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2014年04月06日 板垣 英憲(いたがき えいけん)「マスコミに出ない政治経済の裏話」
◆株式投資家の多くは、米国携帯電話市場に殴り込みをかけている孫正義社長について、「例によって大風呂敷を広げているけれど、本当に成功するのであろうか」という疑念を抱いている。
朝日新聞DIGITALが4月5日午前5時、「世界のスマホ事情 下」―「高速通信、進む世界統一 米の会社、国境超え再編の動き」という見出しをつけて以下のように配信した記事のなかに、気になる記述があった。
「孫氏に残された時間はもう多くない。米国市場は国土の広さがハードルになり、LTEの基地局などの整備が遅れ勝ちだっだが、2強はほぼ最終コーナーを回ったからだ。『全米人口の9割以上、3億人をカバーします』首位ベライゾンは最近、自社のLTE網について、ライバル他社との違いを広告などで繰り返し訴えるようになった。人口カバー率は『つながりやすさ』の象徴だ。ニューヨーク州の家電量販店では、スマホ売りの店員が『つながりやすさを基準に選ぶなら、ベライゾンかAT&T』とこっそり薦める」
◆株式投資家にとって、ソフトバンクに対する「心配事」は、米国携帯電話市場で成功するのか否かという「1点」に集中している。
米国の面積は、962万8000km2(世界第3位)、日本は37万km2なので、約26倍と広大である。この全土にLTE(Long Term Evolution=ロング・ターム・エボリューション=新たな携帯電話の通信規格)を設置して行くのは、大変なことである。この規格は当初NTTドコモがSuper 3Gという名称でコンセプトを含めた提唱をしていた。このため同社では長らく「Super 3G」と呼んでいたが、2009年頃からは「LTE」と呼んでいる。
ブルームバーグが、「ソフトバンク時価総額、年初来2.6兆円減少−米国事業に懸念も」という見出しをつけて、以下のように配信していた。
「2月4日(ブルームバーグ):ソフトバンクが米通信会社Tモバイル USに対する新たな買収をもくろむ中で、ソフトバンクの株価が大幅下落している。米国事業への不安が背景にあり、時価総額は年初来で約2きざし5600億円吹き飛んだ計算になる。ソフトバンク株は3日、東京市場で一時前週末比7.4%安まで売られたあと、同6.6%安の7064円で取引を終えた。年初来では23%の大幅安となった。ソフトバンクは昨年7月に米3位の通信会社、スプリント を買収完了したばかりだが、同社は米国内で厳しい競争にさらされている。関係者によれば、ソフトバンクの孫正義社長は米国市場での競争力を高めるため、同4位のTモバイルUSの買収にも動いている。事情に詳しい複数の関係者によると、ソフトバンクはTモバイルとの統合に向けた障害を解消するために、Tモバイルの株式の67%を保有するドイツテレコムと直接交渉を行っている。しかし、スプリント首脳が米司法省の反トラスト法(独占禁止法)担当幹部にTモバイル買収について説明したが、米当局は新たな買収に抵抗を示した。エース経済研究所の安田秀樹アナリストは『Tモバイルの買収報道で、ソフトバンクとスプリントの業績に懸念が出ている』と指摘、『Tモバイルを買ったとしても業績がすぐに上向くわけではなく、多額の支出が財務的には負担になる』と述べた。また、SMBC日興証券の菊池悟アナリストは『市場全体が下がり、リスクに慎重になった外国人投資家が売っている』とした上で、Tモバイル買収や出資先の中国電子商取引運営会社アリババの上場問題が不透明なことも株価を押し下げる要因となっていると述べた」
◆ソフトバンクの東京証券取引所の現在値(4月4日)は、7921円(前日比−219円=―2.69%)である。
ソフトバンクは、株式専門家の間では、「過去比較で割高」と判断されている。とくに、「4255円を割ると割安圏内に入る」と言われている。株式投資家の多くは、こうした予測に不安と警戒感を高めている。要するに、ソフトバンクの孫正義社長が、米国で最後の大博打に打って出ていると「不安」を抱いているのだ。
その原因の一つは、ヤフー(宮坂学社長=親会社はソフトバンク)が3月27日、「イー・アクセス+ウィルコム」を子会社化し、日本初「インターネットキャリア」として「Y!mobile」携帯事業展開すると発表したことにある。イー・アクセスは6月1日付けでウィルコムを吸収合併し、翌日2日付けでヤフーがソフトバンクからイー・アクセス株式を3240億円で取得し、合併後新会社を子会社化する形となるという。
イー・アクセスがウィルコムを吸収合併、ヤフーは親会社に当たるソフトバンクから合併後イー・アクセス株式の99.59%(議決権比率は33.29%)を取得して、子会社化、新社名は「ワイモバイル」とし、社長にはヤフーの宮坂学社長が就任するという。
株式投資家の多くは、「ソフトバンクは、1兆円の負債を抱えているので、資金繰りが苦しくなっているのではないか」と疑念を抱いている。「経営者として人生50年計画の最後に、大博打を賭けようとしている孫正義社長は、ひょっとしたら、すべての子会社をオールインの対象にしようとしているのではないか」とも不安を募らせているという。
そのうえ、孫正義社長は、今回のスポンサーとして、韓国発祥のキリスト教系新宗教団体「世界基督教統一神霊協会」(本部・韓国ソウル市)を当て込んでいるという。米国銀行である「バンク・オブ・アメリカ」(本社・ノースカロライナ州のシャーロット市、略称「バンカメリカ」や「バンカメ」)に貯め込んでいる資金から調達するというのである。統一協会は、日本国内では、「霊感商法」で悪名が高い。こんな巨大宗教団体と深いつき合いがあると分かれば、ソフトバンクと孫正義社長のイメージは最悪になる。
このため、株式投資家のなかからは、「1兆円の有利子負債を抱えて、日本のメガバンクから調達できなくなっていて、統一協会から調達しなければならないほど資金調達の道が狭まっているのか」と筋の悪さを危ぶむ声が出始めている。
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