に配達指定の荷物もまだ届けられていない」。品質が劣化する生鮮品もあり「荷物によっては補償しなければならなくなるかもしれない」と担当者は不安を隠せない。
「手続きを終えるには5時間以上かかった」。午後3時すぎ、関東運輸局の東京運輸支局(東京・品川)で新車登録を終えた東京都渋谷区の輸入車販売店の担当者はほっとした様子だ。同支局の年度末最終日の登録台数は前年を74%上回った。
31日の販売はばらついた。家電量販店ビックカメラ池袋本店(東京・豊島)の午前の店内は普段の月曜日と変わらぬ客の入り。最後の週末となった29、30日の売上高は前年同期比7割増で、大きな買い物は済ませていた人が多かったからだ。
午後3時の「ホームセンターコーナン南津守店」(大阪市)。30代の女性はティッシュペーパーなど約1万2千円分を買った。「通常の日曜日を上回る売れ行き」と店長の井上和彦は言う。ガソリンスタンドが並ぶ東京の環状8号沿い。シンエネ八幡山SSでは暗くなっても給油する車の列が数十メートル連なり「震災直後の混乱以来の客足」(マネージャーの佐藤大)だった。
消費の現場が駆け込み需要の対応に追われる中、政府は反動減を警戒している。官房長官の菅義偉(65)は31日夕、横浜市内で開いた自民党神奈川県連の会合で「1兆円規模の減税と5兆円を超える経済対策のパッケージを発表した。何としても景気の腰折れを防がなければならない」とあいさつ。そして4月1日を迎えた。
(敬称略)
[日経新聞4月1日朝刊P.2]
(2)初日、トラブル回避に奔走
JR長野駅から徒歩数分の食品スーパー、マツヤ七瀬店(長野市)。1日朝、いつもの開店時間の午前9時を過ぎ訪れた60代男性客が目にしたのは扉に張られた「店内整備のため臨時休業」の文字。マツヤが1日、県内の全店を閉めたのは消費税率引き上げに伴う値札の切り替えのためだ。
増税初日を無事乗り切るべく、31日から1日にかけ全国の小売店では値札の付け替えなど一斉に対応。だが、レジなどのシステム更新では一部に混乱も起きた。
「システムエラーのため営業できません」――。食品スーパー、いなげや荒川東日暮里店(東京・荒川)では1日、従業員が訪れる消費者への対応に追われた。税率引き上げに伴うシステム更新でトラブルが発生。全135店のうち、午前11時時点で開店できたのは31店にとどまった。
同社のシステムを担当する富士通子会社の技術者がトラブルに気付いたのは午前3時。全店の価格データを段階的に変更する作業が滞り、店ごとのデータ変更を余儀なくされた。富士通社長の山本正已(60)は「(データ更新の)負荷が集中したことが原因だと思う」と打ち明ける。いなげやは午後5時段階で44店舗の同日中の復旧を断念した。
ほかにも大手スーパー西友は一部店舗の開店時間が2時間ほど遅れた。ユニクロのネット通販サイトはメンテナンスが長引き、正午ごろを予定した販売の再開が午後7時半にずれこんだ。
□ □
もっともこうした動きは限定的だ。東京・六本木のヤフー本社は日付が変わった段階で社員10人でインターネット通販サイトの価格表示の変更に着手。当初は朝までかかると想定していたが、午前4時前に終了した。
流通業や金融機関など1200システムの切り替えに社員を立ち会わせた日立製作所。問題が起きれば、情報通信部門で品質保証本部長を務める田所昭(59)の所に集約する特別監視体制で1日朝に臨んだ。特段の障害は報告されなかったが、監視を終える2日夕方まで田所の緊張は続く。
鉄道など首都圏の交通機関で10円単位の切符と1円単位のIC乗車券で料金が異なる二重運賃の導入も、無難なスタートを切った。
1日平均48万人の乗降客がある小田急電鉄新宿駅。午前3時すぎ、シャッターが閉まり静まりかえった西口地上改札では、主任の鳥海貴裕(41)が券売機に向かい「運賃切り替え。正常終了よし」と指さし確認しながら次々に切り替えた。作業は40分ほどで終えた。
午前5時の始発電車は混乱なく発車。鳥海は「普段と違い対応してみないと分からないことが多い」と気を引き締めた。
□ □
値上げと値下げ、1円単位の設定など、大きく対応が割れた外食大手の新価格も1日適用になった。JR品川駅近くの「すき家」港南二丁目店(東京・港)。店長の細井秀亮(23)は午前9時にレジを更新、牛丼並盛は税込み270円と従来より10円下がった。
