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エコカー、なぜ苦戦?ディーラー事情と都市部需要の見誤り、補助金終了で迎える岐路
http://biz-journal.jp/2014/04/post_4548.html
2014.04.06 Business Journal
電動系エコカーの販売が振るわない。電気自動車(EV)はもちろん、前評判の高かったプラグインハイブリッド車(PHV)の車種数や販売台数も伸び悩んでいる。危機感を強めた経済産業省は、あらためて電動系エコカーの普及策を練り直す考えだ。
PHVは、ハイブリッドカーに外部充電機能を付けたエコカーのこと。国内ではトヨタ自動車のプリウスPHV、三菱自動車のアウトランダーPHEV」、本田技研工業(ホンダ)のアコードPHVなどが市販されている。方式によって車両特性に違いはあるが、外部電力を使えるため普通のハイブリッドカーより燃費が良いことと、EVと違い電池切れで立ち往生する心配が少ないことが特徴だ。例えばプリウスPHV(JC08モード燃費はリッター61km)の場合、スタート当初から26.4km(カタログ値)はEVとしてエンジンにまったく頼らず走ることができ、その後は普通のハイブリッドカーとして走る。つまり、近距離を走り回るだけならEVを使っているのと同じ。それでいてガソリンも搭載しているため航続距離も長い。さらに言えば、EVとして走る距離が短いので、急速充電器がなくても1時間半(200Vの場合)でフル充電できて使い勝手も良い。
電動系エコカーの中で、EVはどうしても電池残量への不安や充電時間の長さがネックとなりがちだが、PHVにはこうしたネックがない。住宅事情から1台で買い物と帰省などの長距離ドライブをこなさなければならない都市部を中心に「エコカーの本命」と見られ、トヨタは2012年1月に「プリウスPHV」で先陣を切った。
しかし、思わぬ苦戦が続く。当初は日本で年間3万5000〜4万台、日米欧を含めたグローバルベースでは6万台規模の販売を想定していた。しかし、発売から2年が経過した現在、累計販売でようやく5万台強と目標を大きく割り込むかたちとなり、軌道修正を余儀なくされた。現在の販売目標は年間2万台ほどだ。
●ディーラーの熱意不足、都市部需要の読み違い
苦戦の理由としてよく指摘されるのは、ディーラーの熱意不足と都市部需要の読み違えだ。PHVは、いわば「EVとハイブリッドの良いとこ取り」だが、使用頻度や1回当たりの走行距離でメリットは異なってくる。このため「PHVと普通のハイブリッドのどちらが良いか?」という顧客の疑問に十分応えることができなかった。さらに200V電源の設置など、ディーラーの営業スタッフにとって「担当外」の仕事もこなさなければならない。「我々は、プリウスPHVだろうがハイエースだろうが1台は1台として成績評価される」(関東圏のトヨタ系ディーラー)という営業スタッフにとって、普通のプリウスより高く、手間がかかるプリウスPHVを積極的に売ろうという動機に乏しかったわけだ。
また「都市部のユーザーに適している」という商品特性も、自宅に充電設備を持つことができてこそ。マンションなどの集合住宅に住むユーザーにとって充電設備へのハードルは高く「買いたくても買えない」というユーザーが圧倒的だったことも誤算のひとつだった。
豊富な資金力と技術力を持つトヨタは、PHVが売れなくても直ちに困るようなことはない。同社は15年にプリウスの全面改良を予定しており、次期型のPHVは同モデルに設定される見通しだ。ただ「やはり現状で『思うように売れていない』という点が引っかかっている」と同社開発スタッフは打ち明ける。
●“独り立ち”迫られるエコカー
経産省も動きだした。政府は「次世代自動車戦略2010」の中で、20年のEV・PHV販売目標を乗用車販売の最大2割と見積もっている。仮に乗用車販売が300万台なら60万台になる計算だ。まだ6年後の話だが「現在のペースでは目標に届かない可能性も考えなくてはならない」(同省)と政策の練り直しに着手した。自治体などが先駆的な施策に取り組む「EV・PHVタウン」も当初の方針を転換し、来年度以降の継続を決めた。
しかし「これまでに考えられる政策はすでにやり尽くした感がある」(同省)ともいう。「クリーンエネルギー自動車補助金」による車両購入補助金は、15年度いっぱいで打ち切られる見通し。同年度でベース車との価格差がほぼなくなるとの試算からだ。“独り立ち”の期限が刻々と迫るなか、まずは15年、次期プリウスPHVの価格設定と販売動向が注目されそうだ。
(文=編集部)
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