昼休み時間になると店内は会社員らで満席に。男性会社員(42)は「(300円に上げた)吉野家と30円の差は大きい」と話す。一方で「10円くらいの値下げでは驚かない」(男性会社員=39)との声もあった。
マクドナルド明治通り新宿ステパ店(東京・新宿)では午前10時半、メニュー表を一斉に差し替えた。増税の転嫁で1円単位の端数が出るようになり、釣り銭も補充。友人4人で訪れた女子大学生(19)は小銭のやり取りより「友達同士で割り勘がしにくくなる」と不満そうだ。
大阪市のタクシーでは思わぬ事態も。運賃引き上げなどを義務付ける特別措置法と消費増税を受け、初乗りの下限運賃は660円に引き上げられた。だが、繁華街・ミナミでは1日も従来と変わらず車上に「500円タクシー」の行灯(あんどん)を付けたまま営業するタクシーがあった。
約90台運行するワンコインドーム(大阪市)社長の吉岡和仁(58)は「3割以上の値上げはお客さんの理解が得られない。(近畿運輸局から)変更命令が出るまで続ける」と強気だ。近畿運輸局は「500円での届け出はあったが、法律違反になるのでこれから指導していく」という。様々な思いが交錯する増税初日となった。
(敬称略)
[日経新聞4月2日朝刊P.2]
(3)地方企業、値付けに悩む
2日午前10時。前橋市にあるスーパー、ベイシアの前橋みなみモール店が開店すると約80人の客が駆け込んだ。同社は消費増税後も半数の商品の価格を据え置いた。1日には、青果・鮮魚の98円均一が目玉の特売チラシを配った。前橋市の主婦、千木良節子(66)は「安いのでつい多めに買ってしまう」とバナナ3袋などの商品を買い物かごに次々と入れていった。
県庁所在地で4番目に物価が低い前橋市。小売業が乱立し、低価格志向が強い。店長の大沢正樹(41)は「食品売り場の人出は増税前とほとんど変わらない」とまずはほっとした表情だ。
大都市に比べ消費の勢いが鈍い地方。岡山県和気町の徳永こいのぼりのように、高価格帯が好調で需要の「落ち込みは一時的」(社長の永宗黄二=65)とみる会社もある。だが大半は消費の腰折れを恐れ、増税分の転嫁や値付けに悩み続ける。
讃岐うどんの名産地、香川県坂出市の日の出製麺所。うどん(小)の価格を1日以降も100円に据え置き、お昼時には常連客ら約200人でにぎわった。久しぶりに来店した常連の男性会社員(57)は「表彰状ものだね」と驚いた様子だった。
社長の三好修(49)は悩み抜いた末に、天ぷらなどを除き据え置いた。客は大喜びだが三好の表情はさえない。「原料の小麦などの価格上昇などもあり、いずれ値上げせざるを得ない」
値下げ組と値上げ組とに対応が分かれた青森市のタクシー。新青森駅で客を待つタクシーは「初乗り620円」と窓に表示があるのに、メーターは640円。運転手(51)は「直前に値下げが決まりメーターを切り替えられなくて」と弁解した。客数減を恐れた最大手が値下げを決め数社が急に追随。運賃戦略の迷いが現場に混乱を広げた。
中小企業や商店街向けに対策を打つ自治体や商工団体も多い。新潟市で午後2時から始まった消費税対策セミナー。参加した阿部正嘉(41)が市内で営む居酒屋は「1日の客数がひとけた」だった。ネットを使った販促などの集客策に耳を傾けた。
札幌市は消費者が省エネ性能が高い冷蔵庫に買い替えると、商店街で使える5000円分の商品券を配る施策を始めた。市長の上田文雄(65)は「商店街の不安を解消したい」と意気込むが周知はこれからの段階。夕方、札幌駅近くのヨドバシカメラの冷蔵庫売り場には客の姿がなかった。企業や自治体の苦労はこれからが本番だ。(敬称略)
[日経新聞4月3日朝刊P.2]
(4) 転嫁カルテルしませんか
3日午前8時、緊張した面持ちで3人の男が東京のオフィス街に現れた。下請け企業などが消費税を納入代金に転嫁できているかどうかを監視する、政府の転嫁対策調査官(転嫁Gメン)だ。増税を受け、大企業の取り締まりを強めはじめた。
立ち入り検査の相手はある重化学大手。「8%への増税分どころか従来の5%分でさえ下請け代金に含まれているかどうかが曖昧だ」との情報があった。Gメン主任の斉藤善男(62)は「ひるまず対応するのが腕の見せどころ」と意気込む。
応接室に通されると、企業側の弁護士が待ち構えていた。夕方5時まで契約書の山と格闘しつつ、営業など10部門に取引状況を確認していった。斉藤は「どの部署にも隙を見せない対応をさせる。大企業ならではのしたたかさだ」とうなる。被害を訴える中小企業からの証拠集めを急ぎ、再び検査する予定だ。
もう一つの転嫁対策が業界横並びで増税分の価格上乗せを認める転嫁カルテル。前回の1997年にはなかった制度だ。
「カルテルやりませんか?」。全国水産物卸組合連合会(東京・中央)には農林水産省から毎月誘いの電話がかかり、3月末に申請書を出した。それでも東京・築地では冷凍サケの仲卸業者がスーパーに値上げを拒まれている。東京魚市場卸協同組合理事長の伊藤淳一(60)は「小売価格が据え置きだから卸値に圧力がかかる」とこぼす。
公正取引委員会企業取引課長の真渕博(48)は大手スーパーのプライベート・ブランド(PB)に目を光らせる。「大手小売りによる優越的地位の乱用が目立つ分野。3500業者への実態調査を進めている」。スーパーはPB商品の安さを維持するため、下請けが納入価格に増税分を転嫁することを拒みかねない。真渕らは4月からGメンを3割増の150人、立ち入りも5倍の月100件とし転嫁拒否を徹底排除する構えだ。
「スーパーの名前は?どこの支店ですか」。3日夕、東京・永田町の消費者庁では、4人の女性相談員が便乗値上げの電話相談の対応に追われていた。
政府が価格転嫁を後押しする一方で、便乗値上げに対する消費者の目は厳しい。「『税込み100円』だった品物が1日から『税抜き100円』になっている」。3月に消費者庁が受けた相談は424件。17年前の前回増税時を大きく上回った。
デフレ経済ではなかなか進まなかった価格転嫁。うまく後押しすれば、脱デフレの流れにも沿った動きになる。(敬称略)
[日経新聞4月4日朝刊P.2]
(5)2円足りぬハガキ
「2円不足」。東京・千代田の麹町郵便局では、職員が料金不足のスタンプの押された郵便物に通知書を貼り付ける作業が続く。3月まで同郵便局が配達した料金不足の郵便物は1日当たり約100通。これが消費増税後の4日には「通常の3倍程度に増えている」(局長の名村敏高=60)。
消費増税で流通の多いはがきが50円から52円、封書が80円から82円に上がったのに気付かぬまま出す送り主が多いからだ。料金不足の郵便物の差出人が同じ局の管轄内なら戻されるが、それ以外は受取人が不足分を払う必要がある。2円だけにわざわざ送り主に請求もできず、きちんと払う人が多いという。
増税の思わぬ余波もある。「あれ?」。4日午前、風邪のため東京・世田谷の病院に来ていた会社員の安藤広志(46)は初診料の記載に目をとめた。2820円。「以前通っていた病院より高い気がする」
1日から医療機関が受け取る初診料は120円上がった。保険診療には消費税がかからないため増税そのものではない。薬などの仕入れに消費税がかかる医療機関の負担増を補うため、政府が初診料の引き上げを認めた結果だ。受付の職員のそんな説明を聞いた安藤は腑(ふ)に落ちない様子のまま帰宅した。
保険外診療では別の光景が広がる。「今日もすいているなあ」。4日昼、東京・京橋で歯科医院を営む吉田浩一(55)は手持ち無沙汰だった。この日の予約は6人と普段の半分。基本額が45万円で消費税がかかるインプラント(人工歯根)など全額自己負担の保険外診療を増税前に駆け込みで終えた患者が多かった反動だ。「治療は必要だからいずれ患者は戻ってくる」と吉田は冷静に受け止めている。
日常の買い物にも変化が見える。「お客様にプラス1品買ってもらえるよう徹底しましょう」――。ドラッグストア大手、ツルハの練馬南田中店(東京・練馬)店長の曽田啓一郎(33)は4日の開店前、店員に呼びかけた。3月後半は洗剤やトイレットペーパーを大量に買う客がレジに並び売上高は前年同期比7割増えた。1日以降は2割減。来店客だけでなく、1人当たりの購入商品数も通常より1〜2品減った。買いだめ分が切れるまで「2カ月間の辛抱だ」。曽田は自分に言い聞かせる。
増税から4日。身の回りの様々な場面に影響は出始めたばかりだ。
(敬称略)
[日経新聞4月5日朝刊P.2]
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